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PENTAX SPF TTL開放測光露出計「2階建のヒゲゼンマイを持つメーター」の内部断線は修理できるのか?

この記事は約5分で読めます。

ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物は前回に引き続き「PENTAX SPF」です。

前回はシャッターの修理が完了し、メーターの故障探求の結果は「メーター(電流計)の内部断線」だと判明したところまでです。

メーター内部の状況の確認

メーターは非常に小さな部品で黒いプラスチックのカバーに覆われています。
黒い殻が1cm程度のサイズです。

まずは黒い殻を取り外さなければメーター内部にはアクセスできません。
よく見ると、筒の部分と上蓋と底蓋の3分割構造のようです。3つのパーツは接着剤と言うよりも青いネジロック剤で固められているようですからエタノールで溶かしてから殻割りしました。

下側 シングルなヒゲゼンマイ

ここから先はマイクロ作業です。拙者の肉眼では全く見えません。キズミは必須です。

はかせ
はかせ

キズミとは?時計の修理屋さんなど使っているルーペのことじゃ。
コレがあると便利じゃぞ。3倍か5倍ぐらいがオススメじゃ。

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時計屋さんとかが目に着けて使っているいわゆる拡大鏡。コレがあると今まで見つけられなかったトラブルが発見できる

ヒゲゼンマイが見えました。シングルの方が共通端子だと思われますからこちらから見ていきます。外側は外れていませんが内側はどうでしょう。

初代タムキュー52Bに更に接写チューブ(中間リング)をつけてドアップで撮影しました。ヒゲゼンマイの幅は0.5mm程度の細さ。極小マクロな世界ですよ。よく見るとハンダが見事に外れています。

更に分解してヒゲゼンマイをハンダ付けする

はんだ付けする為に、更に分解してメーターの内部を抜き出します。

この写真では上側がシングルヒゲゼンマイで下側がダブル(2階建)ヒゲゼンマイ

このメーターは上側のヒゲゼンマイがこのように2階建構造になっています。これ本当に治せるんでしょうか?不安しかないです。

いつも細かいハンダ付けにはHOZANのH52という18Wの超古いコテを使っているのですが、こて先の径は1mm程度細くて良いのですが、テーパー形状ですぐに太くなっています。
この小手先では、この極小ヒゲゼンマイをハンダ付けするにはちょっと太すぎるんです。

で、試しにハンダゴテに太さ0.5mm程度の銅線(多分ブリッジダイオードの足)を巻いてこて先の延長を試してみました。苦肉の策としか言いようがありませんが、なんとかハンダ付けに成功しました。
しかし、残念ながら導通はありませんでした。コイルの断線ならば諦めるしか有りませんが、いちおう2階建の方のヒゲゼンマイも確認してみますと、こちらもハンダが外れているではありませんか!しかも2箇所ともです。
つまり3本のヒゲゼンマイ全てハンダが外れていた事になります。さすがに2階建ヒゲゼンマイを分解せずにハンダ付けするのは困難ですからメーターを分解してから作業する事にします。

一か八か。メーターを分解して2階建ヒゲゼンマイをハンダ付けする

まず、固定子(永久磁石)と回転子(コイルローター)を分離する前にヒゲゼンマイ外側のハンダを外して、回転子をフリーにしなければなりません。これをやらずにローターの軸を抜くとヒゲゼンマイは変形し確実に再起不能になると思います。

ヒゲゼンマイは小さい部品な上、とっても繊細なので、ちょっとした事で曲がってしまいます。
作業は困難を極めます。誤って曲げてしまったら修復するのは不可能だと思います。

コイルが巻かれたローターと取り外したヒゲゼンマイ

外れていた2階建(2本)のヒゲゼンマイとコイルローター(1円玉は友情出演w)

反対側のヒゲゼンマイは最初にはんだ付け済み。同じように、2階建でしかも2本が接触(ショート)しないようにハンダ付けする必要があるのです。

キズミを片目に固定しての作業ですから、目はシバシバするし手はプルプルで息を止めながらなので窒息しそうになりながら、何とかはんだ付けする事に成功しました。
あとは殻に戻して動作確認してみます。

