今日もラジオ深夜便を聴きながらの、ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物はPETRI 35Eです。もちろん全く使えない格安ジャンク品です。
PETRI 35E
ペトリ35E(以下35Eと呼称)について少しだけお話ししましょう。
35Eはペトリが倒産前、最後に発売したコンパクトカメラです。発売は1975年です。なぜかwikipediaには記載がありませんねぇ?何でじゃろ?
さて、ペトリはブランド名ですからカメラ名は「35E」と全くあっさりとした名前のカメラです。
35はもちろん35ミリフィルムを使用するカメラって事でEはエレキカメラである事を示しているものと思います。35Eは大きく分類すればペトリ35シリーズということになるのかもしれませんが、小さく分類すれば、ペトリカラー35(以下カラー35と呼称)を元祖とする「カラー35シリーズ」と言えるでしょう。そしてさらに分類すれば、カラー35シリーズはマニュアル露出のものと自動露出のものに分類できます。そのなかで35Eはカラー35E(以下カラー35Eと呼称)のコストダウン機だと考えられます。カラー35Eと35E の違いはレンズ鏡筒周りのフードを取り付けるためのリングがアルミからプラ製になった事とフラッシュターミナルが省略されたことぐらいではないでしょうか。(カラー35Eは持っていないので予想w)
レンズはカラー35と同じテッサータイプのpetri40mmF2.8を搭載しています。C.C銘はありませんがコーティングの反射を見ると全く同じレンズだと思います。(C.Cはコンビネーションコーティング)
廉価機ですが、外装及びフレーム共に金属製ですから、あまり安っぽさは感じません。
しかし露出はプログラムEEであり絞りも2枚羽根で開口部はいびつな形となる為、画質は若干落ちる可能性がありますね。ちなみにカラー35の絞り羽根は4枚です。
購入時の状態
汚いですが、巻き上げは出来ますし、シャッターも切れはします。
しかし電池をいてれもバッテリーチェックはできませんしシャッター速度は変化せず絞り羽根は開きっぱなしで動きません。ファインダーにはクモリがあり外観は錆が多く汚いです。また肝腎のレンズもなんだか汚いです。
フィルム室からはフジカラーFⅡが出てきましたw
分解と修理
このカメラはプログラムEE専用機ですから、露出計制御系統が動かなければ話になりません。
ですからまずは電装系から攻めます。
電装系の故障探求と修理
まずは電源系統の基となる電池ボックスから診ていきます。
電池ボックスには当時の水銀電池が入ったままになっていました。そして電池の液漏れがあり、漏れた電解液はカピカピになっています。その上、電池は電池蓋に張り付いてしまっていました。
電池蓋と電池はなんとか分離することができました。幸い腐食は最小限で済んでいるようです。
とりあえず電池ボックスを綺麗に掃除して新しい電池を入れてみましたがダメです。
電池ボックスへの配線を確認するため底蓋を開けてみると電源の配線は腐食で断線していましたので修復する必要があります。
電極プレートは接着して有る様でしたのでエタノールを流し込んでコジると剥がれました。見事に腐食して断線しています。試しに断線した青線に1.5vを印加してみましたがダメでした。軍艦部内の青線との導通も確認できませんでしたので途中に何かありそうです。レンズ周りのカバーを開けてみます。
すると基板が出て来ました。青線のハンダが腐食して外れています。どうやら青線を伝って電解液がここまで流れて来て腐食させたようです。青線の導通はなく中の銅線も完全に腐食してボロボロになっていましたので要交換です。
電池ボックスは取り外してミニルータとワイヤーブラシでクリーニングして電池ボックスの電極とのレンズ横の基板を、新替えした青線で接続しました。
乾電池で1.5vを印加して露出計の動作確認をすると動きました。
♪───O(≧∇≦)O────♪キターw 直りました!
針押さえ式EE機構などは正常に動いていますからこれで電装系の修理はOKだと思います。
光学系と外観のクリーニング
ファインダーはかなり汚かったので取り外して開けてみました。
一般的な逆ガリレオアルバダ式ブライトフレームファインダーです。ハーフミラー面以外をクリーニングしたらスッキリクリアになりました。ハーフミラー面は触らないのが無難ですね。蒸着面を痛めるとブライトフレームが表示されなくなりますヨ。
レンズは前玉前面のみのクリーニングで綺麗になりましたので、とりあえずこのまま行こうと思います。
外観は錆だらけで汚すぎましたから、磨き上げました。
あとは剥がした貼り革と剥がれかかっていたピントリングのゴムを貼り直しておきました。
最終チェックとコンディション認定
このカメラの露出計はシャッターのチャージをしないと通電しない仕組みになっているところや、メーターがバッテリーチェックと共用になっていて、動きがカメラの前側からしか確認できないところも面白いです。
共用って?このバッテリーメーターの指針は針押さえ式EE機構の露出の決定にも使われているのです。
露出計のメーターは正常に動くようになり光学系はとてもキレイ、外観もそこそこキレイになりました。これは「美品」と言っても良いでしょう。と言いたいところですが、電池ボックスの錆跡がひどいので「並品」でしょうかね?
あとがき
激安ジャンクで入手したPETRI 35Eでしたが、光学と外観は美品レベルに復活しました。
最後まで読んでいただき感謝です。
プログラムEEは撮ってみないとわかりませんから近いうち試写に持ち出してみようと思います。
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