このレビューは製品購入時の2022年12月に執筆したものを再構成したものです。現在の製品ではレンズフードが同梱されているようです。
数年前から中国ブランドの安価なレンズが日本国内でも普通に流通するようになってきました。
拙者も注目しており初めて中国ブランドのレンズを購入したのは2年ほど前で、購入したのは、七工匠 7Artisans 35mm F2 Limited Silver ってヤツです。これはライカMマウントのレンズですね。
その後は、銘匠光学 TTArtisan 50mm f/2 というレンズのSONY Eマウントフルサイズ対応レンズを購入しました。
そして今回はPERGEARレンズの購入に至ったわけです。今回もSONY Eマウントフルサイズ対応です。
これで、中華メジャー3ブランドレンズ、7Artisans・TTArtisan・Pergearを入手したことになりますね。そ言えば7Artisansはレビューしていないのでまたいずれやってみようかなと思います。
(PERGEAR) FF 35mm F1.4 MUTI COATED
Pergear 35mm f1.4はフルサイズ対応のマニュアルフォーカスレンズで、5群7枚構成だそうです。説明によると前玉にマルチコーティングを施し、フレアやゴーストを抑制。 鏡筒はすべて金属製で、サイズは直径 59.6mm、高さ 4.9mm、重さは245g(Eマウント実測237g) となっています。
梱包はこんな感じで、中国製品では良く見る感じで送られてきました。
焦点距離 | 35mm | 絞り | F1.4-F16 |
最短撮影距離 | 0.3m | 絞り枚数 | 10枚 |
対応センサー | フルサイズ | レンズ構成 | 5群7枚 |
フィルター径 | 43mm | 特殊ガラス | 未使用 |
画角(参考値) | フルサイズ63° APS-C 44° | フォーカス | MF |
重量 | 237g(SONY E 実測) | マウント | SONY E |
さっそく開封します
早速開封します。中からはさらに緩衝材に包まれた物体が出てきました。
緩衝材を開封すると製品の箱が出てきました。「FF 35mmF1.4」というシールが貼ってあります。FFはフルフレームの意味だと思います。製品の箱はTTArtisanのような高級感は無く、いたって標準的と言える箱です。
箱には「必要がないことを願っておりますが、必要な場合はわたくし達がお手伝いします。」的なことが英語で書かれておりサポートメールアドレスとサポートウェブサイトのアドレスが書いてありますね。それと各SNSのアカウント、そしてドイツのEコマース会社の連絡先が書いてあります。元々はドイツのこの会社から販売されていたのでしょうか。また箱にはS/Nっぽいシール内容物を表示するためのリストがありますが35mmF1.4はありません。SDGsですかね。
箱を開けるとパーギアのレンズポーチが出てきました。TTArtisanに入っていたポーチより小振りですがこのレンズにはぴったりな大きさです。そしてその中からプチプチに包まれたレンズが出てきました。
そして「じゃジャーン」w
レンズ本体は金属製でズッシリ感があります。ハッキリ言って安っぽさは皆無ですね。ライカのレンズみたいでカッコイイっす。レンズキャップはプラ製のよくあるタイプで、質感は属製のねじ込み式に劣りますが、実用性ではこちらが上です。拙者はこちらの方が好きですねー。リアキャップは懐かしのNEX表記で泣けますw。マウントは非鉄金属で、多分、真鍮でしょう。
マーキング等は印刷ではないようで、おそらくレーザー刻印だと思います。レンズエレメントのコーティングは緑のものが数枚、SMCっぽい濃い紫から緑に変化するようなコーティングの面が数枚あります。MUTI COATED?となっていますがLが脱字でしょうかねwそれとも「エムユーティアイ」という略語でしょうか?他の製品はHD.MCという表記がほとんどで同じような表記は謎は深まりますね。途中で「MULTI」に変更されたら面白いですね。(2024年現在の製品ではMULTIに修正されていますw)
実は最初に受け取ったレンズは絞りの開口部がイビツ(上の写真でもわかると思う)で購入元に確認すると、メーカーに確認してくれて初期不良扱いで快く交換してくれました。代替えとして送られてきた製品は全く問題のないものでした。絞りの開口部はほぼ真円でキレイな形です。羽根は10枚でここにも安っぽさは有りませんね。
疑問に思った点とは
なぜか絞り環の目盛間隔はかなり不均等で、しかも歯抜けになっています。F1.4とF2.8の間に通常あるはずのF2が無くまたF11の表記もありません。F2のあるべき位置にクリックはありますし、表示するスペースも十分ですから2と書いて欲しかったですね。16の前に・がありますがこちらにはクリック感はありません。ここも欲しかったなと思います。
表記 | 1.4 | (2) | 2.8 | 4 | 5.6 | 8 | ・16 | ||||
click | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ |
また表記のない部分のクリック数、間隔も不均等であるために、レンズを見ないとF値の確認ができません。いちいち見る人は稀でしょうし使いにくいことには変わりありませんから、もう少しユーザービリティを考えて頂ければ、さらに人気が出るのでは?
