ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日は前回に引き続きRICOH XR500 CLA+です。今回はミラーボックスモジュールをやっていきます。もちろんこの名称は勝手に言ってるだけで正式な名称ではないので悪しからず。
ミラーボックスモジュールの構成と機能
勝手にミラーボックスモジュールなどと言っていますが、どんな構造かと言いますと、前板とレンズマウント、ミラーボックスそしてファインダー用のコンデンサレンズとピントスクリーンまでが一体となっています。この様な構造にするには製造時の精度が求められると思いますがフランジバックに関わる部分に全くシムが入れてれておらず全て切削加工されていますね。これは分解組立が容易ですし精度も高そうですね。
豆知識
ミノルタXEのコパルCLS(シャッターユニットの名前ね)はちょっと特殊な構造でミラーボックスにはミラーをリターンさせる機能のみで、ミラーを跳ねあげる役割はシャッターユニットが受け持っていました。XR500に搭載されているコパルCCSは普通の一眼レフ用フォーカルプレーンシャッターと同じで、ミラーボックス内にミラーを跳ねあげる機能とミラーをリターンさせる機能が内蔵されています。
一般的な一眼レフのシャッター作動シーケンスを説明しよう。まずレリーズボタンを押すとミラーのロックが解除されてミラーが跳ね上がる。そしてミラーが上がりきったところで実際のフォーカルプレーンシャッターの先幕のロックレバーを蹴飛ばすようになっておる。それで先幕が走り出し、先幕の軸に付いている後幕のロックを解除するカムが後幕のロックを解除して後幕が走り出し最後に後幕が閉じる寸前にミラーのロックを解除する様になっておるのじゃ。
レリーズボタンを押す
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ミラーのロックが解除されミラーアップ開始
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ミラーが上がりきったところで先幕のロックが解除されミラーアップ状態でロックされる
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先幕が走り始める
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先幕が後幕のロックを解除する(設定シャッター速度によりタイミングが変わる)
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後幕が走り始める
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後幕が閉じる寸前にミラーのリターンロックを解除
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ミラーが下がる
つまり一眼レフはミラーが上がりきってからシャッターが開き始めるんでシャッタータイムラグが長めなんだね。レンズシャッター機やフォーカルプレーンシャッター搭載機でもミラーが無いレンジファインダー機ではレリーズと同時にシャッターが開き始めるからタイムラグが短いんだね。
ミラーボックスモジュールのCLA
まずは前回ポロリと出て来たダンパーの破片は、大きなショックが加わる部分に使われているはずです。一眼レフで一番大きなショックが発生する部分は一番重い部品であるミラー周りです。
ダンパーの確認
さて破損したダンパーを捜索するために、ミラーの駆動部分を確認してみます。
ミラーを上げたり下げたりするための複雑なカムなどはミラーボックスの横にありその駆動力を蓄えるバネ等はミラーボックスの下にあります。
そのあたりを確認すると破損したダンパーを発見しました。(しかし上の破片とは合致しない気もします)ここに見える大きなバネがミラーを上げ下げするための駆動力を生み出すバネです。このバネは巻き上げレバーで巻き上げ操作すると同時に引っ張られてロックされる仕組みになっています。いわゆるミラーのチャージですね。このバネを引っ張るためのチャージカムは強力なバネ2本を一度に引っ張りますから、丈夫で重くなってきます。そしてミラーリターンと同時にバネに引っ張られてダンバーに激突することになるんですね。このダンパーの破損が音が大きい原因の一つだと考えられますね。
ちなみにミラーアップ時のダンパーはミラーが上がったところにあるモルトが担っています。
上で説明した様にミラーアップのスピードを上げる事がレリーズタイムラグの短縮に繋がりますからミラーの作動には強力な駆動力が必要です。しかもミラーはガラス製で重たいのでミラーの速度を上げるとミラーショックといわれる振動が大きくなってしまいます。ですからこの辺りの設計というかバランスは非常にシビアでしょうね。この頃から各社の一眼レフは小型軽量化されていきますが小型軽量になると更にミラーショックによるブレが問題になりますからミラーショックを抑えるためエアーダンパーを備える機種も増えてゆくことになったんですね。
ダンパーの作成と装着
いつもの様に熱収縮チューブの分厚いやつを収縮させてダンパーにします。
素晴らしいほどにぴったりですね。いい感じです。作動音もかなり静かになりました。
もう一点気になる不快音を解消して更に上を目指す
一番最初に書いたんですが、このカメラはシャッターレリーズ後の残響音が非常に不快なんですね。
バネが振動している様な残響音が1秒ぐらい聞こえます。
実は先日整備したMinoltaXEに施してあった対策を参考にこのカメラにも対策したいと思います。
まずは音の発生源を探します。と申しましても先ほどのミラーボックス下にある3本のバネの何れかが発生源だと思われます。なので対策を施していきます。
でその対策ですが原理は簡単でバネの振動を短時間で収束させるためにバネの中にモルトを入れるというだけ。ではやっていきます。写真は撮り忘れましたw
実は上の動画では既にバネの中にモルトを入れてあるのです。よーく見れば分かりますね。
そして太いバネ2本にモルトを入れても残響音は治りません。
結果的に一番の残響音が出ていた原因は、いちばん底にある小さな細いバネでした。
結果3本のバネに対策しましたが結果は上々で不快な残響音は消え去りました。
しかし静かになるとまた違う音が気になり始めます。ついでなんでここにも同じ対策を施しました。
どうやら細くて長いバネが音が出やすい様ですね。多分スプリングの輪っか同士が共鳴して残響が長く続く音で輪っかは小さいので甲高く不快な音になるのだと思います。対策すると甲高い音はほとんど消えますがスプリング自体が振動する低い音は残りますね。そういえばスプリングの外側にスプリングに接する様にモルトを貼ってあるカメラも見かけますね。メーカーも対策に苦慮した訳ですね。
コンデンサレンズ周りのCLA
ここには劣化モルトが仕込まれていますから除去して貼り替えます。
ミラーもカビだらけなのでクリーニングしました。
綺麗になりましたが真ん中に大きめの傷が残りました。(最初のカビの中に傷が少し見えますね)
マウントも外してレンズロックレバーのところはグリスアップ、ミラーが当たるところのモルトは張り替えてはあるものの高さが不足していたのでモルトオンモルトで2階建てにしましたw
マウントカバー上部の割れにはプラを溶かす溶剤を流し込んで溶着させておきました。
コンデンサレンズはピントスクリーンと一緒に周囲を黒いテープで巻いてありました。隙間にゴミはなくキレイでしたのでコンデンサレンズの上面とピントスクリーンの下面のみをクリーニングしました。
そしてモルトを貼ってミラーボックスモジュールは完了です。今日はここまでw
あとがき
これでボディとミラーボックスが完成しました。ほぼCLAのみの施工ですがバネの不快な音を消すための対策を実施しましたのでこの部分は+αで新品の時には無かったものですね。
残すはシャッターモジュールとペンタプリズムモジュールですね。頑張ります!
さて次回も引き続きRICOH XR500のシャッターモジュールを整備していきます。
乞うご期待w
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