ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物は、数年前に入手して手付かずだったローライコードⅡ型です。
いつも屋内試写の被写体として登場している2台のローライコードなので、いつも見てくださっている方にはお馴染みだと思いますが、実は使える状態では無かったのです。
2台あるの理由についてなのですが、最初に買ったモノはルーペが欠品していたこと、正常に動かないけどパーツの固着があって分解できない事、その他にも問題が多いため部品取り機にして、もう一台同じモノを購入したのです。
もちろんどちらも格安のジャンク品でした。そして当然どちらもボロボロです。
RolleicordⅡtype1
厳密にいうと2台ともローライコードⅡ型のタイプ1という事でレンズのS/Nから1936年製となります。初めに買った問題が多い一台はピントノブにMADE IN Germanyと書いてあり露出計算表も英語表記なので輸出仕様だと思われ、もう一台はピントノブにMADE IN Germanyの表記はなく、ドーム状のフタにメッキや塗装はなく真鍮むき出しで革1枚分ほど凹んでいるため、貼り革が貼ってあったと思われます。露出計算盤はドイツ語表記ですからドイツ国内仕様でしょうね。
ローライコードってカメラはローライフレックスの廉価版という位置付けで、色々とコストダウンがなされています。巻き上げは、ノブ巻き上げで自動巻止め付きではありますが、オートマットやセルフコッキング、二重写し防止機構はありません。
テイクレンズ(撮影用レンズ)はCarl Zeiss Jena Triotar 7.5cmF3.5が搭載されています。構成は3枚玉、いわゆるトリプレットですね。
ビューレンズ(ファインダー用レンズ)はHeidoscop-Anastigmat7.5cmF3.2です。こちらのレンズはOAS製だと思われます。OASについては以下リンクをご参照ください。
上下のレンズとも指で撫で回された跡がついていて皮脂で汚れています。キチャナイww。。
状態
最初に入手した英語圏輸出仕様を1号機、のちに購入したドイツ国内仕様を2号機と呼ぶ事にします。
1号機(英語圏輸出仕様)
結構ボロボロでした。いちばんの問題点はピントルーペの欠品ですね。ファインダーは暗くピント合わせがしにくい上にルーペが無いとピント合わせは困難です。使えなくは無いですがピンボケ写真を量産してしまう事になるでしょう。それとルーペが無いとアイレベル拡大ファインダーも使えません。今やフィルム価格は高騰していますからピンボケは困りますね。その他ミラーの劣化がとっても酷くて、水で洗ったら蒸着が溶けて素通しのガラスになってしまいました。(皆様もご注意あれ)
まあミラーは交換できますから良いんですがねぇ。
その他、フィルムカウンターの動きがかなり悪い。そして自動巻止めが動かない。赤窓を使えば使えなくはありませんが、このカメラの赤窓は6x9の所に付いているので赤窓を使うと8枚しか撮れません。
そして極め付けは分解ができない。ピントノブの蓋が固着していて外れないんですね。
ここが分解できないとカウンターと自動巻止めの修理ができません。カニ目と格闘しましたがビクともしません。分解するにはこの蓋を破壊するしか無いでしょう。
で1号機の修理は一旦保留にしてもう少しマトモな個体を探す事にしましのでした。
2号機(ドイツ国内向け仕様)
こちらもボロボロですが、1号機に比べるとかなりマシです。ルーペがついているのを確認して購入しましたからそこはOKです。ファインダーは1号機と同じように暗く劣化が進んでしますが、レフレックス用のミラーは、まあまあキレイなようです。そしてファインダーのフードが変形していたんですがそのせいかアイレベルファインダー用の表面鏡が割れていました。こちらは1号機とスワップかミラーの交換が必要ですね。
ピントノブの蓋は難なく外せました。1号機の蓋はアルミでしたが2号機は真鍮な為固着しなかったのかも知れません。自動巻止めとカウンターの戻りが悪いです。これは持病っぽいですね。
