
昨年購入した、銘匠光学 TTArtisan 50mm F2を再レビューします。
現在も継続販売中で対応マウントもかなり充実しています。フルサイズセンサー対応で金属製質感も良くコンパクト。初めての方でも挑戦しやすい価格でオールドレンズはちょっとなーという方にもお勧めできる一品です。
しかし問題点があるので、改修します。細かな作例もありますよ〜w
TTArtisan 50mm F2 の問題点とは?
焦点距離は50mmで開放F値はF2です。設計は変形ガウスタイプですね。第2世代ズミクロンと同じ感じでしょうか?よく見ると貼り合わせレンズの位置が違いそうですね。どうでも良いかw
で、このレンズ安価でピントリングのフィーリングも最高でオールドレンズっぽい写りもとても好ましくとても気に入ったのですが、一点だけどうしても許せない問題点がありました。
それは前回も少しだけ触れたオーバーインフなんですね。この件に関しては他の方のレビューでも指摘されていますね。
無限遠とオーバーインフ
インフって言うのはinfinity(インフィニティ)つまり無限って意味ですね。そうです、レンズの無限遠を表す言葉です。そしてオーバーインフってのは無限遠をオーバーしてる、要するにレンズのピントが無限遠を通り過ぎてしまうって事です。
通常のピンボケは被写体に合わせたはずのピントが外れてしまい、被写体以外にピントが合った状態です。つまりピンボケの場合は画面内のどこかにピントが合っているのですが、オーバーインフの場合は画面上のどこにもピントが合っていない状態です。オーバーインフの説明動画を作ってみたので暇な人は見てね。
拙者は昔GR-Dの無限遠がおかしいことに気づいて、リコーの人とやりとりした時にこの言葉を知りました。その時の話は下記リンクでみて欲しいわけですが、
その時の話では現代のAFレンズでは少しオーバーインフに設定してあることも多いようです。
しかし昔のMFレンズってのはピントリングをいっぱいまで回すとピッタリと無限遠にピントが合うように作られていました。そのおかげで無限遠ではピントを合わせる必要がないのです。
こうなったら、オーバーインフの調整に逝ってしまえ!
オーバーインフにならない当たりレンズを買った人は読み飛ばしてください
当たりレンズがあるのかはわかりませんw
さて、調整方法ははオールドレンズのそれと全く同じなのですが、安いと言っても流石に新品レンズをつつくのは気が引けます。だけど、このレンズとっても気に入ってしまったのですよ。使いやすくて写りがいい。ですから唯一つの問題点がどうしても気になりまくってしまい夜も眠れないほどでしたw
他にも中華レンズは持っていますが7Artisansのレンズなんか距離計との連動調整はご自分で行なってくださいと言う設計です。これを正確に調整して出荷すると一つ一つ人の手でやる必要がありコストが嵩むわけです。これをユーザーに任せる事で安く出荷することが出来ると言う割り切った考え方なわけですね。素晴らしい。
ですから、このレンズもそう言う考えで無限遠はユーザーが自分で調整してねって事だと勝手に判断します。(ちょっと無理やりですね〜)
なので、ここはジャンクレンズを分解しまくってきた拙者が人柱を引き受けようと思います。
とても気に入ったので手放すこともないし(下取りは二束三文でしょうし)逝っちまうかwって事で無限遠の調整に踏み切らせていただきますよw
そうそう、オーバーインフはピントリングが無限遠側にずれているという事ですから、これを調整することにより最短撮影距離も若干短くなりますよ。少しだけ近づけるようになるって事です。
一粒で2度おいしいって訳ですw
当方はこの行為を推奨しているわけでは御座いません。
ネジは固く締まっており失敗する可能性もゼロではありませんし、最悪レンズを壊してしまう可能性もあります。保証が効かなくなる可能性さえあります。
挑戦してみようという方は、自己責任でお願いいたします。
当方は責任をお取りできませんので、悪しからずm(_ _)m
調整の具体策
ピントリングのネジを緩めてミラーレスカメラのピント位置拡大機能を使い無限を合わせる作戦です。このレンズを持っている人はミラーレス機を持っているはずですよね?
拙者ミラーレス機はオリンパス、パナソニック、ソニーと持っていますがどれもピント位置拡大機能は付いてますから他社のミラーレスにも同じ機能があると思います。
無限遠の基準写真を撮っておく
まずは一旦カメラにレンズを付けて絞り開放にセットした上で、遠距離の目標物(100M程度離れていれば良いでしょう)にピントを合わせて、写真を撮ります。
ピントは拡大して正確に合わせて撮ってください。
無限遠にピッタリピントが合った写真を撮っておくわけです。
工具を準備します
必要なのはマイナスドライバーのみです。サイズは1.5mmがベスト。(入手は難しいかもです)

