ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物はロモグラフィーのスーパーサンプラーです。ロモグラフィーのオリジナルカメラとしてはアクションサンプラーに続き2つ目の製品で2000年に発売されました。
Lomography Supersampler

このカメラは4つレンズがある4つ目カメラなのです。実は拙者、4つ目カメラのバビロン4を持っています。ロモグラフィーにも同じように田の字のような写真が撮れるアクションサンプラーというカメラがあります。具体的にはライカ判を上下左右に4分割したフォーマットで写真が撮れます。気になる方はリンク先を見ていただきたいと思います。

対して、スーパーサンプラーはどんなんか?と言いますと、レンズが一列に並んでいてライカ判を縦に使い、横4分割(わかりにくいですねーw)したフォーマットとなります。フレームサイズは約8.5x24mmで映画館の横長スクリーン(シネスコ)に近いアスペクト比の写真が連続で4枚撮影されます。

わかりやすいように絵を書いてみました。ライカ判は左図のように横36ミリ縦24ミリとなっています。これがいわゆる35ミリカメラの標準的なフォーマットですね。対するスーパーサンプラーではこれを縦位置で使い横に4分割したフォーマットなのです。縦に並んだ4つのレンズそれぞれにシャッターがあり時間差で切れて行くのです。このフォーマットは後に動画カメラのLOMOKINOでも採用されることになるのでしたw
Lomography Supersampler SPEC.
- 35mmフィルム使用 フレームサイズ8.5x24x4枚
- 24mm プラスチックレンズ 2群2枚 4 個
- 絞り固定 絞り値F11という海外での記述から
- シャッター 単速 1/100
- 0.3メートルから無限遠までの固定焦点
- 2 種類のインターバル速度: 2 秒間に4枚 (0.5秒/写真) or 0.2 秒間に4枚0.05 秒/写真)
- 巻き上げ:プルコードによる(特許だそうな)
- 巻き戻し:クランク式
状態
もちろんジャンク入手ですから状態は悪いです。このカメラは紐を引っ張って巻き上げるんですが、これができません。巻き上げができなくなるのはこのカメラの持病みたいですね。そしてシャッターの切れるタイミングがおかしいです。
1・・2・・・・3・・4 みたいな感じで2枚目と3枚目の間隔が長いです。そして、たまにシャッターがスタックします。
分解と不具合の確認
巻き戻しノブを外し、ネジを4つ抜いたら、外殻から中身を抜くだけなんですが巻き戻しボタンが引っかかるのでちょっと苦労します。

一見単純そうですが、意外と凝った機構が搭載されていることがわかります。
プルコードで引っ張ったラックギアをレリーズボタンに繋がるレバーでキャッチして、レリーズするとガバナーで減速されたラックギアが4つのカムを回転させて時間差でシャッターを作動させるようになっています。

プルコード式の巻き上げも中々に凝った設計で、プルコードを巻き取るためのリールと巻き戻すためのゼンマイ、空転さするためのラチェット式ワンウェイクラッチ、フィルムを巻き戻すためのクラッチが内蔵されています。
これはおそらく設計者はかなり楽しんで設計したのでは?と感じました。紐を引っ張って巻き上げをするってカメラはおそらく唯一無二ですからね。(ポラロイド・ヒッパレーではラックギアを直接引っ張ります)シャッターの設計は置いておいて、巻き上げ機構はこんな凝ったものにする必要性はありませんからね。この凝った機構のせいで巻き上げ部分が壊れやすくなってしまったのは想定外でしょうか。
実際このシャッターはこの動画の様な動きをします。シャッターをチャージすると上の方に見える長いバネが引っ張られてラックギアにテンションをかけます。そしてラックギアが真ん中あたりの4つのギアと噛み合っていて回転させる様になっているのです。レリーズするとギアについているツメ(1)が小さいツメ(2)を押し下げて、次々にシャッターバネのツメ(3)に引っ掛けていきます。ツメ(2)からツメ(1)が外れるとシャッターが開きます。

分かりにくいですね〜w
1/4スロー再生にして見ました
修理
まず、シャッターのタイミングが変則的なのは、そのままでも良いかなーと思ったのですが、せっかくバラしたんで修理を試みることにします。
ていうか、故障というよりも組み立てミスだったのでは無いかと思います。ですからシャッターを作動させるためのカムを組み替えてみようと思います。

最初は2番目と3番目のタイミングが空きすぎていると思ったのですが、よく観察すると2番目のシャッターの作動が早すぎるように感じます。つまり
1・2・・・3・・4って感じで2が早すぎる、つまり2を少し遅くすれば
1・・2・・3・・4と等間隔でシャッターが切れるようになりそうです。で2番目のカムだけを組み替えてみると、概ね良くなったようですからこれでOKとします。

プルコードの空転は、ラチェット式ワンウェイクラッチのラチェット部がプラスチックで経年による摩耗と変形によって掛かりが悪くなっているのが原因でした。

引っ掛かりを改善させるため爪の先の摩耗している部分を少し削り変形を慎重に熱で修正しシャフトの部分にペーパーシムを挟んで対処しました。
所謂対処療法ですねww。完全に治すためにはラチェット部分を交換する必要が有りそうですが、交換部品は入手できません。3Dプリントでラチェット部を作って試して見ましたがイマイチでした。


設計は強度を確保するため穴の向きを変えて見ました。うまくいったとしても強度的に長持ちはしないでしょうね。ここにバネを仕込むか、金属で作るか?どうしてもダメなら最終手段としてはプルコードを諦めてノブ式への改造って手段もありますね。
あとがき
分解写真を見て気がついた方もいらっしゃると思いますが、このカメラのレンズはプラ単玉ではありません。なんと2群2枚です。調べてみると24mm F11とのこと。これは面白そうですねー。

最後まで読んでいただき感謝です。
まあ何とか動く様になりましたから撮影はできそうです。シャッター速度を切り替えるパーツの足の部分が折れていますが、これも問題なさそうです。
動きさえすれば写真は撮れるはず。どんな写真が撮れるのか楽しみです。
さて次回はこのカメラの試し撮りの結果をお届けしようと思います。
乞うご期待w
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