YASHICA DSB 50mm F1.9 のジャンクレンズ分解整備 | いつの間にやらGET&レストア

こんばんは。ジャンカメ ハンターのぐりやんです。
本日の獲物はジャンクレンズ、YASHICA DSB 50mm F1.9です。発売時期は、はっきりしませんがヤシカMLシリーズと兼売されていたこと、中古品はYASHICA FRに装着状態で売られているものが多いことなどからYASHICA FRと同じ1977年に発売されたのではないかと思われます。
前世代のヤシカの一眼レフはM42マウントでありYASHICA FRが初のY/Cマウント機ですからね。ちなみにY/Cマウントを初めて搭載したカメラはCONTAX RTSで1974年に登場しています。

はかせ
はかせ

説明しよう。RTS以降のCONTAXブランドのカメラはヤシカが製造しており、ヤシカはCONTAXとYASHICA2つのブランドのカメラを製造販売していたということなんじゃよ。そしてこの時代のYASHICA/CONTAXの一眼レフのレンズマウントは共通で互換性があるんじゃ。じゃからY/Cマウントなどと呼ばれるのじゃ。

YASHICA DSB はM42マウント世代のYASHINON DSをバヨネットマウント化(Bayonet Mount)したものなのでDS+B となったという噂です。そして製造は富岡光学と言われています。

ぐりやん
ぐりやん

こりゃ期待できますね。

手持ちのYASHINON DSと並べてみました。F値がほんの少し違いますが口径はだいぶ違う気がします。YASHINON DSは黄変していますね。実はアトムレンズと言われています。
DSBは黄変がないのでアトムレンズは使われていないんでしょうね。

YASHICA LENS DSB 50mm 1:1.9

さて今回入手したレンズを見ていきます。
外観はそれなりにヤレていますが年代を考えれば綺麗な方だと思います。ゴムリングも問題ありません。ただ銘板を無理やり開けようとしてコジッたような傷があります。YASHINON DS と同じタイプならば、回して開けるんですけどね。そして分解するのに銘板を外す必要はないんですヨ。
前後のレンズエレメントはかなり汚れていて内部もチリが多いようですが、大きな傷やカビは見当たらないようです。
ヘリコイドはグリス切れでスカスカですね。
鏡筒に少しガタがありますねぇ。どこかのネジが緩んでいるのでしょうか?
絞り羽根の作動は良好、油もありません。
ジャンク理由は銘板の傷とスカスカのヘリコイドでしょうかね?

状態の確認と整備の方針

一番の問題点は鏡筒のガタとグリス切れのヘリコイド。
ヘリコイドまで分解して洗浄とグリスアップ、ヘリコイドのガタの原因を究明して是正する。
レンズは状態を見て、どこまで清掃するか決めようと思います。

分解整備

このレンズ前枠を回すと丸ごと外れるはずなのですが固くてビクともしません。
こういう時に最後の手段として使っているのが「Baby-Boa Constrictor」というストラップ式のレンチなのです。

Baby-Boa Constrictor

かなり古いものですが中々強力で、大概のものは回せてしまいます。実はこれでも回らなかったレンズも一つだけあるんですけどね。対象物との接触面はゴムなんで傷をつけることもありませんし用途は色々なんで一つあると便利ですよ。同じものはなかなか手に入らないかも知れませんが類似品がたくさん出ているので困った時には試してみるのもいいかもしれません。

お買い物リンク
便利です。類似品もたくさんありますがサイズと材質に注意して選びましょう

その他苦労したのがマウントを止めている4本のネジです。この件はマウント側を分解するときにお話ししましょう。

ガチガチの前枠を先程の黄色いベルトレンチで外すとプラ製の前玉抑えが出てきましたが、カニ目に思いっきり傷がついていました。しかも緩んでいました。前枠はガチガチでしたから、前枠を外さずにカニ目を無理やり回したのだと思います。

プラ製の前群押さえの裏にも接着剤がついていましたね。
前群はユニットごと抜けます。 枠の材質はプラッチックですね。

ここから先に進む人は、マーキングしながら分解しないとピント(無限遠)が狂います。

ピントリングの裏に赤いネジロックがついたネジが見えます。これを外すとピントリングが外れます。

次はマウント側から分解しますが、マウントを止めている4本のネジが回りません。
またもやネジロックでガッチリと固められてかなり苦労しました。

ネジロック剤がタップリと(^_^;)

固く締まったネジには良い工具が必要

こういう時のために準備しておいた世界のKTC製の精密ドライバービット0番は、前回のCANON FD 200mmF4 S.S.C.のマウントネジに負けて先端がダメになってしまいました。高価なので、いざという時用として使ってきましたので使用回数は多分数十回です。このドライバービットも軸もダメです。プラスチックにハマっている緩いネジなら使いやすさ満点だと思いますが、金属のカメラに使うには全くお勧めできません。ビットの先端は弱いし、強いトルクをかけるとチェット部分が滑ります。使い勝手と使いごごちは非常にいいんですが、強度不足で全くダメです。残念。高かったのに。。
しかもビットの別売りは無いと?もう最低じゃん。まじで。

