おはこんばんちわw。ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日は読者様から質問をいただきましたのでKonan-16のカートリッジの仕組みやフィルムを装填する方法を解説していきたいと思います。
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Konan-16 Automat とは?
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簡単にこのカメラの説明をしておきますと、1950年に発売された16ミリスチルカメラです。使用フィルムは16ミリ小型映画用フィルムをスチルカメラに転用したものとなっておりまして、専用のカートリッジに装填して使用する必要があります。
余談ですが、35mmフィルムも元々は映画用フィルムをスチルカメラに転用したものです。
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コーナン16のフレームサイズは10×14mmと非常に小さく、35ミリカメラの1/4以下のサイズです。(上の写真参照)搭載レンズはROKKOR 25mm/F3.5で、当時の千代田光学製(後のミノルタ)のレンズです。レンズ構成はトリプレット(3群3枚)のノンコートでピントは固定となっています。
機械式シャッター搭載で速度は:B.T・1/25秒~1/200秒、最小絞りはF11です。
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コーナン16は撮影途中でカートリッジを交換することが可能な構造になっていますから、例えばカラーとモノクロを装填したカートリッジを交互に交換しながら使うことも可能です。
フィルムカートリッジの構造
カートリッジは3つに分解する事ができます。
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真ん中の黒い部分にか自動開閉式の遮光蓋が内蔵されておりまして、撮影途中にカメラから抜き取ってもフィルムが感光しない構造になっています。
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上の動画は、ツメを指で操作して遮光蓋を開け閉めしているところです。このように、このツメに不用意に触ってしまうと遮光蓋が開きフィルムが感光してしまう可能性がありますから注意する必要があります。
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また、カートリッジにはフィルム圧板も内蔵していますからフィルムを通す場所には注意が必要です。
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フィルムを通す場所がわかりやすいように紙を挟んでみました。誤って圧板の裏にフィルムを入れようとしても、奥までは入らないような構造になっています。
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巻き取りスプールはプラスチック製(ベークライト?)で、金属のフィルム押さえバネが付いています。差し込み位置は少し面どりされており、フィルムを差し込みやすい構造になっています。
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カートリッジの中でフィルムは矢印のように進んでゆく事になります。手前に未使用フィルムが巻かれており撮影済みのフィルムがスプールに巻き取られていきます。
フィルムカートリッジにフィルムを装填する方法
前置きが長くなりましたが、実際にカートリッジにフィルムを装填する方法を解説します。
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フィルムを装填する場所は完全暗室かダークバッグ内ですから全て手探りで行わなくてはなりません。一旦手順を頭に入れたら、全ての工程を目を瞑ってできるまで練習します。そうしないと確実にフィルムを無駄にしてしまう事になるでしょう。では実際の手順についてお話ししていきましょう。
1.カートリッジの点検と清掃および準備
まず大事なのはカートリッジの点検と清掃です。特に送り側(小さい方の空間)にキズがあったり固いチリなどが入っているとフィルムを傷つける原因になりますから、良く点検しておきます。また遮光蓋がきちんと閉まっているかも見ておきます。
必要なものを準備します。拙者はダークバッグで作業しますからダークバッグの中に必要なものを入れておきます。
拙者がダークバッグ内に入れる物
- フィルム
- カートリッジ(分解しておく)
- ハサミ(フィルムのカット用)
- 45cmの定規
最近はスマートウォッチを使っている方も多いと思いますが、必ず外しておいてください。暗室やダークバッグ内で画面や心拍計のLEDが光るのでフィルムが感光します。
2.フィルムを45cmにカットする
ここからは完全暗室内での作業が必要になります。もちろんダークバッグでも良いですよ。
コーナン16の取説ではフィルム長は50cmとなっていますが、45cmの方が何かと都合が良いですから45cmでカットするのをオススメします。一応理由を述べておきますと、
- スリーブに収まりが良い
- カートリッジのクリアランスに余裕がある(後述)
- カットしやすい
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標準的なネガスリーブはライカ判6枚分を基準に作られています。ですからネガスリーブの幅は約22.5cmでありまして、45cmのネガの不要部分をカットして半分に切るとちょうどいい具合に2段に収まります。フィルムアルバムでも同じ事が言えるでしょう。45cmでの撮影枚数は26枚でしたから充分でしょう。
