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【カビジャンクレンズの再生】SIGMA 70-210 F4ー5.6 UC ZOOM ZEN

この記事は約17分で読めます。

ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物はシグマのオールドAFズームレンズ 70-210mm F4-5.6 UC ZOOM ZENでございます。

SIGMA 70-210 F4ー5.6 UC ZEN

シグマのカタログを見つけたのでこのレンズの謳い文句などをピックアップしてみます。

UCズームとは?

UCとはウルトラコンパクトのこと。超小型レンズボディに高性能を凝縮、必要十分な機能を小さなレンズ集約、描写性、信頼性を追及しながらクラス世界最小のコンパクト化を実現!って事らしいです。

確かに超コンパクト(上)下はTAMRONの同クラスレンズ(設計年はかなり古いので注意)

確かに望遠レンズとしては驚異的な小ささだと感じる

標準レンズとみまごうレベルのコンパクトさなのである
70-210mF4-5.6 UC ZEN

クラス世界最小のコンパクト化を実現した機動力、描写力に優れた望遠ズーム。全長79mm、重さ420g(AF)、フィルターサイズ52mm。ズーミングには直進式を採用、反射を防ぎ、厳しい撮影条件にも対応する新開発のZEN仕上げを採用。

ZEN仕上げとは?

アウトドアでの過酷な撮影環境でハードな使用にも耐えうる、無反射・ノンスリップ、堅牢・耐久性に優れた表面仕上げ。確かなホールディングとしなやかなフィーリングが魅力。ZENはZeitgeist Enhancement and Nonglareの頭文字だそうです。
まあ謳い文句を聞くと良さそうに思えますが、これは一時期流行ったゴム引き塗装っぽいやつですね。そうあの数年経ったら加水分解してベタベタになる表面仕上げですね。みなさんご存知の厄介なやつです。

入手経緯と状態

AF時代のレンズは詳しくないし興味もあまり無かったりするんですが、ジャンクカメラハンティングに勤しんでいるうちに目的外のブツも増えてくるわけです。皆さんは、いかがですか?
まあこのレンズは狙って狩った訳ではなく、一山いくら的な抱き合わせ販売でジャンクフィルムカメラについてきたおまけレンズなんですよね。

フォーカスリングのゴムが無くシールテープが剥き出しの状態である

とにかく非常にボロいwww。フォーカスリングのゴムは無く、カビと埃まみれで価値はゼロって感じですね。とはいえ、いちおうこのレンズの素性を確認してみると、売りはウルトラコンパクトってところ。確かに見た目は標準ズーム並みのコンパクトさで驚きですね。ウルトラコンパクトの名に恥じないとてもコンパクトなつくりであると感じました。Nikon AiAFマウントのレンズですからNikon F60に着けで作動確認してみたところ動作的には何の問題もなく、汚くてボロいだけです。

てな訳で、今回の整備メニューはゴムリングとカビを何とかする!ですね。

分解

色々とネットサーフィン(超死語www)して、このレンズの分解法を探してみましたが不明でした。なので、手探りで分解を開始します!

第1群ユニット(仮称)

まずはセオリーどおり、銘板が回るのかを試してみます。いつもの吸盤オープナーを使うが、うまくフィットしないので、ちょっと大きいサイズのオープナーを無理やりはめ込んでみると、無理矢理はめ込んだせいでガッチリとフィットしました。そして回してみるとスルスルと回転し始め前玉が抜けてきました。これはラッキーです。

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前玉セットはおそらく2群2枚ハメゴロシかな?レンズ構成図が入手できなかったため、これは第1群ユニット(仮称)と呼ぶことにします。

これで前面から見えていた前玉のカビ面は露出したのでクリーニングできそうです。

第2群ユニット(仮称)

次のレンズにはカビはなさそうだ。レンズエレメントは、プラ製の枠にハマっていて、枠に切り欠きが4箇所ついている。とりあえずプラリングのカニ目を回してみることにする。

