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Auto-Takumar 55mm F2 65年もの!壊れて動かないオールドレンズは果たして修理できるのか?

この記事は約8分で読めます。

ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物はAuto-Takumar 55mm F2で拙者はこのレンズを半自動オートタクマーと呼んでいます。
このレンズはPENTAX S2 (後期型)についてきたもので、どちらかというとレンズが目的で買ったのですがS2後期型に興味がなかったわけでも無いんですよね。

YouTubeも見てね

Auto-Takumar 55mm F2

で、このレンズ。半自動オートタクマーはというと、前回に申し上げた通りなのですが、「カビだらけで半自動絞りが動かない」という完全なるジャンク。しかもピントが合いません。てなわけで、故障していて使えないレンズだったのでした。

細かく見ていくと、後玉のカニ目リングがギタギタに削れています。そして後玉には強烈なカビが!これは撮影に影響するレベルだ。とにかくヒドイ…

諦めるのはまだ早い?もう少し詳しく状態を確認せよ

このレンズカビだらけとは言えフィルターが装着されていました。

フィルターを外してみると

前玉の状態はそこまで酷くはありません。

光を当ててみますと内部のレンズエレメントはカビだらけです。
だけど、このレンズ使ってみたい。とりあえずガビなどの写りへの影響の程度を確認するためレンズをデジタルカメラにつけて撮影してみます。後玉に強烈なカビがあるわけですが、こう言う場合は点光源をぼかして撮ると状態を掴みやすいのでやってみます。   と?

上の後玉のカビと比べてみてください。同じ形なのです

これはヒドイ。カビの形がモロに出ます。こいつぁやべーぞ。ですが、ピントは良いようです。ということはピントが合わないのはボディがおかしいと言うことですね。
半自動絞りの絞りのチャージ操作をしてみてもチャージはできないようです。ですから絞りこみのポッチを押しても絞り込まれません。絞り込みカムを指で動かすと絞りは動きますし、絞りチャージレバーにテンションは感じられます。おそらく半自動絞りを絞り込むためのバネが外れているか、最悪は破断している可能性もありますね。

まあバネが真ん中で折れ事は少なく、ほとんのの場合は端の方が折れるでしょうから、なんとかなるかな?そう思いたい

レンズの傷みはひどいですが、まあ開けてみないと…
開けてみてのお楽しみですなー。

後玉のカニ目リング(ギタギタに傷が入ったやつね)が外れるか否かと自動絞りが修復できるか?
この2点が今回のカギですなぁ。

分解スタート!

まずは半自動絞りを直さない事には写真を撮れません(デジカメで開放のみで使うのならば何とかなるのだが…)から、半自動絞りから診ていく事にします。
まずは鏡筒とレンズユニットを分離しますが

それにはレンズの後ろに見える3本のカニ目リングのうち一番外側(緑色で示す)のものを外さなくてはなりません。ちなみに一番内側(赤色)は後玉をとめているリングで真ん中(黄色)は後群をとめているリングです。拙者はまず後群を外してからレンズユニットを分離しました。

すると案の定

半自動絞りを閉じるためのスプリングが錆びて折れていました

このスプリングがつながっていたのは絞りを絞り込むためのカムで、カムの穴にバネの先をクルクルと巻いたような止め方がしてありましたので、この切れっ端は撤去して長く残った方のスプリングの先を加工してカムの穴に巻き付けました。

スプリングはサビによる腐食のせいか端の方が伸びてしまいましたが長いスプリングでしたので十分働いてくれて問題なく絞りを動かしてくれそうです。

これで半自動絞りは無事作動するようになりました。ところがF22の穴が小さすぎる事に気づきましたので原因を探ります。すると絞り環の裏側に付いている半自動絞りのストッパー兼ゴムダンパーが劣化してグズグズになっているのを発見しました。半自動絞りの作動はレリーズに伴って瞬時に設定した絞りまで閉じることが求められます。ですから上記の通り強力で長いスプリングによって勢いよく閉じられます。それを設定絞りで停止させる役目をするストッパー兼ダンパーが、おそらく経年によりボロボロになったのでしょう。受け止める部分がグズグズになっており絞り込みカムがめり込んでしまい設定値で止めることができなくなっていました。

