いつの間にやらやってきた、「コダック ナンバー2 フォールディング カートリッジ プレモ」です。
なんか長ったらしい名前ですが、フォールディングは皆さんご存知折りたたみ型、カートリッジは当時ロールフィルムのことをそう呼んだらしいです。そしてプレモはシリーズ名でナンバー2は120フィルムが使えるて事みたいです。(若干違うかも)
- コダック:言わずと知れたブランドですね
- No,2:フィルムナンバーの事、No,2は現在の120と同じ
- フォールディング:カメラのタイプで折り畳み型を表す。フォールディング以外のタイプも有る。
- カートリッジ:フィルムのタイプを表す。ロールフィルムの意味
- プレモ:シリーズ名。
120フィルムは現在でも入手できます。ここ重要ですね。
コダックのこの時代のカメラを入手するならNo.2を選びましょうね。似てるけどNo.2Aは全く違いフィルムだからかっちゃダメよw
KODAK No.2 Folding CARTRIDGE PREMO
さて、このカメラ日本のサイトでは全く紹介がされておらず資料も皆無です。
しかし海外では沢山の資料を見つけることができました。アメリカのコダック(EASTMAN Kodak U.S.A)が100年以上前に発売したカメラだということが分かってきました。さらに研究を進めます。
そして、1916年発売時(100年以上前)のカタログを発見したので、抜粋、翻訳してみました。
EASTMAN Kodak Folding Cartridge Premoの No. 2 と 2A (1916)
これらは非常にコンパクトで小さなロールフィルムを使うカメラで、ボディの端が丸くすべてのラインが優雅で、ポケットに簡単に滑り込みます。これらは外観や操作、作成する写真のサイズが異なり、レンズやシャッターもわずかに異なります。
No.2は2.25x 3.25インチ(いわゆる120の6x9です)の写真を作成し、No.2Aは人気のある2.5 x4.25インチサイズ(116は現代では存在しません)用です。
No.2には、メニスカスレンズとNo.0コダックボールベアリングシャッターが取り付けられています。このシャッターには、timeとbulbと1/25秒と1/50秒の露出アクションがあります。
No.2Aには、メニスカスアクロマティックレンズとNo.1コダックボールベアリングシャッターがケーブルリリースなしで取り付けられています。このシャッターは、No.0と同じ動作と速度に加えて、1/100秒の高速シャッターを備えています。
どちらのカメラもR.R.(Rapid Rectilinearの事)レンズ付を選択することができます。
これらのプレモには、通常のEastman N.C.フィルムがロードされます。これらは、日光の下でのロードとアンロードが可能な新しく非常にシンプルな原理に基づいて構築されており、フィルムはコダックフィルムタンクで現像できるため、写真プロセスのどのステップにも暗室は必要ありません。
これらのカメラを設計する際の目標は、可能な限りシンプルで簡単に使用できるロールフィルムカメラを製造することでした。複雑なメカニズムや調整はなく、日常業務用のプレーンなカメラであり、平均的なアマチュアがカメラを使用する通常のすべての条件下でアマチュアの作品製作に適切に設計されています。
各カメラには、反射式ファインダー、2つの三脚ソケット、ストラップベルト、自動フォーカスロックがあります。それらはきちんと注意深く仕上げられ、実用的で魅力的なグレードのイミテーションレザーで覆われています。
これらのカメラで作成された写真のプロポーションは、ポートレートに特に適しています。KodakPortraitAttachmentを装着すると、どちらのカメラも被写体の近くで操作して、高品質のホームポートレートを作成できます。
これらのカメラによって作られたネガは、拡大しても良好な品質をもたらすものです。
ブロウニー拡大カメラを使用すると、誰でもお気に入りのネガを簡単に拡大できます。
仕様
NO.2:撮影サイズ2.25 x 3.25インチ。
撮影枚数:リロードなしで6枚。
カメラのサイズ:2.25 x 3.125 x 6.5インチ
重量:19オンス。(約540g)
レンズ:メニスカスアクロマティック、焦点距離3.5インチ(約89ミリ)。
必要に応じて、Rapid Rectilinear Lens付もあります。
シャッター:コダックボールベアリング。
反射式ファインダー、2つの三脚ソケット、自動フォーカスロック、ブラックレザーベローズ。
