RICOH AUTO HALF “Zone Focus” 激レアなオートハーフを激安ジャンクで入手して分解修理

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ここ最近六角精児バンドにハマっている、ジャンカメハンターのぐりやんです。
六角精児さんが歌っているの知ってますか?おっちゃんの心に刺さりまくりますよw
さて本日の獲物は、みんな大好きリコーのオートハーフです。しかも激レアなピントが調整できるオートハーフ ゾーンフォーカス(以下ZFと呼ばせて頂きます)です。発売は1963年でオートハーフ 発売の翌年となります。

RICOH AUTO HALF "Zone Focus"

オートハーフといえばスプリングモーターいわゆるゼンマイによる巻き上げが一番に思い浮かぶ方も多いと思います。『リコー オートハーフ ゾーンフォーカス」はオートハーフシリーズで二番目に発売されたカメラです。オートハーフは見た目が可愛くて人気ですし富岡光学製のテッサータイプレンズを搭載していて写りも良いです。
で、無印のオートハーフと何が違うのか?ゾーンフォーカスって何?って事ですけど

はかせ
はかせ

説明しよう。ゾーンフォーカスとは被写体との距離を目測で測りピントを合わせる方式の一種でピントの合う範囲をピクトグラムを選択して合わせる方式じゃ。通常の目測ピントのカメラはピントリングに距離がメートルで示されており慣れないとわかりにくかったんじゃ。なのでわかりやすい様にピントの範囲を3つぐらいに分割してピクトグラムを選べば簡単にピント合わせができる様になっておるのじゃよ。コンパクトカメラではAF化される前は非常に一般的な方式でほとんどのメーカーが採用しておったんじゃがピクトグラムがメーカーによって異なっていた為若干わかりにくい面もあったんじゃよ

と言う訳で通常オートハーフのピントは2.5mに固定されているのですが、ZFとSLはピントが調整が可能なのです。

その他も細かい改良点が多く、裏蓋が取り外し式から開閉式に変わっていたり、前面に飾りパネルが嵌め込まれていたりとオートハーフS以降の 第2世代オートハーフ につながるような特徴を持っています。

RICOH AUTO HALF "Zone Focus"のピントについて

ピント表示のピクトグラムは上半身、全身、遠景の3種類です。
上半身はピント位置の距離1.8mでピントが合う範囲は1.1〜5.6m
全身はピント位置の距離3.6mでピントが合う範囲は1.5〜無限遠
遠景はピント位置の距離7.2mでピントが合う範囲は1.9〜無限遠
となっています。このようにピントが合うゾーンは結構広いのでそこまでシビアに考える必要は無くざっくりと合わせれば良いのです。

状態

まずレリーズボタンが欠落しておりましてアタリも多く接眼レンズ周りの飾りも有りません。ゼンマイ巻き上げノブが緩んで今にも外れそうです。レンズもファインダーもカビが多く汚いです。ピントリングが固着しています。絞りの動きが悪く開放になりません。


裏蓋を開けてみるとフジカラーF-Ⅱが入ったままになっていました。フジカラーF-Ⅱは1974年発売のネガカラーフィルムです。次世代のHRシリーズが発売される1983年まで販売されたようです。12枚撮りってのが懐かしいですね。そしてフィルム室のモルトは当然ボロボロです。
メーターは奇跡的に動いているようです。

セレンを指で遮ると黄色い表示が出たり消えたりします しかし汚い

ファインダー内の表示に反応があります。
てな訳で、たくさんの問題を抱えています。さすがジャンクですねw

分解と修理

早速モナカ構造のカバーを外しました。

露出機構の故障探求

まずは露出機構の状態を確認するためメーターの動きを確認します。前カバーを開けてファインダーを外しメーターの作動を確認すると光にビンビン反応しています。

メーターは動いていますから次は絞り羽根の動きを確認する為をレンズ部分をバラしていきます。
すると絞り羽根が上手く開き切っていませんでした。注意深く確認するとメーターの針が引っかかっているのが原因だという事がわかりました。メーターの針を少し調整して引っかからないようにしました。これで露出機構はOKです。