プラ製なので傷や破損に気をつけながら回すと上手く外れた。これは第2群ユニット(仮称)と呼ぶことにします。プラの枠に2群のエレメントがはめ込んであるようだ。ニュートンリング?が見えるのでおそらく貼り合わせがあり、多分2群3枚のレンズがあると思う。

背面には表からは確認できなかったカビがあった。そして組み立てられたレンズ間の内側に謎のクモリが確認できるが分解しなければクリーニングする事は出来ない。分解できる構造であるようだが、がっちりと接着されているようだ。隙間から接着剤が見える。頑張って回してみたが、びくともしなかった。枠が金属であれば溶剤を使えば緩む可能性はあるが、プラ枠なので危険と判断し分解は保留にした。

第3群ユニット(仮称)

前面から確認できた大カビはさらに奥だ! 

そしてもう一つ奥にカニ目リングがあるので外しにかかる。かなり奥まっているので工具が届きにくいがギリ手持ちの工具が届いた。

この工具は残念ながら絶版です

固くて回らないと思ったが、何かに引っかかっていたようで軽く回った。ちなみにこちらは金属枠だった。

これで前群カビ玉の摘出は完了!これは、第3群ユニット(仮称)と呼ぶことにします。ここもおそらく2群2枚だと思う

後群の状態

前群が全てはずれて、絞り羽根が見えている。そこで後群をライトで確認すると、後群最前面にクモリを確認。

後群がクモっていた

これもなんとかせにゃならんね。

クリーニング

分解とは逆順でクリーニングしながら組み立てていこうと思います。

まずは、後群の最前面にあるクモリを除去したい。かなり奥まってはいるが竹串にシルボン紙を巻いたもので拭いていくとなんとかキレイになってきた。

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しかしレンズエレメントの湾曲が大きく周辺部が吹けない。こんな時役立つのがプラモ用の接着剤塗るヘラ(スパチュラっぽいやつね)なのです。

これにシルボン紙を巻いて使い、周辺部もキレイになりました。

接着剤を塗るためのヘラ シルボン紙を巻けばレンズを拭くときにも最適 おすすめ
第3群ユニット(仮称)

ここが一番厄介そうなカビが巣くっているのです。

SONY α7+SONY FE 50mmF2.8MACRO SEL50M28で撮影で1:1撮影

マクロレンズで拡大撮影してみると、カビの菌糸の間に油っぽい反射が見えているのがお判りだろうか?

上記写真を等倍で切り出し 油分らしき物質がよくわかる

これは拙者の経験上、カビが生成した異物「油分や蝋など」でアルコールでは除れない事が多い。
憎きカビではありますが、いつ見てもカビは美しい。

一本は欲しいマクロレンズ 等倍までいけるしお手頃で写りも良い おすすめ


このようなカビの場合は、洗剤を使って流水で洗うのが最良ですがそのためにはこのユニットを分解してレンズエレメントだけを取り外す必要があります。もしこのまま流水で洗った場合、組み立て部の間に浸水し分解できなかった場合、二進も三進も行かなくなってしまいます。今回はリスクを避けてこのままなんとかしたい。

まずは無水アルコールで拭きましたがやはり全く効果がありません

次に過酸化水素水(オキシドール)で拭きますとカビの菌糸などは溶けて消滅しました。しかし、光って見えていた、油分は除れません。

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油分には石油系溶剤か界面活性剤が有効ですが、今回はベンジンで拭きます。ベンジンで油分は溶けますが表面に残るのでさらにアルコールで拭きあげます。

オキシドール→ベンジン→アルコールのトリプルアタックを数回繰り返しレンズ表面の頑固なカビは姿を消しました。残念ながらコーティングにカビ痕が少し残りました。レンズのコーティングは基本的に金属膜なのでカビが生成する酸で腐食するんでしょうかねぇ?
クリーニングが終わった第3群ユニット(仮称)はすぐに鏡筒に組み込んでおきます。

第2群ユニット(仮称)

