ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物はシーガル 205A(海鸥:HAIOU:Seagull)いわゆる中国製のレンズ固定式コンパクトレンジファインダーカメラです。中国の上海海鸥照相机有限公司というメーカーのカメラです。
もちろん中古ジャンクでの入手です。
海鸥205照相机
このカメラは205Aですが205Bと言うのもあってそちらはシルバーボディと取説に書いてあります。
特徴は何と言ってもレンジファインダー搭載のプラカメってところ。電池は不要です。こんなカメラは他には思い浮かびません。世界に類を見ないレアなカメラといって良いと思います。
レンズはHAIOU-45 38mmF2.8で四片三組と書いてあります。つまり3群4枚のテッサータイプと思われます。コーティングはモノコートに見えます。シャッター方式はレンズシャッターなのですが、ちょっと珍しいビハインド・シャッターでピント形式は全群繰出し式回転ヘリコイドとなっています。これも実は珍しいです。
ボディフレームは金属製ですが外装は安っぽいプラ製でグリップ付き。
ファインダーは外光式ブライトフレームとレンジファインダーを搭載していますがパララックス自動補正は有りません。シャッターは機械式で電池は不要です。
状態を診てみます
まずは、シャッターが切れず巻き上げも出来ない。
よく見るとレンズが傾いており、なんだかガタついている。
レンジファインダーは、ズレまくっている。
光学系は比較的キレイで傷も無いようだ。
分解と整備
レンズは問題なさそうなので、シャッターとファインダーを修理すれば使えそうです。
動かないシャッター
まずはレンズシャッターユニットを目指しレンズ銘板を外してからアクセス開始します。
ピントリングを外すとヘリコイドが緩々のスカスカですなぁ。何故でしょうかねえ?
ヘリコイドを抜くとヘリコイドのメスねじが部分が緩んでガタついています。
レンズが傾いているのはどうやらここが原因のようです。締めれば治るかな?
まずはレンズシャッターを開けて状態確認します。
シャッターはプロンターコピーでSEAGULL 4A-103とほぼ同じですね。セルフタイマーとスローガバナは全く同じに見えます。
羽根をつついてみると完全に張り付いている模様です。
ツンツンしていたら動き出しましたが、油が回っていますので要オーバーホールです。レンズシャッターを分離すべく、さらに分解を進めます。
前板を外すには上下カバーを外さ無ければなりません。
上下カバー、グリップ、貼り革の順で外します。シンクロ用の配線も忘れずに外します。
これでやっと前板が外せる様になります。バラしている途中で気付いたのですがファインダー周りの組み立てがひどいです。
ファインダーのマスクは現物あわせで適当に曲げて無理やり付けた感じです。ブライトスクリーンのマスクもグニャグニャに変形しています。ハンダもひどい。
これは後ほど何とかしないとですね。
前板を外して裏から見たところですが、絞り羽根にも油が回っています。うーむ…。全バラ確定です。
レンズボードからレンズユニットを取り外しました。
レンズシャッターユニットを分解しシャッター羽根を取り出します。羽根はベンジンで洗浄して再組み立て。
絞り羽根も分解して同じ様に洗浄します。
あとは潤滑が必要な部分に注油とグリスアップ、動きが渋い部分を分解して調整、組み立てします。
ファインダー周りのオーバーホール
ファインダーも取り外して問題点をひとつづつ解消していきます。
ファインダー周りの部品精度はまあ普通なのですが、組み立てがヤバいです。
雑すぎます。
この写真を見ても組み立ての雑さがわかると思います。
ファインダーを外すとボディは悲し寂しい感じになりますね
外した部品はグニャグニャに曲げられています。
結局はブライトフレーム用とレンジファインダー用のスパッタリングミラーを剥がして、適切な位置に再接着、そしてファインダーをのぞいた時に邪魔な反射があるのでブライトフレーム用のスパッタリングミラーの一部を黒マステでマスキング、あとはグニャグニャのファインダーフレームとブライトフレームマスクを出来る限り修正しました。
組み立てと調整
レンジファインダーを全て分解しましたからレンジファインダーの調整をしなくてはなりませんが大まかに調整しておいて、縦ズレ横ズレの微調整は完全に組み立ててから実施します。
調整はフィルム室とホットシュー下から調整ネジにアクセスできる構造になっていますから安心してくださいw
最終チェックとコンディション認定
全て正常になりました。またファインダー周りは分解再組み立てと不要な光漏れ対策を施しましたのでかなり見やすくなり距離計の連動もバッチリです。
レンズはもともとキレイですし、シャッターも正常になりました。外観は小キズ程度ですから、これは「良品」と言ってイイと思います。
あとがき
前回整備した二眼レフ海鸥4A-103はきちんと組み立てられた品質の良いカメラであると感じておりましたが、今回の205Aはとにかく組み立てが雑であると感じました。特にファインダーはど素人以下の作業員が組み立てたと思われ非常に品質が悪かったです。
分解してみて感じたのは、このカメラには組み立てる人によって当たりハズレがあるってことですね。
最後まで読んでいただき感謝です。
このカメラは安っぽいですが、レンズシャッター式レンジファインダーカメラとしてのベーシックな構造となっていますので、修理入門には最適だと思います。
安いジャンクが手に入りそうなら迷わずポチりましょうw
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