ZENIT-S 初期のソ連製一眼レフって?ミラーをヒモで引っ張る驚愕カメラの素晴らしき設計w

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ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物はZENIT-Sです。

ZENIT-S(ЗЕНИТ-С)

日本ではゼニットSと呼ばれることが多いですが、本国のキリル文字表記ではЗЕНИТ-СとなりますからペンタカバーにもЗени́т-Сの刻印がされています。
Zorki-Cにミラーボックスを組み込んだ構造で、Zorki-Cそのままの部分も多いです。バルナック型のZorkiを基としていますから非常にコンパクトなサイズです。OM-1が発売された当時世界最小と言われていました。確かに高さはOM-1の方が低いですがボディの幅や厚みにおいてはZenit-Sの方が小さいです。そして肩の高さが低いのでかなり小さく見えます。OM-1発売当時は東西冷戦時代でしたから東側の工業製品が西側に入ってくることは無かったためZorki-Sの存在が西側では知られていなかった可能性がありますね。実際OM-1は西側最小のカメラってことになるのかもしれませんね。
このカメラの最大の特徴と言えるのがレンズマウントです。それはM39マウントと呼ばれるものなんです。M42と似た様に思えるかもしれませんがフランジバックが45.2mmとされているためM39のレンズをM42(フランジバックは45.5程度)のカメラに取り付けても(要アダプター)無限遠が出ません。

おっと忘れてはいけない事を思い出しました。このカメラにはもう一つ大きな特徴があります。
それはミラーをヒモで引っ張って戻すってところ。クイックリターンミラーではありませんからシャッターレリーズするとミラーは上がったままで、巻き上げと同時に降りてくるんですがそこにヒモが使われているんです。驚きですねw

こんなカメラ他にはないでしょうね。しかし70年余り経過しても切れないこのヒモはどんな素材でできているのでしょうか?どうでも良いけど気になりますw

撮影レンズの気泡についての説明w

zenitcamera.comを覗いてみるとZENIT-Sの取扱説明書がアップされているんですがその中に面白い項目があります。

付録 2.
撮影レンズの気泡についての説明
最新の高品質レンズのレンズは特殊な種類のガラスで作られており、製造中に気泡の発生を避けることは通常不可能です。国内外を問わず、複雑な写真レンズでは常に見ることができます。
この気泡はレンズや写真の品質には影響しません。そのため、当店ではレンズ内の気泡に関するクレームは受け付けず、レンズの交換も行っておりません。

すげ〜強気で、なんか面白いですねw

状態の確認

ジャンク購入ですが製造からの年数とソ連製カメラの品質から考えれば、そこまで状態は悪くないと感じました。
問題点は、ファインダーがカビている。

プリズムの縦線が少し出ている。

巻き上げノブが少し重い。

レンズ前玉に小傷が多数ある。レンズのヘリコイドがスカスカ。
とまあ、そんなところです。シャッター機構やシャッター幕は問題なさそう。

カメラ本体の分解と整備

構造的にはバルナックと同じですから、殻をスポッと抜く感で

中身か確認できます。ZORKIそっくりですw

巻き上げが重かったのは、巻き上げの逆回転防止をしているバネがグシャっとなっていてグリス切れも相まって滑りが悪かったことと取り付けが正常では無かったことが原因でした。ここはモロにバルナックゾルキーと同じ機構ですからガビガビのグリスを清掃して新しいグリスを塗って正常に組み立てました。

ミラーボックスの朽ちたモルトもキレイに張り替えました。
レンズマウントの滑りの悪さも気になりましたので

マウントを取り外してクリーニングしました。

レンズ Induster50 の整備

レンズはヘリコイドグリスを交換する必要がありますから、分解してヘリコイドを抜いてからグリスを交換しました。

レンズエレメントをよくみると少しクモリがありましたからバラしてクリーニングしました。

小キズは多いですがまあこれぐらいなら使えるでしょう。

ZENIT-SとZORKI1を比べてみました

ZENIT-Sの基になったのはZORKI-Cって事なんですが持ってないんでZORKI-1と比べてみました。

軍艦部に違いはあれど、よく似てますよね。

マウント内に見えるシャッター幕の巻き取り軸(マウント内に見えるローラー状の部品)も同じ感じです。

底蓋は全く同じに見えます。

開けてみるとカメラ内部も似ていますね。底蓋のロック機構には少し違いがあります。嵌めてみると底蓋のサイズは全く同じでした。しかしロック部分の違いのせいかロックが固く完全互換とは言えませんねぇ。

スプールはフィルムを止める金具に違いがありますが同じに見えます。しかし差し込んでみるとなんかイマイチで互換性があるとは言えないと思います。
ま、比べているのがZORKI-1ですからZORKI-Cとは互換性があるかもしれませんね

レンズチェック

レンズはSONYα7Ⅱにマウントしてサクッとチェックと言いたいところですがM39マウントなのでちと苦労しました。拙者のM42マウントアダプターは無限遠が出るようにきっちり調整してあるのです。M39マウントはM42マウントよりフランジバックが短いので無限が出ません。

で、マウントアダプターマニアの拙者としては何とかならないかと考え

SONY E→42ミリネジ変換 M42ヘリコイド接写アダプタ 42ミリネジ→39ミリネジ変換

上記アダプターの4段重ねをしてみると

左が4段重ね 右がSONY E to M42 マウントアダプター

このように、ほんのちょっと厚みが薄いんですね。この組み合わせで無限遠を出すことに成功しました。これで試し撮りしてみます。

無限遠 絞りF3.5(開放)

絞り開放では周辺減光が結構ありますね

無限遠 絞りF8

絞ると周辺減光は改善しました。しかしセンサーの埃が多いな。掃除しろよ>拙者w

近距離はこんな感じテッサー型らしいボケですね

つるバラ バレリーナ

ま、これだけ写れば問題ないでしょう。

最終チェックとコンディション認定

シャッターのチェックは殻を抜いた状態じゃないと出来ませんが全速良好でした。

レンズはまあまあですね。ファインダーは暗いながらもクリアにはなりました。
レンズコーティングに小傷も多いですがまあソ連製なのと製造からの年数を考えると並品と言っても良いのかなと思います。

あとがき

ぐりやん
ぐりやん

最後まで読んでいただき感謝です。
実はすでにゼニットEMを持っているので2台目のゼニットということになります。M39のゼニットはずーっと欲しくて安いの探していたんですが、ウクライナがあの状況ですから値上がりが著しくて買えなかったんですね。やっと手頃なものを見つけたのでGETした次第です。
実は試写も終えているんですが現像がまだなんですよね。現像したら結果をアップしますねw

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