レンズエレメントとヘリコイドのCLA

次は取り外した各レンズエレメントをクリーニングします。

レンズはテッサータイプの3群4枚構成です。ピント調整は第1群(前玉)のみが前後する前玉回転式です。第2群(中玉)はヘリコイドのオスねじと一体化しておりその下に絞り機構と第3群(後玉)が一体化しています。ヘリコイドは綺麗に掃除してグリスアップでスムーズになりました。

シャッターユニットのCLA

そしてその奥にシャッターがあります。シャッターの作動チェックをしてみたところ、低速1/30と高速1/125の切り替えが稀に上手くいかない事がわかりました。シャッターは非分解構造のようでしたので見える範囲の軸受け部に微注油したら不具合は解消しました。

そのままシャッターを切れば1/30
右上のカムを押さえてシャッターを切れば1/125

シャッターとボディの合わせ目にはモルトが使われていました。イヤだなー。

ここも頑張ってクリーニングしてモルトを貼り替えます。

ファインダーのCLA

対物レンズの隣にある縦の棒状のものがピクトグラム表示機構

ファインダーは高級な外光式ブライトフレームにゾーンフォーカスと露出アンダーの表示が付いていますので無印オートハーフよりもちょっとだけ複雑ですね。

メチャメチャ汚い

60年分のカビと汚れですからかなり汚いです。カバーを外して掃除しますがハーフミラーの蒸着面はデリケートなのでホコリをブローする程度にとどめておきます。

斜めについているのがハーフミラで蒸着面は触れないのが無難です。

ブライトフレーム用の表面鏡は金属製なようですが、ここも傷付きやすいので触らない方が良いでしょう。ピクトグラム表示機構の可動部はグリスアップしておきました。

スプリングモーター巻き上げノブのリペア

ノブがブラブラで今にも外れそう

スプリングモーター巻き上げノブ、いわゆるゼンマイをチャージするためのダイアルが外れそうです。また落下によると思われるダメージが有ります。
このノブはどうやって固定されているのか分かりにくいのですが、飾り蓋の下にネジが隠れているようです。

飾り蓋を剥がす

緩んだネジが飾り蓋を押し出して変形させたようです。またアタリによる変形のせいで飾り蓋が浮いてしまっている様ですから、変形を修正する必要があります。

緩んだネジを締め込んだら接着剤をクリーニング


飾り蓋を剥がすと中でネジが外れていました。

一旦取り外してアタリ部分を叩いて修正し、飾り蓋の変形を修正しました。
そして古い接着剤をキレイに取り除いてから再接着しました。

モルトの交換

オートハーフは裏蓋にモルトがたくさん使われていますのでクリーニングが大変です。

モルトはボロボロ

これも綺麗にクリーニングして新品のモルトを切り出し接着しました

最終チェック

テスト用フィルムを入れて巻き上げ動作、ピント、Aモードでの絞りの変化と絞りマニュアルモードでのシャッター速度の変化(1/30)と絞りの変化などすべて正常に動作しているようです。

コンディション認定

外観にアタリは多いですが機能は正常です。そしてレンズ、ファインダーともまあまあ綺麗です。欠落していたレリーズボタンはもう1台の無印オートハーフから拝借いたしました。(無印オートハーフには3Dプリント製の赤いレリーズボタンをつけときましたw

赤はダサかったなーw

今回修理したオートハーフ ゾーンフォーカスは「並品」に認定したいと思います。

あとがき

オートハーフ ZFは激レアなので前々から狙っていたのですが、ごく稀に市場に出てもとても高価な上に狙っている人も多いみたいでなかなか入手出来ていませんでした。今回レリーズボタンが無く汚い状態だった為、格安で何とかかんとか入手にこぎつけました。外観はボロですが機械的な状態はなかなか良好でセレンも元気で露出計はビンビンで、レンズのクモリもなくラッキーでした。
近いうち試写してみようと思います。

ぐりやん
ぐりやん

最後まで読んでいただき感謝です。
さて次回は1968年に発売されたコニカ製で、人気のコンパクトカメラをレストアしていこうと思います。乞うご期待w

試写結果をアップしましたので、興味ある方はリンク先へどうぞ

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