ドライバーが舐めたのでネジ山の角なんとか生きていた。
我が家で最強、謎のドイツ製ドライバーでなんとか外せました。

我が家で最強の精密ドライバーとは20年ぐらい前にJapanHobbyTool(以後JHT)で買ったドイツ製の差し替えドライバーですね。長年(使用回数はそれこそ数万回かも)使っていますがビット先端は最強に強靭ですし、ネジにフィットしてどんなに硬いネジでも回してきました。難点は軸が細くてあまりトルクがかけられないことです。どうにもならない時はプライヤーで強いトルクをかけてきましたがビットの先端は未だビクともしません。結果どんなネジでも開けてきました。
KTCのは軸が太めでゴム引きなため、かなりのトルクが掛けられるのですが、腕力だけでビットの先がネジに負け破損(捻れ)ました。世界のKTCが新しい精密ドライバーを発売したってことで喜び勇んで買ったのに非常に残念です。
この件はいずれKTCに投げかけてみようと思います。
精密ドライバーはPB、KTC、JapanHobbyToolの謎のドイツ製、謎の真鍮軸の精密ドライバーを使っていますが、ランキングをつけるとすれば

1位、JapanHobbyToolの謎のドイツ製(メチャメチャ頑丈)
2位、謎の真鍮軸の精密ドライバー(フジ矢製の可能性が高い)
3位、PB(先端の形状によりフィット感がイマイチ。ネジを傷つけない設計?)
4位、ANEX(先が曲がった。マイナスの0.9だから仕方がないか。)
5位、VESSEL(あのベッセルなのに先が曲がった)
最下位、KTC(世界のKTCなのに先が曲がった)

となります。PBの普通のサイズ(No.3など)は最高なんですけどね。あくまでも拙者の個人的な見解ですが。
JHT謎のドイツ製ドライバーは残念ながら現在は販売されておらず、代わりにJHTオリジナルのドライバーになってるっぽい。同様の強度があれば欲しいけど、試しで買うにはお高いですね。
このドライバーもう一本確保しておくべきだったなぁ。かなり酷使してるんで、いずれ電動インパクトのビットのように先が折れると思います。
実は工具も大好きで色々使ってきたので、その話はいずれ特集しようと思いますw

閑話休題w

絞りリングを外すときにはクリック感のための鋼球とバネに注意します。マウントやらなんやらを外すと直進キーが出てきたのですが、マーキングをしてから直進キーを外します。

そしてバラバラになりました。白いトレイに乗せてあるのが1枚目(E1)と6枚目(E6)この2枚のみ洗浄します。その他、問題なく洗えそうなところは全て洗います。

YASHICA ML 50mm F2のトレース

クリーニングなど

いつものように水道でじゃぶじゃぶと洗いました。今日は貼り合わせレンズがありませんのでぬるま湯を使ってしまいましたよ。水が冷たすぎますからね。

らいか
らいか

茶色い物体は?

ついでにレンズサッカーの吸盤も洗ったのですよ。

文字に詰まった汚れも綺麗にします。洗えるところは全て洗いました。

1枚目と6枚目一見綺麗になりましたが実は1枚目の裏側にカビ跡のようなものが残っています。

2群と3群はフレームにハマったままお掃除っすわ。抉り傷が多めな銘板はプラ製なのでチコっと修正しときました。

ガタの原因

忘れちゃならないガタの原因はピントリングの付け根側のネジでした。

グリス切れのまま使い続けたためアルミ製という事もあり磨耗したものと推測します。
どうにもならないのでグリスアップのみ実施しましたが、ほぼ気にならないレベルに改善しました。

組み立て

綺麗にしたパーツに必要な場所のみグリスアップしながら組み立てます。ヘリコイドにはマーキングが一杯ですわw。おかげで無限遠調整せずにOKでした。備えあれば憂いなしっす。

最終チェック

CONTAX 159MMに取り付けてチェックしました。
絞り羽根の動きもバッチリです。(整備してませんw)

前年ながら、前玉の裏にポツポツが残りました。しかし透明度抜群クモリなし。

いつもの二眼レフカメラコーナーw
苔と残雪

写りも4群6枚っぽいクラシカルな写りです。オリジナルプラナーと同じ構成ですからね。

コンディション認定

前玉にカビ跡があるがクモリなく写りに影響ない実用品ってことで「並品」に認定です。

あとがき

YASHICAのY/Cマウントカメラが2台もあるのに純正レンズがないので欲しかったんですよ。特にMLではなくDSBが欲しかったんですよね。実は最近4群6枚の写りが気に入っているんですよね。先日のC.C PETRIも4群6枚でしたね。
いずれ4群6枚撮り比べをやってみたいですね。

次回はMD世代のROKKOR標準レンズ、若しくはROKKOR-SI 28mmF2.5の第2次レストア(紫外線照射結果)のどちらかをお送りする予定です。
紫外線照射はすでに丸5日も続けていますw

では、おやすみなさい。

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この記事を書いた人
GRiyan

ぐりやんです。自称ジャンカメハンター。フィルムカメラに傾倒しています。ジャンクカメラを買い集めて、レストアするのに夢中です。ブログ歴17年。その他、タイヤが付いてる乗り物が好きです。特に2輪のものが好きです。雪山とか海で遊ぶのも好きです。そしてウクレレも好きです。

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