ボンソワールw。ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日はおしゃれなハーフカメラCanon Demiをレビューしてみたいと思います。
拙者が思うDemi最大の特徴は意図的に露出のコントロールができることなんです。
では細かくみていきましょう!
Canon Demi:キヤノン デミ
Demiはキヤノン初のハーフカメラです。発売は1963年ですからオリンパスPENから遅れること4年でやっと発売されたんですね。この時点でオリンパスからは、初代PEN、PEN S、PEN EE、PEN EES、 PEN-Dとすでに5種類のハーフカメラが発売されていたんですね。
デミのと取扱説明書を開くと最初のページ35mmデミサイズカメラという言葉が出てきます。Demiとはフランス語で半分という意味なんですね。ですからデミサイズってことはハーフサイズって事なんですね。まわりくどいな〜www
エスプレッソ用の小さなカップをデミタスと言いますが、これもフランス語なんですね。どうでもいいかwww
デミとはどんなカメラなのか
業界では後発となってしまったDemiがどんなカメラだったのかと言いますと、それはPENとはちょっと違った開発コンセプトなカメラだったんじゃないかな?ってこと。おそらく対抗馬として見据えていたのはPEN EESかなと思います。
ざっくりとスペック的なところをPEN EESと比べてみましょう
Canon Demi | OLYMPUS PEN-EES | |
発売年 | 1963年2月 | 1962年4月 |
レンズ | SH 28mm F2.8 | D.Zuiko 30mm F2.8 |
レンズ構成 | 3群5枚 | 3群4枚 |
フォーカス機構 | 全群回転繰り出し | 前玉回転繰り出し |
ピント調節 | 3点ゾーンフォーカス | 3点ゾーンフォーカス |
ファインダー | ケプラー式実像 | 逆ガリレオ式 |
露出制御 | セレン追針式プログラム | セレンプログラムEE |
測光範囲(ASA100) | LV6〜17 | LV8〜17 |
巻き上げ | レバー式 | ダイヤル式 |
カウンター | 順算自動復元 | 逆算手動復元 |
サイズ | 115×68×37mm、380g | 108×66×47mm,400g |
価格(ボディ) | 10,800 | 11,000 |
価格(その他) | ケース 1,000 ストラップ 300 | ケース 800 |
と、こんな感じで殆どの部分でDemiはPEN-EESを上回るスペックを持つにも関わらずほぼ同価格な訳です。これはすごい(ぶつけ方)ですね。やる気満々っすね。
簡単に説明するならば、おしゃれな外観で高級志向、そして戦略的価格なハーフカメラって感じですかね?
デザインと優れた携帯性
まずおしゃれなデザイン。 デミから派生したモナカ構造のおしゃれデザインはしばらくの間キヤノンのハーフカメラの代名詞的なデザインになっていきます。そして上面に刻んであるDemiの文字がオシャレ感を演出しちゃってるんですよね。
もう一つデミをのデザインで感心した点はボディに段差がや突起物が少ない事なんですね。いわゆるフラッシュサーフェースボディーなのですよ。
特にボディ内に沈胴する巻き戻しノブはよく考えられています。PENシリーズの半分ボディに沈み込んだ巻き戻しノブの設計にも感心しましたが、Demiはその上をいってると思います。ボディサイズがPENよりが若干大きくなったとは言え、ポケットに突っ込んだ時の引っ掛かりはDemiの方が少ないです。惜しむべくはストラップをつけるアイレットを省略してしまったところ。三脚穴につけるストラップが別売300円で購入できたとは言え、このストラップの出っ張りではせっかくのフラッシュサーフェースボディが台無しなんですよね。非常に残念です。
余談ですが、デミをはじめとするキヤノンのモナカ外装はアルミ製なのですがDemiの初期型だけ真鍮外装となっておりまして少し重いです。見分け方は簡単で初期型だけセレン周りが周りがピカピカのメッキになっているんです。真鍮ですからその他の部分もクロームメッキなのですが梨地メッキでセレン周りだけがピカピカに光っています。途中からはアルミ外装となりアルマイト仕上げとなります。
クラス初のレバー巻き上げ
そして目を引くのはレバー巻き上げって事ですね。しかもこのレバーの操作感が秀逸で巻き上げの感触も良く、ショートストローク(145°)で小気味良い巻き上げが可能なのです。
ワンランク上の3群5枚で構成されたレンズ
レンズも凝っていてレンズSH28mmF2.8はなんと3群5枚構成と贅沢なものです。構成図は見つけることができませんでしたが、取説にはトリプレット発展型の3群5枚と書いてあります。おそらく28mmという焦点距離を維持しながら全群繰り出しで薄いレンズを作るのには相当な苦労があったのでは?と思います。それは絞りとシャッターの配置にも表れていて、絞りもシャッターもレンズの後ろ(いわゆるビハインド式)にあります。
