TAXONAについて
戦後の東ドイツ、ドレスデンで最初に製造されたカメラの一つです。
この個体は、Tessar(373万番代)付きですので1953-1955年あたりの製造だと思われ、巻き戻しダイアルがプラ製、絞りがF22まで、シャッタースピードのプレート色がシルバーでTEMPOR表記なしですので、戦後東ドイツで再生産されTENAXからTAXONAに名前が変わった、かなり初期のものだと思われます。
前置きはコレぐらいでw
TAXONA がおかしい
カメラは触らないと調子が悪くなります。
ある日タクソナを触ってみました。
ん?
もともと超ジャンク状態でやってきた個体ですが、シャッター周りが超不調です。
うちにやって来た時は、シャッター羽根が酷い状態でね。
しかもこの傷同士がグサッと刺さって、引っかかるという重症(大汗)
こんな状態でやってきたのをちょこっと調整して騙し騙し使っていましたが、まあ対処療法でしたので再発です。
再発は良いとして、シャッター羽根の傷同士がグサリとハマっちゃうので傷がどんどん悪化してしまいます。早くなんとかしないと再起不能になります。
なのでバラシに入ります。
羽根自体に損傷があるため根治は無理でしょうが使える状態までは持っていきたい。
シャッターユニットの分離
TENAXからTAXONAに継承されたこのカメラの最大の特徴と思うのが、ボディの中にレンズシャッターが半没しているところです。#00シャッターはコンパクトとは言え、直径は45ミリほど厚みは16ミリほどあります。また135のパトローネの直径も25ミリほどあります。
この小さなボディに汎用の#00番のレンズシャッターを搭載して、135のパトローネを収める。しかもレンズの焦点距離は35ミリですから設計者は苦労したと思います。
他にこのカメラとして似ているもの、135パトローネが使えてコンパーの#00番シャッターを組み込んだとものとしては、拙者の知る限りハーフサイスカメラの元祖として(拙者の中で)有名なkorelle kがありますね。このカメラにはTessar35mmF3.5を搭載したものがあるのでもしかしたらTenaxの設計者はkorelle kを参考にしたかもしれませんね。
話が逸れてきたので、修理の話に戻ります。
シャッターユニット自体はアパーチャー側から4本のネジで固定されているだけなのですが、TAXONAとエルネマンタワーの刻印がされたシャッターカバー(下写真の右上に写っている)を外す必要があるため、貼り革を剥がさなけらばなりません。
これでシャッターは下ろせますが、招き猫チャージレバーはボディ側に付いたままになります。
ここらに問題が発生しているのを偶然発見しましたので対策します。
チャージリング ストッパーの破損対策
チャージレバーを押し込んで(緑の矢印)離した時にレバーが戻ります(黄色い矢印)よね?
するとボディ側のストッパー(青)にチャージリング(勝手に命名w)に付いている金具(赤)がカツーンと当たって止まる構造になっています。この金具がプレスした鉄板を曲げただけなので構造的に弱いようです。
拡大してみるとわかりやすいかな?赤丸で囲んだ金具なのですが、チャージレバーストッパー(勝手に命名w)とでもいいましょうか?コレが折れかけています。
チャージリングを外してみました。
ゴム状になる接着剤(スーパーX)とジャンクパーツで弾性のあるダンパーを構築・強化しました。
弾力性もあるので壊れることはないでしょう。
あとはシャッター羽根を目指しシャッターユニットを分解します。
シャッターユニットの分解とシャッター羽根の状態
TEMPORシャッターの内部。機構はCOMPURのコピーと思われる。
カム類をぼぼ全て取り外して、その後、金色に見えるスローガバナも取り外してシャッターケースからベースプレートを抜きます。
すると3枚のシャッター羽根が現れます。
すでに1枚目は取り除いていますが、シャッター羽根です。真ん中に損傷があるの見えますか?コレが引っかかりシャッターがスタックするのです。見えないので等倍拡大してみます。
酷いですが、ちょこちょこっと微修正および微調整して組み方も変えました。
コレで何とか引っ掛からずに使えそうです。
ガバナーも洗浄して快調になりました。
このカメラ絞りはレンズユニットの方に付いているのでシャッターの後ろには何もありません。
しかしこのベースプレート裏の金具にも変形があるようなので修正しておきました。
あとは、組み立てて完了です。
久しぶりに持ち出しますかね〜。
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