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PEN EE のプログラムEEについて研究してみた

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OLYMPUS PEN EEが押すだけで撮れる仕組みとは

こんばんは、ジャンカメ ハンターのぐりやんです。
早速ですが、PEN EEの仕組み、気になりませんか?なぜ押すだけで撮れるのか?電池もいらないオートフォーカスも無いんですよ。
実は大体の仕組みはわかっていたのですが、拙者が一番気になっていたのは、プログラムEEのプログラムマップと実際のピントが合う範囲なのだった。
で、プログラムを解析して(てほど大げさなものではないが)表にしたものが下の表です。
カムの段数というのは、PEN EEの機械的に制御されている自動露出機構の中枢と言える階段状の絞り用カムの段数。
PEN EEにはシャッタースピード用のカムと絞り用のカムがありセレン光電池に当たる光量によって発生する起電力によりメーター(電圧計と同意)の針を二つのカムで押さえ込んで露出を決めるようになっているんです。
シャッタースピードは1/30(低速)と1/250(高速)の2段のカム、絞りのカムは低速に対応する部分が9段で、高速に対応する部分が12段であった。
低速側はEV8.5からEV11.5までと考えてこちらは9分割、高速側の受け持ちはF3.5(EV11.5)からF16(EV16)までということになるのでカムの段数で12分割という事ですので絞り値を予想しました。
まあアバウトではありますが、大体こんなものでしょう。

この写真がプログラムEEの心臓部の拡大写真です。
手前のが絞り制御用のカムで、水色数字で示しているのが低速側の9段カムで白い数字が高速側の12段カム、奥側がシャッタースピード用の2段カムです。緑で示しているのがセレン光電池につながっている電流計の針で、セレンにあたる光量が増え電圧が上がるにつれて、つまり明るくなるほど青矢印の方に動きます。

実際に動画にするとこのような感じになります。

サークルアイにあたる光量を微妙に変えて2回シャッターボタンを押している

奥側で上がったり下がったりしているのがシャッタースピード用のカムで2段のみ。
手前側のが絞り用のカムで低速9段と高速12段の階段状になっている。
上の動画では電流計の針がカム段数1−9と2−1を行ったり来たりしている。(下表参照)

理解できた方にはわかると思いますが、使う上で注意しなくてはならないのが低速から高速に切り替わるところ。
ここで一旦絞りが開放になってしまう為ピントが会う範囲が2.2m〜6.6mの範囲となってしまうんですね。注意しないとピンボケ写真になってしまう恐れがある。

当時このカメラが開発された背景にはPENの爆発的なヒットがあり、そして当時の初心者ファミリーカメラマンの二大失敗はピンボケと手ブレだったと思われます。その二大失敗をなくすべく開発されたであろうPEN EEですから、命題はピンボケと手ブレをなくす事だったと思うんですね。ですから、このカメラのプログラムマップは初心者向けに手ブレ防止のために早めに高速に切り替わるように設定したのだろうと考えられます。設計者は被写界深度を取るか手ブレしにくさを取るか悩んだのでしょうね。
まあこの階段カムはとても単純な方式なのでこの2枚のカムを変更すればプログラムの変更ができることになります。自分の設計したプログラムに改造するのも面白いかも知れませんね。

PEN EEにおけるプログラムEEの表(予想&理論値)

PEN EEのプログラムEEの解析と被写界深度を表にしてみました。実際の研究対象にしたのは拙者所有のPEN EE-2前期と思われる個体ですが、違っている可能性があります。また、他のPEN EEではプログラムが違いますが絞り値の範囲は同じですのでPEN EE-2以降ならば同じような感じになるはずです。

カムの段数シャッター速度F値(予想値)EV値被写界深度範囲
1-11/303.58.5(明るい室内)2.2〜5.6m
1-21/304.2 92.1〜6.5m
1-31/304.89.42〜7.8m
1-41/305.59.81.9〜9.6m
1-51/306.1 10.11.8〜12.6m
1-61/306.810.41.8〜18.4m
1-71/307.410.71.7〜34.1m
1-81/308.1 10.91.6〜224m
1-91/308.7 11.11.5〜∞
2-11/2503.511.6(曇、日陰)2.2〜5.6m
2-21/2505.2 12.72.0-8.8m
2-31/2506.913.51.7-20.0m
2-41/2508.514.2(晴)1.6〜∞
2-51/25010.214.71.4〜∞
2-61/25011.9 15.1(快晴)1.3〜∞
2-71/25013.615.51.2〜∞
2-81/25015.315.81.1〜∞
2-91/25016.9 16.1(ビーチ)1.0〜∞
2-101/25018.6 16.41.0〜∞
2-111/25020.3 16.70.9〜∞
2-121/2502216.9(雪)0.9〜∞
サービスマニュアルによるとEV17は露出オーバー判定でシャッターはロックされるようです。最高は16.44って事らしいです。
つまりこの表は少し間違いがあると言う事になります。取説からは測光範囲EV8.5〜EV17のはずなんですがね(2023.11.8)

