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Takumar50mmF3.5(M37タクマー)国産一眼レフ黎明期の標準レンズを整備する

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ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物は前回整備したAsahiflex1aの標準レンズです。

前回に引き続き、旭光学工業製のタクマー50mmF3.5を整備していこうと思います。

Takumar50mmF3.5(M37プリセットタクマー)

このレンズはタクマーの歴史上、かなり初期のレンズとなります。初代M37タクマーはAsahiflex1型の標準レンズであったTakumar50mmF3.5でした。これは絞り環にクリックがあるのみでそのほかは何のギミックも無いレンズで構成はテッサー型でした。そして今回ご紹介するAsahiflex1a型にセットされた標準レンズは初代M37タクマーを改良しプリセット絞りを組み込んだものです。

プリセット絞りとは?

一眼レフは撮影レンズを使いピントを合わせて構図を決めます。ピントを合うわせる時は絞りを開放にしておいたほうが都合が良いため後年では自動絞りが開発された訳ですが、自動絞りが実現するまでは絞りを手動で操作する必要がありました。

分かりにくいとは思いますが、正確にピントを合わせたい場合は一旦絞りを開放にしてピントを合わせ、ピントが合った状態のままで手動で絞りを絞り込んでからシャッターボタンを押さなくてはならないのです。例えば晴れた日に花をできるだけ大きく撮りたいと思ったとしましょう。まず露出を決めますが、1/200とF11に決めたそしましょう。そして絞りを開放(F3.5)にして花に近づきピントを合わせます。(このレンズの最短撮影距離は2.5ft:約83cm)そしてピントが合った状態で絞りをF11まで絞り込まなくてはならないのです。三脚に固定してれば別ですけど手持ちではかなり難しいですよね。カメラを動かせばピントは狂ってしまいますから、カメラを構えたまま(ファインダーを覗いたまま)クリック感を手がかりにカチ・カチ・カチ・カチと4クリック分絞り込んでからシャッターを切ることになる訳です。

プリセット絞りはこれを少しだけやり易くするものなんですね。予め決めた絞り値(この場合はF11)にプリセットレバーをセットしておけば開放からF11にスムーズに変更できるようになっているのです。

そしてこれを自動化したのが自動絞りって訳です。

わかりにくくてすいませんwww。

で、この改良型M37タクマーにはプリセット絞りが搭載されて少しだけ使い易くなってる訳なんです。

上写真のプリセットレバーを使ってプリセット指標(下写真:赤)をセットしたい絞り値に予めセットしておきます。

すると絞り環の動く範囲が開放からF5.6に制限されるのです。ですから一旦開放にしても容易に(絞り環を見なくても)F5.6にセットできるという訳です。


レンズ構成はTessar(テッサー型)でレンズの設計やなんかは初代とほぼ同じだと思われます。

ちなみにAsahiflex時代からPentax時代にかけて、テッサー型を採用したレンズはTakemar50/F3.5系とMacro Takumar50/F4系のみ(ぐりやん調べw)ですからレアと言えるかもしれませんね。

状態

まずはレンズエレメントのカビや汚れなどの状態からチェックしていきます。レンズエレメントにはカビが多く、特に後玉にはひどいカビがあります。ライトで照らしてみると内部にも細かいカビが多いですねぇ。70年以上経過していることを考えれば、しゃーないか…。

私の経験からすると、多分キレイになる… と思いたいww
後玉の強烈な茶色カビさえ何とかなれば、あとは大丈夫であろう…
この茶色いカビは半自動AutoTakumarに着いていたカビと似ている気がする

レンズのクリーニング

茶色いカビがある後玉を過酸化水素水(オキシドール)で拭いてみよう。次に無水エタノールで拭いてみる

どうにも拭きにくいので、後玉を外してみようと思いましたが、残念ながら後玉はハメゴロシで後玉の枠から取り外す事は出来ませんでした。後玉の内側の面には既に拭き傷がありました。古いレンズあるあるですね〜。まあこのレンズの構成はテッサータイプなので3群しかありませんから清掃は容易なハズです。後玉を外すだけで中ダマの後面も掃除できますからね。

しかし前玉の外し方がわかりませんから鏡筒とレンズユニットを分離します。まだまだ無限遠調整機能は内蔵されておらず、シムの厚みで無限遠を出す方式でシムはプラ製のものと紙製のものが使われていました。まだ前玉の外し方は分かりませんから絞り環を取り外します。しかし前玉の外しからは分かりませんし、 何もヒントもありません。もう捩じ込まれているとしか考えられませんから軽く捻ってみますとあっさり緩みました。クルクル回していくと銘板ごと第1群と第2群がユニットで抜けました。第1群と第2群の間はカビもなくキレイだったので掃除は見送りました。

これで全てのレンズ面が掃除できる状態になりました。レンズエレメントには過去の拭き跡がたくさんでしたが、まあまあキレイになりました。

余談ですが、レンズのカビやクモリは絞り羽根に面するところのみで発生していることが多いのです。ですからレンズ内のクリーニングをする場合は絞りに面する部分から始めるのがセオリーです。拙者は必要ないと判断したレンズは拭かないことにしています。拭かなければ拭かなければ誤って傷を付けたりコーティングを傷める心配はありませんからねw。

そして、油まみれの絞りでしたが

フジツボ型の開閉キーでしたから

分解は避けて拭き掃除だけにしました。

ここまでドライな感じになればOKだけど、いずれ再発するだろうと思います。そうなれば分解してベンジン浴をしていただこうと思いますw

フジツボ型の開閉キーは組み立てをミスると上参考写真のように簡単に潰れてしまうので今回は分解せずに済ませました。

レンズユニットの完成です。まあまあキレイになりました。

鏡筒とレンズユニットをドッキングします。(シムをお忘れなく)

これで組み立てが完了しました!

うーん カッコいい! 完成ですね

最終チェックとコンディション認定

シャッタースピードには若干狂いがありますが、シャッター幕が融着して全く使えなかったジャンクカメラが普通に動くようになりましたからレストアは成功と言っていいかと思います。

後玉にダメージがあるレンズの撮影へ与える影響を調べるには点光源のボケを撮影するのが簡単です。いつも拙者がやってるやつですねw

左が整備前のやつなんですが、後玉のカビ痕がモロに出ていますね。右は整備後でカビ痕が見事に無くなっています。これは、ほぼ問題ないレベルだと言えますね。試し撮りが楽しみすぎますね。

あとがき

ぐりやん
ぐりやん

最後まで読んでいただき感謝です。
実は、すでに試写は終えていますから次回は試写結果をお届けします。

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