No. 2A:撮影サイズ2.5 x 4.25インチ。
撮影枚数:リロードなしで12枚。
カメラのサイズ:1.4375 x 3.375 x 7. 875インチ
重量:25オンス。(約710g)
レンズ:メニスカスアクロマティック、焦点距離4.25インチ(約108ミリ)。
必要に応じて、Rapid Rectilinear Lens付属も選べます。
シャッター:コダックボールベアリング
反射式ファインダー、2つの三脚ソケット、自動フォーカスロック、ブラックレザー製蛇腹
価格 | No.2 | No.2A |
短玉レンズとKODAKボールベアリングシャッターを搭載した フォールディングカートリッジプレモ | $5.00 | $7.00 |
同上、R.R.レンズ付き。(Rapid RectilinearLens) | 6.5 | 9.0 |
カートリッジプレモキャリングケース | 1.00 | 1.10 |
N. C.フィルムカートリッジ、12露光(No.116) | .50 | |
同上、6回の露出(No.2の場合はNo.120、No.2Aの場合はNo.116) | .20 | .25 |
Kodak Portrait Attachment | .50 | .50 |
レンズについて補足しよう。
メニスカスアクロマチック レンズは1群2枚構成で
ラピッドレクチリニア レンズは2群4枚構成なのじゃ。
ラピッド=高速 レクチリニア=直線
ラピッドレクチリニアとは、レンズ構成が対称型なので直線が歪みなく直線に写る。そして高速、つまり明るいレンズということなのじゃ。
実はこのラピッドレクチリニアはダルメイヤーが1966年に発明した伝説のレンズで、世界初の直線レンズ、つまり歪曲収差が抑えられたレンズなのじゃよ。
拙者が求めたのはもちろんRR付き。どうしてもRR付きのものが欲しかったので、まあまあ探しました。もちろん値段が安いってのが第一条件ですがねw
入手時の状態
さて状態を見ていきます。
まずは、レンズの展開ができるのか?蓋は開きますが、レンズボードは引っかかって出てきません。
しかし、色々いじっていたら、蓋を途中まで開けた状態であればレンズが引き出せることが判りました。
フィルム室は開くのか?
固着して開きません。が、
少しずつ分離を試みて何とか開けることに成功しました。
中には何と木製のスプールが入っていました。初めて見ました。
スムーズとは言えませんが、なんとかフィルム装填はできそうですよ。
シャッターは?全速OKです。と言っても、T,B,25,50しか無いんですけど。
絞りも正常です。ただ絞りは現在の口径比であるF値ではなくU. S.式絞り表示となっております。
これについては後ほど改めて説明しますね。
蛇腹は?
見た目は非常に綺麗です。がやはりピンホールだらけですね。皮革用の補修ペイントでチマチマと補修しますかねぇ
総じて、製造から100年以上経過していることを考えると非常に状態が良いと言えるでしょう。
U.S絞りについて
U.S絞りとは、正式にはユニフォーム・システム(UniformSystem)と呼ばれるもので、1881(明治14)年、英国王立写真協会(RPS=Royal PhotographicSociety)により制定されたF4=1とする絞り表示である。米コダック製カメラに装着されているR.R.(Rapid Rectilinear)レンズに表示されたことが多いため、コダック式とも言われている。
全日本クラシックカメラクラブ論文「レンズの絞りと絞り表示」より
という事らしいです。
U.S方式は何なのかというとF4をU.S1として露出段数1段ごとに数字を2倍にしていくという方式です。つまり下表のようになります。
F値 | 4 | 5.6 | 8 | 11 | 16 | 22 | 32 |
U.S値 | 1 | 2 | 4 | 8 | 16 | 32 | 64 |
このカメラのUS絞り値の範囲は4から64ですからF値に直すとF4からF32という事になりますね。
F値より簡単かもしれませんね。しかしF4以下が想定されていないってのが時代を感じます。
明治41年(1908年)の文献には「U.S式は便利なれど現今此方式は廃止せられたり。」とあります。しかしこのカメラの発売が1916年ですから此の方式は廃止されていないことになりますね。謎だなぁw
あとがき
最後まで読んでいただき感謝です。
一台はロールフィルム初期のカメラが欲しかったんですよね。
整備は次回のお楽しみw。ご期待w
コメント