こんばんは。いつもNHK FM ラジオ深夜便を聴きながらブログ更新している、ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物は1978年に発売された望遠ズームレンズです。
SMC PENTAX-M ZOOM 1:4.5 80mm〜200mm
このレンズには前期型と後期型がございまして、今回入手したものは前期型です。F値4.5通しの4群ズームで、レンズ構成は12群15枚構成で総金属製と豪華な設計です。最短撮影距離1.6mは、ちょっと使いにくいですね。
参考までにMD 70-210 F4の構成図を載せてみます。同じ4群ズームですが枚数がずいぶん違いますね
ちなみに後期は9群12枚構成で一般的な設計に変更され、鏡筒の一部がプラスチック化されましたが、なぜか少し重くなった様です。しかしながら当時の定価が90,000から57,000とずいぶん安くなったらしいです。そして後期型は最短撮影距離が1.2mとだいぶ寄れる様になったそうです。
状態の確認と整備の方針
外観は上の写真のように美品レベルです。見た目は良いのですがね…
前玉の裏側に拭き跡があります。つまり過去のユーザーが分解した痕跡が有るって事なんですね〜。
そして中玉にはまたもや大量の拭きキズとクモリがありますね〜(汗)
さらに普通はカメラに取り付けてよくよく確認しないと気づかないかもしれませんが、絞りの動きがおかしいです。
絞りリングを操作しても絞りが正常に動いていない様子ですし、自動絞りも正常に動作しません。
クモリレンズの極限と汚された内部レンズエレメントのクリーニングおよび、絞りの故障の原因を見つけて、なんとか修理したいですね。
分解整備
まずは前玉から攻めてみます。いつもの様に先攻は吸盤オープナーからですよ。
吸盤オープナーで簡単に開きました。そして前玉を確認すると?
2枚目と3枚目の貼り合わせ面ですね。まあ周辺なので影響はないでしょう。
前玉を外すと変倍系のレンズユニット(第3群前側)が見えますがこれも拭き汚れがついていて、カニ目にはガリキズがありますねー。前からはここまでしかバラせませんでしたのでゴムリングを剥がします。
ゴムを剥がす時はいつもこういった感じで小さなペインティングナイフを使っています。これはずーっと昔に100均で買ったものですが最近は見かけないですね。これを使えば、ゴムに傷をつける事なく簡単に剥がせます。貼り革などにも便利なのですよ。オススメです。
まずは鏡筒を分割して後群を分離しました。そして変倍系と補正系を取り外します。
かなりパーツが多くしかも変倍系の取り外しは知恵の輪で骨が折れました。変倍系はユニットで抜けてくるのでこれをまず外してその後変倍系を移動させる枠をレールから取り外す様にしないと分解できませんでした。しかも変倍系を移動させる枠は知恵の輪の様にして取り外す必要があります。取り外す際に補正系(第6群)に接触してしまいグリスをベッタリと付着させてしまいました。やっちまったw
そして取り外した変倍系ユニットを見るとまたもやバルサム切れです。第3群の4枚目と5枚目の貼り合わせ面ですね。これも周辺部だけなので影響はないかな〜(はぁ〜)
変倍系は難なく取外せました。
後群へいきます
ここも拭き汚れがありました(第7群前側)、そしてカビ(第8群後ろ側)もありますね。
レンズエレメントの取り扱いにはレンズサッカーの使用をお勧めします。落下事故や汚れの付着が防止できますよ。
今回洗浄レンズエレメントに見事当選したのは、
特に汚かったりクモっている洗わにゃどうにもならん玉ですw
(実は第6群は先ほど油をベッタリつけてしまったヤツですが)
結局今回もほぼ全バラになってしまいましたw(すでに問題アリの絞りリング周辺もバラしてます)
忘れちゃいけない絞りの作動異常の故障探求
どうやらパーツが欠落している様です。手持ちのPENTAX-Mシリーズのレンズをバラして確認してみましたが同じタイプのものはありませんでしたので正常な状態を予想して修復するしかありません。
なんだか動きがおかしい絞り伝達カムを見ると穴があり鏡筒側にも合いそうな穴があります。
しかしネジは切られていません。多分ここになんらかのパーツがハマっていたのでしょうが・・・
適当な段付きネジをはめ込んだらそれっぽくなりました。ただこのネジプラカメから取ったジャンクネジなのでタッピングネジなんですよね。まあ小さなアルミ板あたりに穴を開けてねじ込めば良いのでしょうが試しにUV硬化接着剤で固めてみました。
耐久性に不安はありますが、まあ物は試しです。しばらくこれで様子をみます。
この手のUV硬化接着剤なかなか便利ですよ。歯医者さんで使われるUVレジンを基に開発されたらしいです。色々使えるしUVを当てるまでは固まらないのでゆっくりと位置合わせができるし、UVを当てれば一瞬で固まりますからね。ただし光を通さないもの同士の接着には使えません。BONDICが有名ですが安価な類似品がたくさんありますので探してみてください。
拙者はFASTFIXってのを使っていますヨ。これもう売ってないので、類似品をご紹介しておきます。
あとは組み立てれば完成なのですが、上の方に知恵の輪と書いた変倍系を移動させる枠これを先に取り付ける必要があります。奥に見える補正系に接触させない様に気をつけながら上手く入れ込んで正に知恵の輪の様に取り付ける必要があります。
それと前後に分離させた鏡筒を再結合する際は
前部鏡筒内の絞りレバーの一本爪を後部鏡筒にある2本の爪の間に入れる必要がありますのでご注意ください。
最終チェック
LXに取り付けてピントを見てみましたが、ズレは無いようです。
絞りの作動も問題ないですね。
いつもの様にα7Ⅱに取り付けて試し撮りをしてみました。
レンズエレメントの状態はアレですけど、最短も無限も良く写りますよ。良いレンズです。
コンディション認定
レンズにバル切れ2箇所、濁り2箇所、中玉に拭き傷等の問題が多いが使える。しかしながら一部接着剤による仮修理をしているため「ジャンク品」に認定ですね。
あとがき
最終的には第2、3、6群、つまり全ての貼り合わせ面に問題がありました。第2群はバルサム切れ、3群はバルサム切れと濁り、第6群は触れていませんでしたがバルサムの薄い濁りがあります。
SMC PENTAX-M世代のレンズがバルサムに問題があるレンズが非常に多い。この時代のPENTAX製品で使用されていたバルサム自体に問題があったのかもしれませんね。購入する場合はご注意ください。
特に高価なレンズを購入する場合は保証が付いたものをお勧めします。
最後まで読んでいただき感謝です。
次回は1979年発売の某カメラメーカー製、標準ズームレンズをレストアしていきたいと思います。
乞うご期待w
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