もちろん生きたカモメではなく亀でもなくカメラですよ。もちろんシャッター不動のジャンク品です。
漢字で海鷗(うみかもめ)と書いてハイオウと読むようですね。英語ではSEAGULL(シーガル)と読ませるようで輸出仕様は銘板もSEAGULLになっているようです。
このカメラは海鷗4A-103で高級仕様、他に廉価版の4Bがあります。
レンズはSA-85 トリプレット(3枚玉)です。
海鴎(HAIOU:ハイオウ) SEAGULL 4A-103 ジャンク
拙者、中国製カメラは初の入手となります。
上海海鴎照相機の2眼レフ海鴎4A-103です。
漢字がいい感じwですね。めちゃカッコいいです。
購入時の問題点はシャッターが反応しないと表記されていました。
おかげで相場より随分お安くGETできました。
安いからって無駄遣いしすぎじゃないの?
無駄遣いじゃなっくて、いつの間にやら目の前にあったんよ。
状態確認
- 低速シャッターが粘っていて作動不良です。(説明通り)
- ピントダイアルのゴムが欠損しています。
- 絞りレバーがゲキ重です。
- 貼り革があちこち剥がれかけていますが欠損はありません。
- レンズはキレイなようです。
- ファインダーやスクリーン等に大きな問題はありません。
- セミオートマットやカウンターの作動は良好です。
油が回ってるだけならシャッターのオーバーホールだけで楽勝じゃのう。
え?シャッターのオーバーホールって難易度高いんでは?(汗)
ファインダーのフードを外してレフレックスミラーも確認してみました。キレイです。
シャッターの整備だけで使えそうですね。
レンズシャッターを目指し分解せよ
前板を取り外せばレンズシャッターの整備は可能と思われますが、後玉も掃除したいのでレンズボードを外してレンズシャッターを取り外すことにします。
前板の貼り革を剥がしてプラスネジ4本とレリーズボタン周りのリングを外せば前板が外せます。
レンズシャッターの軽整備ならここまでの分解で可能ですが、今回はレンズシャッターユニットを取り外しますのでさらに分解していきます。
レンズボードの取り外しとレンズシャッターの取り外し
レンズボードは上の写真に見える大きめのマイナスネジ(メッキのやつ)で固定されていますが、レンズボードの向かって左上にパララックス補正用のリンクがありネジで連結されていますから、ネジの位置をマーキングして取り外しておきます。
黒と赤の線はホットシューとシンクロコネクターにつながっています。ねじ止めされているので外しておきます。
レンズボードを外すと2つのレンズごとシャッターユニットがゴッソリと外れてきます。
レンズボードからシャッターを分離
ここまでくればシャッターユニットは簡単に取り外せます。
このフード状のリングを手で回せばレンズシャッターユニットが外れます。
前後のレンズは回せば外れます。
分解したシャッターを見てみる
シャッターはプロンターのコピーですね。
シャッター羽根はオーバーホールせずにクリーニングに留めることに
これぐらいの油ならオーバーホールするヒドくはないなぁ。
今回はクリーニングだけで良いかな。
ここまでバラしといて、あとで後悔しても知らないよ〜。
てな訳で、今回は全バラは見送り、この状態でのクリーニングに留めました。
シャッターの羽根の間に慎重にベンジンを染み込ませたクリーニングペーパーを差し込んでクリーニングします。
油のまわりによる固着が軽症の場合にはこれでも行けることが多いです。
シャッターは開くようになりましたが、スローガバナも動きが悪いです。
スローガバナを取り外して洗浄しました。
プロンターシャッターと比べてみる
並べてみました。
写真を回転させて同じ配置になるようにしてみましたが、少し見辛いですね。
左上がスローガバナ、右上がセルフタイマ、下の方にごちゃっとあるのがシャッタ羽根を駆動する部品チャージレバーとレリーズレバーです。
セルフとガバナの配置はそっくりです。
駆動部分は簡略化されていますが、原理は全く同じです。
動きが渋い絞りレバーを見てみる
前板の裏についている絞りとシャッタースピード操作用のリングです。
グリスが劣化して動きが悪くなっていました。クリーニングして新しいグリスに交換しておきました。
ついでにシャッターボタンも若干動きが渋かったので、クリーニングしてグリスアップしました。
最終チェックとスペック
シャッターは全速快調になりました。
絞りレバーは軽く動くようになりました。
貼り革もキレイに貼り直しました。
ピントダイアルのゴムも3Dプリンターで作った代替え品を取り付けて完全復活です。
ちなみに素材はTPUを使いました。
海鴎4A-103について研究してみた
4A-103は製造期間が長かったようで、細かいマイナーチェンジが何回もあったようです。
この個体は古めの製造だと思われますが
テイクレンズ「HAIOU SA-85 1:3.5/75」ビューレンズ「S/N 1:2.8/75」
と表記されています。その他
テイクレンズ「HAIOU SA-85 1:3.5/75」ビューレンズ「HAIOU SA-85 1:2.8/75」
と表記されているものもあるみたいです。
拙者の個体は前者でボディのS/Nは4万4千番代ですね。
検索してみたところ2万6千番代から9万1千番代までが確認できましたが、
2万6千番代や3万番代でSA-85表記のものがありました。
無名のシリアルナンバー入りは3万番代、3万6千番代、4万4千番代を確認しています。
古いものは修理交換されたと仮定すれば4万4千万代から5万5千番代の間に変更された可能性がありますね。
シリアルナンバー | ビューレンズ名表記 |
267xx | SA-85 |
308xx | N/A |
309xx | SA-85 |
365xx | N/A |
441xx | N/A |
555xx | SA-85 |
744xx | SA-85 |
885xx | SA-85 |
915xx | SA-85 |
全くどうでも良い方向へ話が逸れてまいりましたが、やはりまじまじと見ると海鴎の文字が非常にカッコいいですね。
テイクレンズの下に中国上海と刻んであるところもクールです。
終わりに
海鴎の文字がカッコよくて前々から欲しいカメラの一つでしたが、ようやく程度の良さそうなジャンクが手元にやってきました。
このカメラは人気があるらしく、また3枚玉スキーからも注目されている様です。
よくよくみると、2眼レフのあらゆる機能が網羅されたカメラですよね。
機能的には高級機と言って良いかと。
確かに、このテンコ盛りのボディに3枚玉は珍しい気がします。
2眼レフ全盛期にあっても、3枚玉は廉価機に搭載されるのがほとんどでしたからね。
例えばローライフレックス(高級機 テッサー:4枚玉)とローライコード(廉価機トリオター:3枚玉)みたいな感じです。
当時の中国では高級機だったと思われます。
最後まで読んでいただき感謝です。
機能テンコ盛りボディに3枚玉を搭載した中国製2眼レフ、皆さんもおひとつ如何ですかw?
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