Carl Zeiss JenaのJena(イエナ)というのは元々Carl Zeissが顕微鏡工房を起業した地で、その後は写真用レンズの工場があった場所の地名です。戦前のレンズにはほとんどの場合Carl Zeiss Jenaの文字が刻まれています。ドイツのカメラメーカーは地名を入れているものが多いですね。
さて、ドイツが2次大戦で分割された事はご存知でしょうが、Carl Zeiss Jena創業の地イエナは東ドイツ側に位置していました。戦後のドイツは、西ドイツと東ドイツに別れてしまうわけですが、それに伴いCarl Zeissも東側と西側(東ドイツのJenaと西ドイツのOberkochen:オーバーコッヘン)に別れる事となり、戦後は「二つのCarl Zeiss」と言われる時代になります。
1990年東ドイツのVEB Carl Zeiss JENA Felix O, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
戦後から東西ドイツが再統一される1990年までの時代ではレンズの表記は色々なものが存在します。戦前と同じCarl Zeiss Jenaのモノや、Carl Zeiss Jena DDRと書いてあるモノ(DDRとはDeutsche Demokratische Republik:東ドイツ)その他C.Z.Jenaと書いてあったり単にJenaだけの表示のもの、aus JENA、(ausは英語でいうとfromです)これらはイエナがある東ドイツ製です。この件については戦後の色々な理由がございますので興味がある方は調べてみてくださいね。