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ZEISS IKON CONTESSA 35 のジャンクがやって来た|分解して修理します

この記事は約16分で読めます。

ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物はツァイスイコンのコンテッサ35です。
東西ドイツ分断後、西ドイツのツァイスイコンから1950年に発売されたカメラです。

ジャンクなコンテッサ35 ファインダーのカビが酷い

ZEISS IKON CONTESSA 35 Zeiss-Opton Tessar45/2.8

コンテッサの発売は1950年という事ですから74年も前のカメラです。
カールツァイスのレンズはS/Nから製造年を調べることができまので調べてみますと、1952年から1953年あたりに製造されたものと思われます。
このカメラは35mmフィルムを使うフォールディングカメラ、つまり折りたたみ式カメラで、レンズやなんかがボディの中にすっぽりと収まります。構造は外からは見えないけれど中判のフォールディングカメラと同じ様な蛇腹式でCOMPUR製のレンズシャッターに西側のカールツァイスであるZeiss-OptonのTessar45mmF2.8が搭載されています。またテッサーが増えてしまいましたねw。
そして距離計はZeissIkonお得意のドーレイカイル式でセレン式の露出計まで搭載されており当時としては機能満載のカメラなのであります。

状態の確認

いつもの様に格安で入手したジャンクですから色々と問題があります。

  • 外観 汚い 貼り革損傷と剥がれあり サビ多し 軍艦部カバーに一部変形箇所アリ
  • ファインダー 酷くカビだらけ(二重像の分離や縦横ズレはナシ、バルサムは大丈夫っぽい)
  • レンズ とても酷いカビだらけ
  • シャッター 問題なく動いている様だ
  • 露出計 奇跡的に問題なさそうだ
  • その他 フィルム送り機構などは問題なさそうだ レンズカバーのネジが一つ欠落していた
  • 無限遠のズレ(オーバインフ)

確認の結果、大きな故障は無く光学系のCLA(Clean,Llubricant,Adjust)のみで済みそうですね。

とりあえず貼り革の損傷を防ぐため剥がれている部分を貼り付けてから作業を始めようと思います。

光学系のCLAを開始します

分解整備歴はある様子で、ヘリコイドもスムーズですし罫書き線が各所にあります。
ですので今回は光学系(ファインダーとレンズ周り)のCLAのみ実施しようと思います。

カビだらけのファインダー

まずはカビだらけのファインダーから取り掛かりまっせ。

ファインダーをクリーニングするために軍艦部のカバーからを開けていきます。軍艦部上から見えるネジ6本を全て外します。フィルムメモ(COLORて書いてあるやつ)のネジ直下には小さいスプリングワッシャーが入っているので無くさないように充分気をつけます。


そして背面の露出計調整ネジの周囲のカニ目リングを外せば軍艦部のカバーを外す事が出来る様になります。
軍艦部カバーを外しても光学系は分厚い鋳物で蓋をしてありま。
最初にファインダーのカバーガラスから外した方が良さそうなのでこれを外します。

カバーガラスを外すと見えるのはプリズムです。普通はここに対物レンズがあるのですがありません。変わった作りですねえ。
次にファインダー上部の鋳物製の蓋を外しますアイレット上のネジを外すとアイレットも抜けますから注意します。

プリズムが現れました。ZeissIkonらしく一体式のプリズムです。コストがかかっていますね。ビームスプリッターの部分は金を蒸着した後に貼り合わせてあるものと思われます。何か樹脂のようなものがこんもりと塗られていますね。腐食対策なのか?それともバルサム切れ対策でしょうかね?
バルサム切れは無いようです。

ファインダーの対物レンズは接眼レンズとセットでプリズムの後ろ側にある変わった構造で2群3枚(以上)で構成されていました。

残念ながら接眼レンズの隅の方にバルサム切れが発生しておりました。視野には影響ありませんので症状が進まない様に気をつけて使っていこうと思います。
全てのガラス面をクリーニングします。コーティングは無いようですからキレイになりますね。

距離計窓のカバーガラスはそのままクリーニングしました。

非常にクリアーになり距離計の見えもバッチリです。

カビだらけのレンズ

次にレンズですが、前部からでは後玉を外す事が出来ないためレンズシャッターユニットごと取り外す必要があります。またレンズ周りを分解するにあたっての注意点としてはドレーカイルの仕組みを充分に理解してからでないと距離計の狂いを元に戻せなくなる可能性がありますので注意が必要です。
てな訳でレンズシャッターごとボディから取り外して、レンズシャッターから各レンズを取り外していきます。後玉は回すだけで外せます。前玉回転式ヘリコイドですから前玉はピントリングの3本のイモネジをゆるめてピントリングを外し、銘板ごと回せば外れます。外す前に一旦最後までねじ込んでマーキングしておくと組み立てるとき役に立つでしょう。