1.8mmは太すぎて入りませんし1.2mmは細すぎて心もとないです。
ネジは結構硬くしまっていますので安いドライバーを使うのは自殺行為です。
100円のドライバーで1万円以上の高級レンズを破壊するのはやめましょうw
オーバーインフの調整!
まずはピントリングを∞に合わせた状態でピントリングのネジ3本を少しずつ緩めます。

緩めるだけで外す必要はありませんし、外してしまうとめんどくさいんで外さない方が良いです。
各ネジを少し緩めてはピントリングを確認します。ある程度緩めるとピントリングがスカスカになり、空まわりするはずです。これでピントリングとヘリコイドの連結が外れた状態になったって事です。
次にネジを一本だけ、抵抗を感じるところまで締めます。
ピントリングでピントが調整できればOKです。
そのままレンズをカメラに付けて、ピント拡大機能を使い100M以上先の被写体にピント正確にを合わせます。5と∞の間ぐらいになるはずです。
ピントが合いましたら、そのままピントリングを回さないように一本だけ締めたネジを緩めます。
そうしたらピントリングを無限遠の方向にそっと止まるまで回してそのままネジを一本だけ抵抗を感じるところまで締めます。
その状態でカメラに付けてピントリングをそっと数回動かして、∞で止まるところまで回した時にピントがピタッと100M以上先の被写体に合うかどうかを試します。ピタッと合えば成功です。
そのまま最終確認用の試し撮りをします。ピントリングを止まるところまで回し絞り開放で最初に撮ったのと同じ目標を撮りましょう。
確認
最初に撮った基準用の写真と調整後に撮った写真をPCに取り込んで拡大して並べて比べてみましょう。
同じならば問題ないでしょう。完成です。
調整後の方がボケているようであれば無限遠が合っていませんから再調整しましょう。
これで超快適にTTArtisan 50mm F2を使うことができるようになります。
作例
では作例を見ていただきましょうかね。今回は特徴を引き出す撮影を心がけたつもりです。

開放での作例です。周辺光量落ちがありますね。そして若干マゼンタ被りが出ますね。



各部を等倍で切り抜きました。遠景と中心部はなかなかにシャープですね。
それに比べて周辺は収差で少しボンヤリしていますし、色収差もありますね。現代のレンズとは思えません。素晴らしいですw
現代のレンズはどのメーカーのものでも収差は排除されてキリッと写るレンズばかりですからね。
まるでオールドレンズで撮った写真のようです。

これは少し絞った(忘れたw)と思いますが、ちょっと暴れるようなボケになっています。


中心の合焦部分はシャープですが周囲はコマ収差が出ていますね。もー最高w。
収差が出て喜ぶ変態ですわwww

驚いたのが玉ボケです。口径食がほとんど無いようでレモンボケになりません。
これはマジでイイ!


この綺麗な玉ボケだけでも買う価値があると思いませんか?
え?思わない(汗)
口径食が少しあるですと?まあ、ほんの少しぐらいなら値段的に我慢できると思いますけどw

イイと思うんだけどなー。こんなに綺麗なボケが出るレンズは、なかなかないよ。

開放F2ですからこんな構図でも立体感が出せますよ。

そして歪曲収差は良く補正されていてほとんど感じられません。優秀だなこりゃw
終わりに

これは本当に楽しめるレンズですよ。オーバーインフさえ直せばハンドリングは最高ですし、買わない理由が見つからないほどですね。
いちお言っときますけど、回し者では御座いませんヨ。

開放では収差が残されておりオールドレンズを彷彿とさせる写り、絞ればキリッと写り、ピントリングはヌルッとして質感も十分。コスパ最強。
マニュアルフォーカスレンズを試してみたい方や、オールドレンズレンズを使ってみたいけど踏み切れない方の入門用などにもオススメです。
これを見て最強に欲しまった人は下にのリンクから探してみてくださいね。
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