2022.11.22公開 2023.7.22再編集
ズバリ!単体露出計は、必要なのか?
これはどちらとも言えません。
必要だと感じる場面を考えてみます。
「露出計を使わない方がカッコいい」とか、「俺、露出計必要無いからカメラに電池入れてねえし、露出計壊れてても問題ないし」とか、「まあ初心者は露出計使った方が良いかもね。俺には必要無いけどね」などと、こんな人種が居ますが、無視してもらって構いませんw
露出計が付いていないカメラを使う場合
これは単体露出計を持っていたほうが良いでしょう。
ネガフィルムを使って屋外で撮影するならば必要無いかもですが、適正露出を知り失敗せずにキレイな写真を撮るためには必要です。フィルムも現像も高いんで失敗すると痛いですからね。
またリバーサルフィルムを使ってみたい場合は必須です。リバーサルフィルムはラチチュードが狭いためヤマ勘で撮るのはまず不可能だと思ってください。
正確な露出を測定するには入射光を測る必要がありますから入射光も測れるものを求めておくのが良いでしょう。入射光式ってのはプロのカメラマンがモデルさんなんかを撮影する場合に、助手の方がモデル付近で測定しているアレです。
露出計が付いているカメラを使う場合
ほとんどの場合、単体露出計は不要でしょう。
反射光式露出計と入射光式露出計
ほとんどの場合とは?必要な場合もあるの?
そうなんですねー。カメラに内蔵されている露出計は実は万能では無いのです。
カメラ内蔵の露出計は、反射光式と言いまして、被写体に反射した光を測定するものなんですね。
では被写体が極端に光を反射しやすい、例えば真っ白なニャンコを撮るとしましょう。
真っ白なニャンコをカメラの露出計(反射光)で測って写真を撮ると白ではなくグレーに撮れてしまうんです。極端にいうと真っ白い紙を撮るとグレーに撮れます。
どういう事かというと、反射式露出計というのは被写体が18%グレーという明るさになるように設計されているのです。つまり真っ白い猫が18%グレーの猫、つまり白ではなくグレーの猫に写ってしまうわけです。では真っ黒い猫だとどうなるのか?
そうです。もちろん結果は同じ白い猫でも黒い猫でも18%グレーの猫に写ってしまうんです。
どうやったら、被写体の反射率に関係なく正確な露出を測れるのか?
そこで登場するのが入射光式の露出計なのです。入射光式の露出計では被写体に当たっている光(入射する光)を測定します。入射光式の露出計を使って露出を決めると白い猫は白、黒い猫は黒に撮ることができるのです。
別の言い方をすると、反射光式の露出計では被写体の反射率によって測定される露出が変わってしまうので被写体の色などに左右されるのです。
入射光式では被写体付近の明るさを測るので白い猫でも黒い猫でも露出は同じになり白いものは白く、黒いものは黒く写るわけです。
例え話、極端な例なんで、ツッコミはナシでw
結論 必須とまでは言えないが、一つ持っていると便利デス」
露出計が付いていない、もしくは壊れちゃってるカメラを使う場合は必要でしょう。
露出計が付いているカメラを使う場合は不要だけれど、ポートレートなどをリバーサルフィルムで撮影したい場合など正確な露出を測定したい場合は入射光を測定できる露出計が必要と言っていいでしょう。
まあ、フィルムカメラで写真を撮る人は、露出を理解をする上で一つは持っておいても損はないと思いますよ。
露出を理解をするためには、デジタル式よりもアナログ追針式の露出計を強くオススメします。
ダイアルの組み合わせを見るだけでも露出の仕組みが理解できると思いますよ。
そもそも「単体露出計」ってどんなもの?
単体露出計って何なの?