この表は露出理論を勉強してNumbers(MAC用のEXCELっぽい表計算ソフト)に数式を組んで計算しました。F値は予想値です。

実際のPEN EE 用 D.ZUIKO 28mm F3.5 で撮影テスト

プログラムマップがわかったところで、実際にPEN EE 後期型のレンズをSONY α7Ⅱにマウントしてテストしてみた。
これはずーっと前に分解したジャンクのPEN EE後期型から取り外してあったもの。それを無理やりデジカメにマウントする。
幸いSONYのAPS-Cのセンサーサイズは23.6×15.8mmとハーフ判の24x16mmとほぼ同一なので、
α7ⅡをAPS-Cモードにしてテストすることにした。

イメージサークルの確認

イメージサークルを確認するためにフルサイズで撮ってみるとハーフサイズのイメージサークルにも若干足りていない事がわかる。まあフィルムの世界は引き伸ばし→トリミングが前提ですから、その分ギリギリに設計してコストを抑えたと考えられますね。(PENの製造コストのうちレンズの占める割合はかなりらしいですよ)

ペンのレンズをフルサイズで使うとイメージサークルが不足する。白枠がハーフサイズ(24mmx16mm)の枠

ピントを確認してみる

確認はヘリコイド付きのMマウントアダプターにPEN EEのレンズを無理やりマウントして、あらかじめPEN EEと同じ3.2メートルにピントを合わせて固定しました。外したレンズの絞りは調整できないので、開放と約F5.6で撮り比べてみることにします。F5.6の絞りは黒いマステを菱形に切り抜いた簡易絞り。と言っても切った貼ったの情けない状態w
絞りも実際のPEN と同じぐらいの大きさに穴を開けたので正確性は度外視っすw


さて、まずは手前から奥に伸びるガードレール、その先に何やら看板がある。

この程度の解像度では問題ないように見える。PEN EEのコンセプト自体はファミリー層がL版へ焼いて楽しむ事だったそうなので、まあ十分とも言えるが、次は等倍に拡大してみよう

このように随分と違いがある事がわかる。看板までの距離は15M程度でありF3.5では6.6Mまでしかピントが合わないわけですからボケていて当然ですね。F5.6でも若干ボケてはいるもののMACの27インチ画面でA3程度まで拡大してもギリ鑑賞に耐えれそうな気はします。てなわけで、概ね拙者の計算は間違っていないのかな?
なのでPEN EEと使いこなす上でのポイントは明るい屋内と曇りの屋外では2Mから6Mぐらいまでしかピントが合わないというのを頭に入れておく事ですかね。
まあ常にこの範囲を意識してスナップ専用機として使うのが一番いいのかなぁ。
では鬼門の無限遠です。

こちらはA3まで拡大すると遠景のピンボケがわかります。しかしこの画像をクリックして表示される1000ピクセルのレベルでは判別できませんからL判程度までなら引き延ばしに耐えそうです。
ですがこちらも等倍に拡大してみましょう。

やはり無限遠はどちらも厳しいですね。特にF3.5は無限もボケてますが手前の枝もボケていますね。
しかし左側の緑色の葉にはほぼピントが合っているのです。

この枝までは5Mから8M程度ですかね〜
というわけなので拙者の計算もあながち間違ってはいないだろう事がわかりますね。

先ほどの例はピント3.2M縛り。つまりPEN EEと同じ条件でしたが実は3.2M縛りを解除して、絞り開放のままピントを無限遠に合わせたものも試しに撮ってみました。

同じように中心のテレビ塔を等倍拡大します。

いいですね。十分でしょう。
これはD.ZUIKO 28mmF3.5はPENと同じレンズと言われていますから、ピント調節が可能なPENであれば遠景の写真が綺麗に撮れるのですね。
しかしPENは目測でピントを合わせる必要があり、うっかりピンボケの可能性があります。
あなたはどちらを選びますか?

ついでに逆光耐性チェック

めっちゃ優秀ですね。実は前玉にキズ多めなのですよ。このレンズ。この写真はピント3.2M固定F5.6の作例ですが、2機の飛行機も綺麗に写っていますね。

終わりに

今回は、とても気になっていたPEN EEの細かな仕様を解析、検証してみましたいかがでしたか?
近距離と遠距離にはちょっと弱いけど、何も設定せすに押すだけで撮れる最強のスナップカメラPEN EEシリーズです。高性能な高級AF機でもたまにピント外したり中抜けしたりがありますがPEN EEならば特性を掴んでいればピンボケは絶対に起きません。あとは手ブレに気をつけてシャッターを切るのみ!
拙者は大好きですし初心者にも分かっている上級者にもお勧めできますよ。
ちなみに、何度かお話ししていますがこのPEN EE-2は祖父の形見です。

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