ダンパーは接着されているようでしたからこじって取り外してみますと

絞りカムを受け止める部分はかなり削れていてその周りは劣化してグズグズで手でちぎれましたが残りの部分は使えそうでしたので裏返して使う事にしました。

ダンパーが貼り付けてあった部分はかなり腐食していましたのでキレイにしてから接着する必要がありますね。

接着はロックタイトのピンポインター(瞬間接着剤)で行いました。

あとはレンズのカビがキレイになるかですね。

レンズエレメントのクリーニング

ここで注意点です。このレンズの絞り羽根は押さえる金具などがなく前群が絞り羽根の押さえる役目をしています。ですから前群を取り外してしまうと絞り羽根を押さえるものがなくなり傾けるだけで絞り羽根がバラバラになってしまいます。挑戦する方は十分注意してください。拙者はヤっちまいましたw
それと拙者の場合は前玉をどうしても外す事ができなかったのと絞り環裏のダンパーの劣化と周辺の腐食がひどかった事により絞り環を外しましたが絞りの作動などに問題がなければ、鏡筒は全く分解する事なくレンズエレメントをクリーニングする事ができます。
ただしくれぐれも注意して頂きたいのは上にも挙げた通り、前群を抜いた状態でレンズを逆さまにしないこと。ですから前群の摘出はレンズサッカーなどを使って行ってください。でないと、絞りがバラバラになり拙者のようにオオゴトになりますよ。

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レンズを吸盤で吸いつけて取り外し取り付けをする道具 レンズエレメントの整備には必須です 非常に使いやすいです。

まずは銘板を吸盤オープナーで外したら

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レンズを分解時に傷つけにくい。拙者愛用のタイプです。オススメ

この奥の黒いワクの部分を吸盤オープナーで回します。これで回ればラッキーですね。前群が外れます。

後群も上手くすれば吸盤オープナーだけで外せるかもしれません。

拙者の場合はどちらもなかなか外せず、結局レンズオープナーを使いました。このレンズのカニ目リングは全てとても固くおそらくネジロック剤が施されていると思いますので溶剤も併用しながら緩めていく必要があると思います。

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どうしても開かないカニ目に最後の手段

で、後群からクリーニング開始です。茶色いカビが巣くっていますね。これは絶望的にひどいです。

ところがエタノールとオキシドールで交互にクリーニングすると

思ったよりもキレイになってきた?これはいいかも

前玉は元々あまり汚くはなく目立つ傷もなかった。第2群の後面に少しカビがあった程度でした。

そして、クリーニングを終えると?

これは?
♪───O(≧∇≦)O────♪

予想外にキレイになったのでした。これは嬉しい誤算でした。後玉のひどいカビを見たときには、完全に諦めモードに入っていましたからね。まさかここまでキレイになるとは全く予想していませんでした。

最初はめんどくさいんで見送ろうと思っていたヘリコイドでしたが

結局バラして超音波洗浄機でクリーニングしました

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拙者が愛用しているSW1500の後継機 洗浄槽が大きめで振動子が二つ搭載されている レンズやカメラの部品洗浄には最適なサイズでオススメです

結果的に、ほぼフルオーバーホールとなりましたwww

最終チェックとコンディション

このレンズの二つの問題点であった半自動絞りの作動不良と再起不能と思われたレンズエレメントですが、絞りは正常に動くようになりレンズも驚くほどキレイになりました。

まずは整備前と同じように点光源をぼかして撮ってみたわけですが、カビの影は消え去りキレイなボケになりました。上の写真と見比べてみてください。

既出ですがフィルムカメラでも撮ってみました

絞っても10枚絞りですからボケが綺麗ですね。ボケの形が微妙に10角形なのがお分かりいただけるでしょうか?

その他の作例は、既出のエントリーで内でご覧いただけます

そうなんです。このレンズの絞りは一眼レフ用としては珍しい10枚羽根なんです。

ですからボケの形は10角形、つまり殆ど円形になるんです。絞り羽根の形はとても美しいですね。

これは、かなり良品に近い「並品」ってところでしょうね。

あとがき

ぐりやん
ぐりやん

最後まで読んでいただき感謝です。
購入したときはかなり残念なレンズだと思いましたが、思いもよらずキレイになり写りもとてもよくて大満足です。YouTubeも見てね

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