レンズ名のSHというのはスペクトラハードコーティングの頭文字をとったものだと思います。当時は各社がコーティング技術を競い合っているような時代だったのでコーティング名をレンズ名に冠する事も良くありました。キヤノンの一眼レフではS.CとかS.S.Cとか書いてあったものであれはスペクトラコーティングやスーパースペクトラコーティングの頭文字だったのです。スペクトラハードコートというのは一眼レフでは使われていませんでしたがスペクトラ、つまりモノコートとキズに強いハードコートを組み合わせたものだったのでは無いでしょうか?実は今現在でもキヤノンの多層膜(マルチ)コーティングの名称はスーパースペクトラコーティングと呼んでいるのですが現在ではコーティングの名前を前面に押し出して宣伝することは無くなりましたね。
非常に凝った実像式ファインダー
そしてファインダーも凝っていてライカのイマレクトファインダーと同じように4枚のレンズと3つのプリズムを貼り合わせた実像式ファインダーが奢られているのです。ファインダー窓はちっちゃな円形なのでしょぼい見えだと思うかもしれませんが機会があればぜひ覗いてみてください。そのクリアな視界にびっくりすると思いますよ。(クモっていなければですがw)
ライツのイマレクトファインダーとデミのファインダーの見え具合を比較してみました。左の角が丸いのがライツで右の縦構図のがDemiです。ブライトフレームは有りませんが実像式のためファインダーの輪郭がクッキリしており不便は感じません。ちなみにこのケプラー式実像ファインダーを装備しているデミはDemi、Demi S、Demi Cの3種類のみとなっています。おそらくコストの面から変更されたと思います。
露出補正が可能! 追針式プログラム露出制御機構
Demiは露出機構も凝っていて、追針式プログラム露出を採用しているんですね。プログラムと付いているから自動と思うのは大間違いで、あらかじめ決められた露出の組み合わせ、つまりプログラムを追針式で露出を決定するんです。カメラを向けた被写体の明るさに対して上部にある針(指針)が動くので、露出調整リングを回すと同時に動く追針を操作して指針に合わせるだけで最適な露出(の組み合わせ)が選択され適正露出が得られる方式なんですね。なんだ手動かよと思った貴方、早合点してはいけません。PEN EEなどのプログラムEEは自動ではありますが露出補正はできません。ところがDemiの追針式プログラム露出は露出補正ができるんです。取説には書いてあるんですが密かに露出倍数マークってのが付いていてこれを使えば簡単に露出補正ができるんですね。このマークはプラス側のみの表示で2xと4xつまり+1と+2補正はこれを使えばOKな訳です。
マイナス側も同じ程度リングを動かす事で補正出来ますね。拙者はマイナス補正用に赤い油性ペンで印をつけてみましたw
これをつかば逆光補正やハイキー、ローキーなど意図的に露出を変えることができます。
キヤノン初のハーフカメラDemiは高い完成度だった
以上のようにデミは非常に完成度の高いカメラなのでした。おそらく想定されていたユーザー層は玄人志向のPENと素人でも撮れるPEN EEの隙間ユーザーを狙ったのではないかと思います。それでいて玄人も唸らせるカメラとなっているところが素晴らしいと感じました。PEN EEで物足りなくなった人でPEN EESでもちょっと物足らんと思う方にはかなりお勧めできるカメラだと思います。Demiシリーズは何種類かありますが拙者がお勧めするのはデミかカラーデミです。
その他の派生タイプは拙者的に言わせると大口径レンズを積んだりレンズ交換式にしたり、はたまたレンズ周りにセレンを積んだEE機となったりと迷走した機種と言えるものばかりで、初代Demiが持っていた携帯性をスポイルし魅力が低下してしまったと思います。もちろん各機種ともユニークで魅力的な機種ではありますから初代Demiを入手して気に入ったならば、2台目のデミとしてお勧めできますよ。
まとめ:Canon Demiは今でも魅力的な選択肢か?
総じて言えるのは、デミは非常にキヤノンらしい素晴らしいカメラということです。キヤノンというメーカーはいつも開発にじっくり時間を掛けて、すげ〜商品を戦力的な価格でぶっ込んでくるんですね。だからいつも非常に魅力的な商品になるのです。そして売り方もとってもうまいんですよ。Demiの新聞広告を見ると拙者のような物欲番長をこちょこちょとくすぐるのが極めてうまいのですw
しかし売り方だけではなく製品も非常に魅力的に仕上げてくるんですね。
Pentax17発売で注目を集めているハーフカメラですがDemiも魅力は17と比べても遜色ないと思います。状態の良いものを見つけるのは至難の業かもですが、もし出会ったら手に取ってみてくださいね。
最後まで読んでいただき感謝です。
初代Demiは、おそらくコスト度外視で開発されたカメラだと思います。
PENではないハーフカメラを探している方や、押すだけ自動露出では満足できない方は、ぜひDemiを検討してみてくださいね。
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