岸谷香Unlock the heart 最後の放送を聴きながらキーボードを叩いている、
ジャンカメハンターのぐりやんです。

このXEには相当手強いですぞ!
前回に引き続きminolta XEの難解な故障のトラブルシューティングを続けています。
マニュアルでのシャッターはOKになりましたがAUTOがダメなんですね〜。AUTOにするとミラーアップして固まります。むー。直したいけど。
症状の詳細
前回までの整備によって露出計の不具合は治りました。
すべての電子シャッターでミラーアップしていたのがマニュアルではちゃんと動くようになりました。メカニカルシャッターのX,Bも正常です。
サービスマニュアルのトラブル原因表の中にあるフローチャートを見ると、Automatic Releaseという項目があり「シャッターが10秒かそれ以上開く場合」みたいなことが書いてあります。
この個体の症状に合致しますのでフローチャートを確認します。
メカニカルシャッターを見るようになっています。しかしながらここでのメカニカルシャッターの意味が良く分からないんですよね(汗)まあ、シャッターの機械的な部分て事だと理解する事にします。
サービスマニュアルに従って故障箇所の極限を目指す
フローチャートをAutomatic Release→B.C(OK)→Meter(OK)→
との順で辿ると原因は5項目あります。
- 露出変更スライドスイッチ
- ベースプレートAのRTAユニット
- A-M切り替えスイッチの導通確認
- C(+)の電圧確認
- SW3の導通確認
露出変更スライドスイッチとはいわゆるシャッターダイアル下の接点でしょうから再度クリーニングして導通確認OKです。が直りません。
RTAとベースプレートBとの導通も良いようです。
A-M切り替えスイッチの作動と導通も問題ありません
次はっと。ん?、そ言えばSW3って見覚えあるぞ。
そうですミラーボックス下の曲がっていた接点です。変形を修正した後に、テスターで導通確認したのでここは大丈夫と思っていましたがもう一度確認してみます。
実にやりにくいのでミラーボックスを外して精密に確認します。今回はハンダは外さずに挑戦してみました。(実は外さなくてもペンタプリズム上の基板の緑と黄色の配線で確認できます。オレンジはレリーズボタン下のSW2'でオレンジから緑に変わります。SW2が正常でもSW2'が接触不良であればこの限りではないので注意)

まずはキズミで目視確認。

と?
なんだかSW2に0.1ミリぐらい隙間が空いているように見えます。ここはN.C(ノーマルクローズ、通常接)ですので隙間が空いていてはダメです。テスターで確認しても導通はありません。
原因はこれなのか?
再度接点を小さなラジペンで修正して接点清掃も実施しキズミで目視はOK。

キズミとは?時計の修理屋さんなど使っているルーペのことじゃ。
コレがあると便利じゃぞ。3倍か5倍ぐらいがオススメじゃ。
実はぐりやんはIXYで超接写する時にもコレを使っているらしいぞ
拙者は接点を磨くのには超精密研磨フィルムの8000番を使っています。このような金メッキの接点などを磨くのには、なかなか具合が良いです。
ちなみにピカールの研磨粒子は3μmなので4000番、8000番の粒子は0.5μmですよ。

このような接点を清掃するのに耐水ペーパなどを使うと接点が摩耗してしまうぞ。
超精密フィルム研磨剤がオススメじゃ。
コレを短冊状に切って接点に差し込んで研磨すればOKじゃ。
で接点のテスターでの導通確認はOKです。
この状態でAUTOでレリーズしてみます。
カシャン!
AUTOでのミラーアップフリーズが起こらず、初めてミラーが戻りました。
♪───O(≧∇≦)O────♪
これはキタのでは?
明るくするとカシャッとミラーが戻ります。暗くするのにはcdsがむき出しなのでペンタ部を手の平で覆い隠して再度レリーズ
カッシャン。シャッタースピードが遅くなった!
シャッタースリットもちゃんと開いていますヨ!

直ったわコレ!イェーイ!!!
5日も格闘したけれど大勝利です。

まだ試し撮りしてないじゃん!

そなんだけどね。たぶんちゃんと写るよコレはw
あとはフィルム室のモルトを張り替えれば完璧!
しかしもう一度サービスマニュアルを見るとこの接点はSW2でした。でも治ったから良いかw
サービスマニュアルを見てもSW2、SW3の役目が理解できません。しかしミラーアップしたらOFFになることとSW2が接触不良を起こすとAUTOだけがダメになることが分かりました。ご参考に!
ちなみにSW2は分解しなくても底蓋を外すだけで目視できますよ。

そそくさと組み立てます(何回分解組み立てて分解したことかトホホ)
前板を嵌める時に参考にしてくださいね。


プレビューレバーはここにハマっているだけですよ。 セルフタイマーのレバーはこのように。

絞り用の糸はこのようなルートで

多重露光レバーの裏にもモルトあり
組み立て終わったらモルト貼り
拙者の嫌いな時間がやって来ました

モルト多めですね。

モルトの長さを測るのにはハンダ(糸はんだ)が便利です。溝に突っ込んでマーカーで印をつければOK

あとはハンダの長さに合わせて長さを決めます。カットにはロータリーカッター一択です。

はーい。キレイに貼れて完成です。
最終チェックとコンディション認定
完調になりました。ファインダーもキレイ。至高の巻き上げとシャッター音。コレはウズウズしますね。実は昨日完成したので今日は試写に行って来ました。

ライカM3のように使い手を気持ちよくさせるカメラですね。シャッターをどんどん切らされてしまうカメラと言えそうです。
総じて、評判通りとても操作感が気持ちいいカメラですね。
コンディション、コレはもう美品と言いたいところですが、アタリがあるので「並品」ですねぇ。
追記:試写を終えました。絶好調です!
あとがき
実は一昨日の時点でこのカメラ直すの一旦諦めてたんですよね。もう無理だ、マニュアル専用機でいいやと思っていました。でももう一度英語で難解なサービスマニュアルを読んでみました。そしてもう一度だけ挑戦してみたのが昨日だったのです。
何回分解組立したかなぁ。苦労して治したので超うれしいです。コレぞカメラ修理の醍醐味ですね。
もぅ、超キモチイイ。サイコーw

最後まで読んでいただき感謝です。
さて次回は1976年に発売された、KONICA製の一眼レフをレストアしていこうと思います。乞うご期待w

今回紹介したのはキズミルーペと超精密研磨フィルム。
そしていつものロータリーカッターどれもお値段以上↑
オススメじゃ。
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