説明しよう。
それは単体の露出計のことじゃ。
一つ持っておくと便利じゃぞ。
露出の勉強にもなるしのぅ。
具体的にはこの写真のようなもの。被写体の明るさを測定して追針式や定点合致式でシャッタースピードと絞り値を瞬時に計算できる。
ツインメイトとシックスチノは入射光、反射光とも測れます。オートルミは反射光のみですね。
追針式(拙者が持っているもの)
手持ちのものを3つ並べてみました。3つとも追針式で同じようなタイプのもので、ツインメイトとオート・ルミはセコニック製でシックスティノはゴッセン製です。ツインメイト以外は中古でしか入手できません。
性能はずっと下でまとめて表にしました。EV露出方式のカメラで使うならEV値がわかる物の方が便利な場合もあるでしょうね。
正確さでいうならセレンよりSPDなど電池を使うタイプでしょうがそこまでの精度が必要なのかといえば拙者的にはセレンで十分だと思います。
使い方は簡単です。下図はツインメイトの例です。他の二つも同じような使い方です。
1.あらかじめISO感度を合わせておきます。(赤丸)
2.露出計を被写体に向けて測定ボタンを押すと明るさが測定され指針(赤い針)が動きます。測定ボタンから指を離すと指針が15秒間保持されます。
3.ダイアルリングを回して追針(緑の太い針)を指針に合わせて、シャッタースピードと絞りの組み合わせを読み取ります。表示されている組み合わせはどれを選んでも適正露出ですから例えば1/1000とF5.6でもいいですし、1/60とF22の組み合わせでも良いです。EV値をセットできるカメラであればEV15にセットすれば良いことになります。ネガカラーやモノクロであれば少々のずれは気にしなくて良いですよ。
例えば露出を1/125 F16に決定したとします。
そこで急に背景をボカしたいから絞りを開けたいと思いました。
どうすればよいでしょう?
露出計を見れば簡単なのです。自分のカメラの最速のシャッター速度のところの絞り値を読み取るだけでOK。1/4000とF2.8の組み合わせで適正露出って事ですね。
でも見なくても簡単にわかる様になっているのが「カメラの露出の考え方」のスゴいところなんです。
一例ですが上の写真では、カメラの露出は適正値の1/125 F16に合わせてあります。
カメラの絞りをカチカチと絞りを開く方に動かします。
16→11→8→5.6→4→2.8 5回カチカチしましたねw
次はシャッターですね。こちらもダイアルを5回カチカチします
125→250→500→1000→2000→4000
組み合わせは1/4000とF2.8ですね。
これで適正露出のまま露出を5段分シフトさせた事になります。
理解できますかねぇ?説明が下手でスイマセンw
次は、実際に操作してみたところ。こんな感じで片手で操作しやすい設計になっています。
拙者的にはシングルダイアルで片手で使える追針式ものが好きですし、強くオススメしたいと思います。
上にあげたセレン式は常に測光されていますから測定ボタンはないですがそれ以外は同じような使い勝手です。常時測光されていますから測光時の操作はダイアルを回すだけでいちばんん早いと思います。
ツインメイトとシックスチノはクリップオン可能といった特徴もありますが注意点があります。
双方をLeicaにくっ付けてみたところなのですが、シックスチノの方シャッターダイアルがほぼ隠れてしまいます。なのでこういうアクセサリーシューの近辺に突起物や操作部があるカメラには使えません。それとクリップオン金具は別売りなので中古を求める場合は注意が必要です。
ツインメイトは写真のようにクリップオンアダプター(正式名称:シュー取り付け板)をオフセットさせて取り付けることができ、ある程度の自由度があります。クリップオンアダプターは標準付属ですが中古を買う場合はついてない場合も有るため注意しましょう。
定点合致式、読み取り式(一個も持ってない)
その他現在販売されているものから選ぶとすれば下のようなものが有ります。
拙者は持っていませんが、候補になりそうな露出計を並べてみました。
左の二つはクリップオンメーターといってカメラのアクセサリーシューに取り付けて使うように作られたタイプです。上の黒いのがフォクトレンダーのVCメーター2で下の銀色のは中国TTartisanのTT METERで全て新品で入手可能、特にTT METERはお安いです。上であげた露出計との大きな違いはダイアルが二つあるということと定点合致式というところです。右のはみんな大好き独逸製のDIGISIX2という露出計です。上で紹介した追針式とは違いEV値がデジタルで表示されます。
最近流行りのクリップオン式は使い方も少し変わってきます
使い方は三角か±を参考にどちらかのダイアルを回して緑のランプが点いたら適正露出ということなので、その時のダイアルの値を読み取ってカメラに設定するということになりますね。ダイアル二つのものは絞り優先的もしくはシャッタースピード優先的に使いたい場合には便利ですね。
例えば、屋外でスナップに使う場合なんかだと、シャッターダイアルを125か250あたりに固定しておいて絞りダイアルのみを回せば良いです。二つとも2つのダイアルの間に数本の線が引いてありますが、これは何かと言うと、この組み合わせでも適正露出になるということです。上の写真の場合どちらとも1/125 F16の組み合わせですが1/60 F22 でも良いし 1/250 F11でも良いわけです。この二つは反射光専用で入射光は測れません。
EV読み取り式のDIGISIX2
左側のDIGISIXはボタンを押すとEV値が表示されるので、ダイアルにEV値を合わせてシャッタースピードと絞りの組み合わせを割り出す方式ですね。追針式は針を重ねるだけですが、こちらは数字を読み取ってそれをダイヤルでセットする訳ですね。いわばEV読み取り計算尺方式でしょうかね?
