曇りの日が続くので、クモったレンズの曇りも晴れんわとボヤキが入っている、ジャンカメ ハンターのぐりやんですw
本日の獲物はサン光機の超標準(?)ズームレンズ SUN ZOOM 35-140 F3.8-.5.3 MACROです。
拙者はズームレンズを買い求めることは少なく入手理由としては抱き合わせ販売されていたってのがほとんどです。ですからズームレンズはあまり持っていなかったのですが最近急激にズームレンズが増殖してきましたw。しかしSUNは少なくこれが2本目です。前に入手したのは35-70 F3.5-4.5ですね。こちらはSUNらしいクロスのローレット風ゴムリングになっています。カタログではRZM357と言う型番になっています。
MC SUN ZOOM 35-140MM1:3.8−5.3 MACRO
実は発売年がハッキリしないのですが、ネット上の情報を探索してみると発売は1983年、そしてこのレンズを販売していた「ゴトーサン」という会社が倒産する1984年までの2年間だけ販売されていたとありました。型番はSZM314(¥55,500)となっています。しかし少し作りが違う様なのです。具体的にはピントゴムの模様が違うんですよね。マイナーチェンジ前の型でしょうかね?謎ですw。
RZMとSZMについてですがRはRegularZoomMacroでSはSuperZoomMacroの略と予想しました。SZMについてカタログには超標準となっていますからね。構成は11群13枚の4群ズームでマウントはPentax-Mマウントです。構成図はネット上では見つかりませんでした。
状態
とにかく中玉のクモリが気になります。前玉にも揮発した油か何かがついている様です。そして前玉周りに分解痕がありしかも傷跡をタッチアップしたのでしょうかレンズエレメントにまで黒い塗料が付着している様です。後玉にも何か揮発した成分が付着した様な痕跡が見えます。あと鏡筒に少しガタツキがあります。
今回のメニューもだいたいいつもと同じなのですが、レンズエレメントのクリーニングと鏡筒ガタツキの原因を探ってなんとかします。
分解
まずはいつもの通り吸盤オープナーからスタートです。前に分解した人はいきなりカニ目オープナーを使ったのでしょうかね?
これで銘板が外れてレンズ押さえのカニ目リングが露出しました。これを吸盤オープナーで回すと前玉がごそっと抜けました。
そしたらズーム第2群のカニ目にも傷跡があります。そして拭き跡もあります。
ズーム第2群周りにあるカニ目は目隠し(遮光)のプレートの様です。これも吸盤オープナーでいけました。そしたらプラスネジ3本で第2群ユニットが外れます。
拙者は前玉に用事がありましたの前玉からバラしましたが、前玉に用事が無ければ最初からピントリングのゴムリングを外してイモネジ3本を緩めれば前玉がヘリコイドごと抜ける構造になっています。
ズーム第3群ユニットを外すにはかなり分解する必要があります。ここから先はピントのロックが外れてピントが狂うのでご注意あれ。
まずはピントリングのゴムリングを外します。イモネジ3本が現れますからこれを緩めるとピントリングがフリーになります。あとは現れるネジを外しながらカムスロットが現れるところまで分解していきます。
ここまできたらこの斜めのカムスロットのネジが第3群のカムですから、このを3本外せば第3群と絞りがユニット化された第3群ユニットがヌルッと抜けてきます。
ズーム第4群はレンズを裏から見たところのカニ目で外せるのですが第3群を抜いたことにより絞り連動レバーと絞りユニットカムの嵌合が外れていますから組み立てることまで考えるとマウントを取り外したほうが、分解組立が楽にできます。マウントを外してしまえば第4群ユニットは手で外せます。
鏡筒のガタツキはマクロリング付近だったので分解しましたらマクロリングにはヘリコイドが内蔵されており鏡筒自体を丸ごと繰り出す構造になっていました。凝った作りですね。SUNのレンズは廉価なイメージでしたが、ズームカムはキヤノンのようなプラ製ではなく金属製で精巧な作り鏡筒も総金属製でコストダウンとは無縁と言える設計でした。このクオリティを廉価で販売したのが倒産の原因ではと思ったのでした。
クリーニング
今回は第4群の前2枚以外全て洗浄します。特に問題があるのがズーム第3群の2枚ですが果たしてどうなるでしょうか。
結果は残念なことに。結局クモリが取れませんでした。
第3群が全滅で中に2群(2セットの意)が有るのですがどちらもクモってコーティングも傷んでいます。第4群のいわゆる後玉はコーティングが死んでました。
処置不能です。そのまま閉じることにしました。
最終チェック
最初に書いたように今日は曇りですわw
強い光がなければソコソコ写りそうな感じです。
ボケも嫌な感じはなく中々の写りですね。マクロモードでは35mmの方が寄れて大きく取れます。どちらも最短までは寄っておらずもう少しだけ寄ることができます。
コンディション認定
クモリレンズにコーティングの損傷。写りはしますが「ジャンク」に認定です。
実にもったいないですね。
あとがき
SUNズームの入手は2本目と申しましたが、一本目に入手した35-70もジャンクだったんですがピントリングが重くてズーミングがスカスカなジャンクで、レンズには問題がなかったのでレストアしていないんですよね。つまりSUNのレンズを分解したのは今回が初めてなのです。
SUN=安物というイメージを持っていたのですがバラして感じたのは「つくりは安物ではない」って事でした。非常に真面目な設計で精巧で堅牢な作りだと感じました。どのメーカーでもクモるレンズはほとんどが絞りの前後で、物によってはコーティングが痛んでいたり今回のようにレンズまで腐食していることがあります。絞りに使われていた潤滑油の揮発成分(か何か?)がレンズエレメントに影響を与えて可能性が高い気がしますね。レンズに影響を与えない揮発成分であれば洗浄すれば透明になるんですけどね。レンズ自体が腐食していると手の打ち用がありませんね。研磨するという手も有るんですが、根気がいる上に写りに影響が出ますから悩ましいです。
最後まで読んでいただき感謝です。
さて次回はちょっと時代が飛びますが1989年に発売されたらしい、超クモったサードパーティ製の標準ズームレンズをレストアしていこうと思います。
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