実は2号機にも大きな問題点がありました。巻き上げノブの逆回転防止クラッチが滑りまくるんです。ま、直らなければ1号機から移植すれば良いでしょう。
分解整備とニコイチとプチ改造
1号機は分解出来ないので部品取として、差し当たり2号機を使えるようにしていこうと思います。
まずはファインダー周りをニコイチ修理とプチ改造
2号機はフード内のアイレベル用ミラーが割れていますからフードごと1号機のものを移植します。しかし1号機のフードにはルーペがついていませんから2号機のルーペを移植します。
そしてこの暗くて見にくいファインダーを少しでも明るくするためフレネルレンズを追加します。
フレネルレンズはケンコーオンラインからジャンクで購入したフレネル拡大ルーペを使います。レンズサイズは66×123mmだからサイズは十分ですし簡単にカットできます。
このルーペは厚みが0.4ミリ程しかなくサイズも大きいのでなかなか使いやすいです。
このルーペをピントグラスと同じ大きさにカットしてピントグラスの下に挟み込みました。なんとか無加工で挟み込めたので良かったです。
あとは劣化したミラーですが、こちらは新品に交換します。
拙者が持っているのは安いPET樹脂製1mm厚のスパッタリングミラーです。ミラー固定部の形状にもよりますが今回はPETでも湾曲などはなくいけそうなので、元々のミラーと同じサイズにカットして交換します。
劣化したミラーは取り敢えず1号機に付けときますね。
これでファインダーは見違えました。
見え具合はこんな感じ。どちらが整備済みかわかりますか?
自動巻止め、カウンター修理と巻き上げノブのスワップ
これらの修理をするには、カウンターがある方の側面を開けなければなりません。1号機はココが開かないんですよね。
で開けてみると動きが悪い原因はグリスの油分が抜けて糊のようになっていた事でした。流石に製造されてから88年間の間一度も整備されていないとは考えにくいですが、前回整備されてからおそらく数十年は経過しているでしょうからグリスがダメになるのはしょうがないでしょうね。
ホントは全バラしてグリスを入れ替えた方が良いのでしょうが、今回は動きが悪い所だけグリスを入れなおしておく事にしました。
巻き上げノブのワンウェイクラッチが逆転するので正常な1号機のものとスワップしました。
レンズシャッターとレンズの整備
レンズとレンズシャッターは前板ごとユニット化されていて、ごっそり取り外すことができます。
ですから整備性は良好です。
シャッターは粘っていて、かなり動きが悪いです。
レンズシャッターユニットは初期の3枚羽根コンパーでセルフタイマーが無いのでスッキリしています。コンパーラピッドやシンクロコンパーに比べると整備しやすいですね。
レンズは小キズが多いもののクモリは取れてキレイになりました。
ついでに内部に蓄積した往年の汚れもキレイにしておきます。
貼り革等の作成
ピントノブ、巻き上げノブ、スプール留めの貼り革が無くなっていましたので作成して貼り付けました。
最終チェックとコンディション認定
作動は、ほぼ正常になりました。ファインダーもミラーを交換してフレネルを入れたので実用レベルになりました。即実戦投入可能ですね。
コンディションは、製造からの年数を考えれば、備品でも良いとも思うのですが、まあ「並品」でしょうね。
前面の貼り革は、取り敢えず3Dプリンターで作った型紙(紙じゃないですねw)をそのまま貼り付けましたw。気が向いたら革を切って作成します。
あとがき
最後まで読んでいただき感謝です。
ローライフレックスは高くて買えないので、ボロボロの激安ローライコードを買ったら部品欠品があり、結局もう一台買う羽目になった話でしたw。
そしたら2台目もやはり問題を抱えていて結局は、不本意ながらニコイチで復活です。
皆さんもビンテージカメラを購入する際はご注意くださいねw。
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