拙者が実際にフィルムをカットする方法ですが、ダークバック内に45cmの定規を入れておき、その長さを目安にカットします。もちろん45cmの定規が収まる大きめのダークバックじゃないとこの方法は使えません。それとフィルムを扱う時の注意点ですが、乳剤面には触らないようにしないと現像した時に指紋が現れる事があります。できれば手袋をして作業するのが良いですが、手探りで作業する関係上手袋を使うと難易度が増します。
3.巻き取りスプールにフィルムを取り付ける
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取説では金具を取り外してからフィルムを挟み込むようになっていますが、拙者は金具がついたままのスプールにフィルムの先を差し込みます。突き当たるまで差し込めばフィルムが抜ける心配は無いでしょう。どうしても心配な場合はテープで留めましょう。
4.フィルムを小さく巻く
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送り側の空間に、巻いたフィルムをスッポリと収めなくてはいけませんから、空間の径より小さくなるようにかつ乳剤面には触れないようにフィルムを巻きます。上の写真は撮影の都合上巻いたフィルムをテープで留めています。
5.フィルムをカートリッジに収める
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フィルム圧板と遮光ボックス(勝手に名前をつけましたがプラの黒い部分です)の間にフィルムを通しつつ、上の写真のように綺麗に収めます。間違えると奥まで入りませんからやり直します。ここがいちばんの難関かも知れません。
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あとはカートリッジの蓋を閉めれば暗室内での作業は終了です。
装填後のカートリッジの取り扱いについて、注意点が二つあります。
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一つは遮光版を開閉させるツメに触らないこと。ここを触って遮光版が開いてしまうとフィルムが一コマ分感光してしまいます。もう一つはマガジンの蓋が開きやすいこと。拙者は安全のためにセロテープで留めています。
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テープで留める場合には黄色で示す面にはテープを貼らないようにします。ここにテープを貼ってしまうとピントが狂う原因になります。
参考
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フィルム巻き取りスプールとカートリッジ外壁のクリアランスが非常に少なく感じますが、45cmのフィルムを全て巻き取ってもこれぐらい(0.5mmぐらい?)は余裕がありますからご安心を。ただし取説通り50cm分巻き込むと、おそらく隙間が無くなると思います。そうなればフィルムにキズがついたり巻き取りができなくなったり、最悪はカメラを壊す原因にもなりかねません。
このカメラの標準撮影枚数は25枚となっており、45cmでも25枚以上撮影できますから45cm巻きがオススメというわけです。
![ぐりやん](https://paraiso.mundanoz.com/wp/wp-content/uploads/me.png)
ここまででフィルムの装填に関するお話は終わりなのですが、このカメラの使い方も簡単にお話ししておきますね。
カートリッジはドロップインで簡単装填
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あとはカメラにカートリッジを詰めれば撮影準備は完了です。
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装填はスポンとドロップインでOKなので簡単ですね。
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外殻に差し込む前にカウンターを直接動かして0に合わせます。
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ボディ外殻に差し込んだら、撮影するまで引き出してはいけませんよ。我慢ですwww
引き出してしまうと、撮影せずに戻してもフィルムは一コマ進みます。
フィルムに無駄が出ますので注意が必要です。
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撮影する前にボディを引き出すと、フィルムが1コマ分送られてカウンターが進みます。カウンターは5コマ刻みしかありませんから分かりにくいですね。
するととシャッター速度ダイアルと絞りダイアル、そしてレリーズボタンが現れる様になっています。
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あとは、任意の露出値を設定してレリーズボタンを押して撮影します。ボディを閉じて再度開くと、フィルムが送られて、シャッターがチャージされる仕組みになっています。
持ち運ぶ場合は閉じたままでOKです。
撮影終わり(フィルムが無くなったこと)は分かりませんから、25枚以上はオマケと考えて撮影するか、25枚で撮影を中止するかって事になります。
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カメラ:Konan-16 Automat
レンズ:ROKKOR 25mm/F3.5
フィルム:ORWO UN54 (ASA100)
現像:D-76処方(自家調合)定着:ラピッドフィクサー
スキャン:SONY α7Ⅱ digitaize
あとがき
![ぐりやん](https://paraiso.mundanoz.com/wp/wp-content/uploads/me.png)
最後まで読んでいただき感謝です。
かわうそ商店さんでは16mmフィルムの10m巻きという便利な商品を販売しています。拙者は後先考えずに30.5m巻きを入手してしまいましたのでいつ使い終わるのか分かりません。45cmにカットすると60本以上取れちゃいますからねぇ〜。
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