EV方式の露出を採用しているカメラであればデジタル表示されたEV値をそのままカメラにセットすればOKです。
こちらは測定範囲がEV0〜18までなのでかなり高性能ですよ。
EV0はロウソク一本の暗さですよ、もうちょっとくらいかもしれません。
ISO100で2秒 F1.4で適正露出ですからね。
これは入射光、反射光とも測れます。
EVって電気自動車?
違うよねぇ?
EV方式って何?
説明しよう。EV方式とはEV値を設定する事で露出の設定が可能な機能のことじゃ。
下の写真の様ににシャッター速度や絞り以外に2桁の数字が設定できるカメラはEV方式を採用しておる可能性がある。ASA100 1/125 F16に合わせて15という数字が表示されればEV方式を搭載したカメラに間違いないじゃろう
まとめ
使い易さと素早さという点においてはセレンの追針式が最強でしょうね。測光ボタンもありませんからダイアルを合わせて組み合わせの値を読み取るだけでOKです。精度と入射光でも使えるものと考えればツインメイトが一番だと思います。本当に使いやすい露出計ですよ。
最近発売されたデジタルの露出計は非常に使いにくそうです。カメラの電子化が急加速した当時、カメラからダイアルが無くなって非常に使いにくくなった事を思いだしました。
使用中にモードを切り替えるなど手間がかかるだけですからね。
そう言う訳で、買うならばシングルダイアル式の追針式ものを強くオススメします。どうしてもコンパクトなクリップオン式が良いならば2ダイアル式が良いです。昔はセコニックのシングルダイアルのクリップオンメーターを持っていたんですが落として無くしちゃいました。
デジタル式はどうしても操作が煩雑になりますのであまりオススメできませんねぇ。
終わりに
現行タイプで一押しはセコニックのツインメイトです。使い易く信頼性も高く、反射、入射、EV値対応ですしシングルダイアルで素早く露出の決定が出来ます。
そして、この種の追針式でダイアルの値を読み取る方式はシャッタースピード、絞り、フィルム感度の関係性を理解する上で非常に分かりやすいのです。よく露出の話でプラス1段とか、マイナス何段みたいな話が出ると思いますが、このタイプの露出計を触ってみると考え方がよくわかると思うんですよね。
そして使っているうちに露出の考え方が理解できるとともに、ダイアルを見なくても露出をシフトさせることができるようになると思います。
カメラの露出は難しそうに思えますが、実は頭を使わなくても簡単に使えるように出来ていますからね。
付 録
機種 | 測光範囲 | 受光素子 | 絞り値 | シャッター値 | EV値 | 入射光 | 電池 |
SEKONIC L-158 | EV7-17 | セレン | 1-64 | 8-1/2000 | 有 | 無 | 不要 |
SEKONIC L-208 | EV3-17 | SPD | 1.4-32 | 30-1/8000 | 有 | 有 | CR2032 |
GOSSEN SIXTINO2 | EV5-17 | セレン | 1.4-22 | 4-1/1000 | 無 | 有 | 不要 |
GOSSEN DIGISIX2 | EV0-18 | SBC | 1-32 | 4m-1/2000 | 有 | 有 | CR2032 |
VC-Meter2 | EV1-20 | SPD | 1-22 | 1-1/2000 | 無 | 無 | LR44 |
TT Meter | 非公表 | 非公表 | 1-22 | 1-1/2000 | 無 | 無 | CR2032 |
EV値の目安(ISO100)
シーン | 薄暗い廊下 | 昼間の屋内 | 日陰 | 快晴の屋外 |
EV値 | EV5 | EV9 | EV12 | EV15 |
参考露出設定 | 1/15 F1.4 | 1/60 F2.8 | 1/125 F5.6 | 1/125 F16 |
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