♪───O(≧∇≦)O────♪ キター
今回のメーター修理は困難を極めましたが、見事に成功です。これでメーター単体は復活しました。
550円のジャンクカメラにここまでやるかww

腐食したプリズムの修復

プリズムの腐食は酷くて、ご覧のように撮影に支障が出るレベル。(写りには影響しないのだが…)

プリズムはたくさんあるジャンクなPENTAX SPから移植しても良いかな〜と思っていました。

が、形が違います。改造すれば使えるかもしれませんが、そのままではフォトスイッチが動かないだろうと思います。噂によるとサイズも若干異なるようです。
しょうがないので、とりあえず簡易修理でお茶を濁しましょう。
驚異の新技術!「スパッタリングミラー貼り付け法」ですねwww

前回はレジンで貼り付けましたが、今回は黒いマステで貼っただけという手抜きww

しかし見えは問題なさそう。
うっすら黒い線が見えていますが使用に差し支えは(ちょっとしか)ないでしょう。

巻き上げレバーの軸を整備

このシリーズは巻き上げが軽くスムーズなはずなのに巻き上げがかなり硬い。

軸のグリスは油分が抜けてカッサカサw

なので巻き上げレバー軸だけですが分解してグリスアップしておきました。

最終チェックとコンディション認定

SMC TAKUMAR50mmF1.4をつけて動作チェックをしました。

シャッターは全速快調でミラーアップでスタックする事はなくなりました。露出計は開放測光でも絞り込み測光でも概ね正確な値を示しているようです。ファインダーは手抜き整備では有りますが実用には十分だと思います。外観は手で触れる部分や機能に関係する部分だけ磨いで、その他はあえて磨かずにボロいままにしています。いずれ気が向いたら磨くかもしれませんw

そんな訳で外観が汚くファインダーの見えに若干難(修復部分が若干ぼやける)がある「難有り品」に認定します。もちろん写真は撮れますので近いうち試写してみますね。

あとがき

ぐりやん
ぐりやん

最後まで読んでいただき感謝です。
実は今回青箱から6台のカメラを救出してきました。
一台は豆カメラであと5台は、アサヒペンタックス3台とニコンが2台の一眼レフなのです。
ペンタックスは330円と550円が2台、ニコンは2台とも1100円でした。
そしてミゼット判の豆カメラが1100円!なぜ大枚叩いて買ったのか?だってスプールが2個付いていたんですものw
拙者のジャンカメハンティングは、止どまるところを知らずっすねぇ〜www

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コメント

  1. トム より:

    ヒゲゼンマイの半田付け、お疲れ様でした、私も経験ありますけど手がプルプルしますよね、半田一滴で全てが大なしですから・・・それを3カ所とは本当にお疲れさまでした。

    • ぐりやん ぐりやん より:

      こんなクレイジーな修理をする人が他にもいらっしゃったとは(^^;;
      さすがです(^-^)
      私の場合、しんどかったのは、手より目ですねぇ。
      若い時の目に、戻りたい♪戻れない♪
      しかしながらヒゲゼンマイのハンダが全て外れるってどう言うことなんですかねぇ。
      元々のハンダ付けがあまり良くなかったのでしょうか?
      SPF良いカメラなのにねぇ。
      特にスクリューマウントで開放測光っていうなんだか不思議な感じがたまらんw
      プリズム腐食が無ければねぇ。

      • トム より:

        目は私も最近特に老眼が進んで大変なことになってきました、パソコン観ながら細かい作業とかやると眼鏡を交換しながら奮闘してます。

        ヒゲゼンマイの半田付けはこちらで紹介しています。

        https://tomshome.sakura.ne.jp/others/compact/RolleiXF35.html

        • ぐりやん ぐりやん より:

          おお。やっておられますね。
          ていうか、ペンタックス以外もやられているんですね。XF35前に探してた事あるんですが、中々安価なものが見つからず諦めて忘れていました。レンジファインダーの構造など気になりますね。
          トムさんのページは危険が多そうだw

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