 

全レンズの全面カビがはびこっていました

参考までにヘリコイドは7条です。レンズ周りのカバーを丁寧に外すと、内部にはドレイカイルにピントリングの回転角を伝達するカムがありますからマーキングして静かに取り外します。ドレイカイルにつながる二つのギアにもマーキングしておくと組み立てるときの参考になります。

クリーニング後 キレイに見えますがカビ跡が残っています

デジカメにマウントして撮影してみた

レンズシャッターはコンパーの00番ですから、IKONTA531用に作ったアダプターが使えます。
このレンズはバックフォーカスが短いので薄型のM42toM42のヘリコイド接写アダプターとEマウントにM42をマウントする薄型のアダプターを組み合わせて使っています。

下の写真はM42toSONY Eマウントアダプタを比べてみた写真。厚みに注目

通常のM42toSONY Eであれば厚みは27.46mmとなりますがこの組み合わせだと18.50mmでした。ご参考まで〜w

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シャッターにはTモードがありませんからBモードでレリーズカムをマステで適当に止めていますw

これは良く写りますね。コーティングの痛みが酷かったので諦め気味だったんですが意外と良いです。

組み立てます

まずはレンズの無限遠を調整する必要があります。この時代のZeissIkonのカメラはピントリング付近での無限調整はできない様になっています。ピントリングとヘリコイドを止めているイモネジの所に窪みがあるのでズラせないんですね。新たな窪みを彫っても良いのかもしれませんがスマートではありませんね。
ですのでレンズシャッターとボディの間の紙シムで調整します。
このカメラは少しオーバーインフですから紙シムを増やす必要があります。

らいか
らいか

シム?スマホのSIMのこと? 虫⁇

はかせ
はかせ

シム(shim)というのは隙間を調整するための詰め物、スペーサーのことじゃ。
機械的な隙間を調整する場合によく使われる。エンジンなどにも金属製のシムを使うぞ。
厳密な決まりは無いがペラペラに薄いものをシムと呼ぶ事が多いんじゃ。

黒いのが最初から入っていたシム ベージュのが茶封筒から切り出したシム

具体的には茶封筒で作った紙シムを2枚追加したら無限遠が出ました。
茶封筒の紙厚は0.1mmでしたから計0.2mmほどレンズを前に出したことになります。
ドレイカイルは前後してもズレませんからそこは問題ありません。

紙シムを切り出すカッターですがダイソーでも安いのが買えますしNTからはすごく多種の円切りカッターが出ています。拙者は3種類持っていますが今のところオルファの57Bがダントツで使いやすいですね。

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ラチェット付きでダントツの使いやすさ

ドレイカイルプリズムに関しては少し汚れてはいますが分解せずにそのまま組み立てました。
前に整備したSuperIkonta531の時はドレイカイルプリズムがかなり汚かったので分解したんですけどね。

最後にコンパーシャッターの塗装剥がれが酷いのでタッチアップしておきました。

最終チェック

光学系のCLAのみでしたがレンズの無限遠はピッタリ、ファインダーはクリアで二重像もバッチリ、バックラッシュもなくきちんと連動します。

しかしながら、最重要部品であるレンズはカビが酷くコーティングまで侵されていてかなりのカビ跡が残っています。ただ、デジカメにマウントして試し撮りした結果は中々綺麗に写っていました。
前に作例をあげましたWeltaPelreのノンコートテッサーに比べれば格段に良いです。

コンディション認定

流石にレンズのカビ跡が酷いんで「難あり品」としか言いようがないですね。ザンネンです。

あとがき

前々から欲しかったコンテッサ35をやっと手に入れる事ができて嬉しいです。
なんと言ってもカッコいいんですよね。レンズボロいんですけどねw。
しかしデジカメ試写の結果は中々良くて、意外と写りそうなんでフィルム入れて試写に持ち出してみようと思います。

ぐりやん
ぐりやん

最後まで読んでいただき感謝です。
ジャンクがまた増殖しておりますw
困ったものですw

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コメント

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