ピント環は適度なトルク感で、無限遠から最短の0.3mまでの回転角は170度程度と35mmでは標準的かなと思います。
早速、試し撮り
では作例を見ていただきましょうかね。
と1枚目から作例としては不適当?と言えそうな写真ですが、これ見て最近新発売されたレンズだと思えますか?まるでオールドレンズで撮ったかのようだと思いませんか?色収差やコマ収差がバリバリ出ていますしバブルボケも出ているという事は球面収差もありそうです。
周辺減光もありますし、フレアも出ます。(途中でフード付きになった理由かな?)
ゴーストも出ますね。
最短撮影距離は30cmですからかなり寄る事ができるのでテーブルフォトにも使えそうです。
カラフルな色も地味な色もいい感じで出ますね。
こんな絵を作れるのも大口径レンズのおかげですなぁ
色収差の出にくい被写体であれば、高級レンズと遜色ない…とは言いすぎか?
実はここまでの作例はAPS-Cモードで撮ったものです。カメラの設定を戻すのを忘れていて気付かずに撮っていました。笑ってやってくださいw
さて、気を取り直して。以下はフルサイズでの撮影です。
開放だと周辺減光がかなり出ます。ロモっぽい写真が撮りたい人にはうってつけと言えるかもですね。少しマイナス補正をすれば良い感じになりそうです。
コマ収差も出ていますね。しかしこれは開けて撮れば面白い絵になるレンズですよ。
寄れるのでついつい寄って撮りたくなるんですよねえ。開けて撮るとボケがざわつくので面白い
この色とこのボケを使えばエモい写真が撮れそうですね
口径食もあるので周辺のボケはラグビーボール型になります
注意点というか、やっぱりと言いますか、距離環は無限遠では止まらず、オーバーインフまでいきますので、遠景時もピントを合わせる必要があり油断すると無限遠のつもりがピンボケになります。
追記:続編として無限遠調整をしました
パープルフリンジも出まくるんで、デジカメ用レンズとしてはどうかなとも思いますが、よく言えばオールドレンズ感が出ますね。
終わりに
各種の収差かなり多いみたいでクセ強めではあるけれど、絞れば改善し、質感も十分でコスパが良いです。この値段で表現の幅をかなり広げる事ができますから試してみる価値はあると感じました。
SONY純正の35mmF1.4のレンズって言ったら10万越えコースですからね。しかも巨大です。
写りの差はかなり大きいでしょうがねww
しかしこのレンズの価値は写り云々と言うよりは、安価で小型軽量、手軽にオールドレンズ風な写りを楽しめる大口径35mmだという事ですね。SONYのGレンズやツァイスレンズは現代的なキリッとした写りですから、このレンズのような収差バリバリの写りはしませんし、レタッチで再現するのも不可能でしょう。
最後まで読んでいただき感謝です。
マニュアルフォーカスレンズを試してみたい方や、大口径レンズがどんなものか体験してみたい人、クラシックレンズを使ってみたいけど踏み切れない方の入門用などにもオススメです。
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