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CANON NEW FD 35-70 F3.5-4.5 のジャンクレンズの分解修理 Get’n repair これは良いレンズですぞ!

この記事は約6分で読めます。

最近天気な日が多いので、なんか気分上がっている、ジャンカメ ハンターのぐりやんです。
本日の獲物は1983年発売のキヤノン製標準ズームレンズです。
先日入手したFD35-70 F4の後継レンズと言ってよいでしょう。

CANON ZOOM LENS FD 35-70mm 1:3.5-4.5

このレンズの特徴はなんといってもプラスチッキーなところでしょう。F値が通しでは無くなりズーミングによって変化する様になりましたが、かなりコンパクトになりとても軽くなりました。ピントローレットにゴムなどはハマっていなくて、ピントリングと一体整形です。文字などは全て印刷です。かなりコストダウンが進んだレンズですな。当時の価格は31,900円とかなり攻めた価格となっています。
確かT70とT50のキットレンズだったと思います。
前の機種である35-70 F4(以降F4と呼称します)と比べてみましょう。機能向上(コストアップ?)と思われる所に赤、機能低下(コストダウン?)と思われる所に緑色で示してみました。

 35-70 F435-70 F3.5-4.5
発売19791983
価格45,00031.900
レンズ構成8群8枚8群9
ズーム構成2群
絞り羽根枚数6枚5
最短撮影距離0.5m0.35m(マクロ)
径x長さ63x84.563x60.9
重さ315200
小さい方が今回紹介するレンズです

なんとコストが掛かりそうなレンズ枚数が1枚増えてF4には無かった貼り合わせレンズが1グループあります。そして全域連続マクロが可能となり最短撮影距離は実質35cmとなっています。そして短く軽くなりました。
逆にF4通しでは無くなり、絞り羽根枚数が5枚になってしまいました。鏡筒やヘリコイドまでもプラッチックで出来ています。また距離指標やレンズ銘板の文字が印刷になり安っぽくなっています。
しかし見ただけではそんなに安っぽく見えないんですよね。触ると安っぽいけど実際とても安かったんですよねw 50mmF1.4の方が100円高いwそんな攻めた値段だったのです。
それでいて画質には妥協がないわけですから、正に鬼コスパレンズと言えるのではないでしょうか?

状態

外観は何かがこびりついています。掃除すれば取れるかな?

前玉と後玉は少し汚れていますが、大きな傷などは無さそうです。

とりあえず前後のレンズだけ綺麗にしてみました。良さそうには見えますが、このレンズも絞り付近のレンズエレメントにクモリがあります。

前玉の後ろ、多分3枚目ぐらいにカビ跡がありますねぇ。絞りに油が回っています。そしてまたもや前玉がカタカタと遊んでいます。コレもF4と同じ様にヘリコイドのカムスロットがイカれているのでしょうね。コレらはNew FDズームレンズ共通の持病な様ですね。

今回の整備では、絞り羽根とクモった中玉のクリーニング。ユルユルの前群カムスロットの状態確認と修復が主ですね。

分解整備

コストダウンによる設計の簡略化と部品点数の削減により分解は難解でした。先駆者の諸先輩方の分解方法を見ながら分解しましたが結構な知恵の輪でした。
銘板は外側から軽く抉れば外せます。

ヘリコイドを抜くまでのネジは3本だけあとはハメ込みで組み立てられています。ヘリコイドとヘリコイドカム環は分割式でしたので、ヘリコイドを抜かなくてもヘリコイドカムの確認が出来ました。

NFD35-70 F4では3本だったヘリコイドカムは2本になっていましたやはりF4と同じ様にカムのスライダーが消えている様ですが、コチラは粉々では無く、跡形もなくドロドロに溶けてしまった模様です。スライダーのサイズはNFD35-70 F4と同じでしたので、3Dプリンターで増産しました。
3Dプリンターが無くても熱収縮チューブを使えば代用品を作成できますのでお試しあれ。

お買い物リンク
色んな種類が入ってる。一つ持っておくと何かと便利です

F4には無かった位置決めイモネジとネジ穴。

内部の作りはNFD35-70 F4ととても似ているのでこのレンズエレメントを外すと元に戻すのが難しい事が予想されます。NFD35-70 F4ではここを外してしまいドツボにはまりました。注意です。
よく見るとイモネジで位置決め出来る様に進化してます。イモネジを触らなければ組立は楽かもしれませんが、イモネジは1本しかついていなかったのでなんとも言えませんね。ですからここは外さずに裏から攻めます。NFD35-70 F4の時はココの調整に何時間も掛かりましたからね。

今度は後ろからバラします。ここがF4との最大の違い。動かないレンズエレメントが1枚だけ後側に追加されてます。つまりズームの構成は3群ズームとなっています。最後尾の玉は後枠と一緒に外れます。ズーム2群は絞りを挟んで組み立てられていますが、絞りより後部のユニットはカニ目で丸ごと取り外せました。

コレで絞り羽根にアクセス出来ます。絞り羽根の油はそんなに酷く無いのでバラさずに簡易的に拭き拭きだけで済ませました。クモリ玉は絞りのすぐ後ろで拭いたらキレイになりました。ラッキーです。

コレで予定整備は終了ですから再組み立てします。前玉の組み立て方法が難解でしたが何とか解読して事なきを得ました。設計者は凄いなー。

最終チェック

ほぼ問題なき状態になりました。問題点は若干のカビ跡があることぐらいです。カビ跡は最初からあったけどカビは清掃済みで、よく見ると跡だけが残っている状態だったんですよね。

70mm望遠端

70mmでここまで寄れます。全域連続マクロなので使いやすい。

35mmで最短撮影

こちらは35mmテーブルフォトなどにも十分対応可能。まさに普段使いに最適な標準ズームです。

望遠端、遠景でも十分な画質です。

広角端開放でも十分使えそうですね。

でも実は歪曲収差が多めで被写体によっては気になる場面もあるかと思います。

コンディション認定

外観キレイレンズも綺麗だけどほぼ見えないカビ跡がある。美品レベルの「並品」に認定します。

あとがき

キヤノンの3群ズームは初めてですが、中身は2群ズームの改良型でありまして構造はほぼ同じです。ただしコストダウンの部品点数削減により分解組立が難解になってきています。ちょっと知恵の輪的ですね。まあ動きや組み立て方を考えて設計者の天才さを目の当たりにできますので面白いんですけどね。
ほんとによく考えないと組み立てられないですね。

ぐりやん
ぐりやん

最後まで読んでいただき感謝です。
次回はなぜかジャンク箱の底から発掘されたので年代が一旦戻って1977年発売のカメラメーカー純正の望遠ズームレンズをレストアしていきたいと思います。
乞うご期待w

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