まずは背面の小カビを除去したい。このカビはまだ小さく油分の生成もなさそう。オキシドールで一発でした。しかしレンズ表面全面に油分がありかなり頑固だった為またもやベンジンで拭き取る羽目になった。なぜ油分がこびり付くのか?レンズ内の油分が蒸発するような高温に晒されたのかな?レンズを高温の車内に放置するのはやめましょう。

表面はキレイになったが、内面には謎nの汚れが残っている

前面もサクッとクリーニングしキレイになると内面の汚れがとても気になる。夜も眠れないほどに…

どうしても分解できなかった

無理は禁物なので、これでも随分キレイと自分を納得させ鏡筒に組み込んだ。

第1群ユニット(仮称)

さて残るは、第1群ユニット(仮称)背面カビの除去っすな。これは表面を這うカビではなく盛り上がったタイプ。拭いてみると盛り上がりがわかる程のレベルです。

これはアルコールだけでほぼ除去できました。しかしこの面も全面的に油分ありました。なんなんでしょうかね?ですが一気にクリーニングして鏡筒にネジ込みました。

最後に前玉をクリーニングして今回のクリーニングは完了です… かなw

ピントリングゴムの再生

残るは見た目的に重要なピントリングのゴムです。これはもう得意の3Dプリントでサクッと!

こんなもんはノギスで寸法を測ればサクッと簡単に作れますから3Dプリンタはジャンカメハンターの救世主ですね。使用フィラメントは黒のTPU(熱可塑性ポリウレタン)です。ちょっとテカるけどまあいいでしょう。純正はかまぼこを組み合わせたようなカタチですが拙者のはシャークスキンです。なかなか良いでしょう?

最終チェックと試し撮り

再度Nikon F60で動作確認。まあ正常に動くしクモリはあまり気になりませんね。このレンズの売りだったZEN仕上げは劣化してボロボロになってるしアルミと思われるズームリングには錆も浮いている。そんなわけで外観は汚いけど拘りませんからOKです。

早速ジャンクなデジイチFine Pix S2 PROに着けて撮ってみますと。

まあ大丈夫そうですね。外にも持ち出して少し撮ってみました。

FinePix S2 PROなどではAPS-Cセンサーですから中心部をクロップした感じで換算焦点距離は315mm程度となります。

水仙をアップで撮ってみました。左半分がフレアっぽいですねぇ。分解できなかった部分の曇りの影響かもしれません。

かすみがない青天の日でアンテナまでの距離は4Km程度です。望遠端210mm絞りF5.6(開放)ですが意外とよく写っていますね。

こちらはフルサイズのα7Ⅱで撮ったもの。望遠端210mm絞りF5.6(開放)かすみアリでFinePix S2 PROの作例とは別日なので比べられませんね。

広角端70mmF4(開放)での作例 周辺光量落ちがありますね

望遠端210mm絞りF5.6(開放)で撮った雑木林。距離は50Mほど。こちらも周辺光量落ちがある

絞りF8で撮ったもの 周辺光量落ちは解消している

望遠端210mm最短撮影距離(倍率1:4.7)F4で撮影したもの ボケは素直だ

ズーム不明 近距離 F8で撮影 背景ボケが6角形になりあばれる感じになる

第2群ユニット(仮称)に再挑戦する

どうしても気になって夜も眠れないため、再挑戦です!接着剤(ネジロック剤)を溶剤でゆるめて、なんとか分解したいと思います。

まずはプラスチックにインパクトの少ない溶剤アルコールを注入してみます。

しばらく待ってから、レンズオープナーでググッと回してみると、
♪───O(≧∇≦)O────♪ キタ〜

糸引きが見えています

成功です!
途中レンズにヒビがあるかと焦りましたが溶けた接着剤の糸引きでした。つまりこの接着剤はアルコールで溶解したって事ですね。プラ枠で精度が低いのかレンズエレメントが抜けにくかったですが、なんとか外れました。

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レンズを吸盤で吸いつけて取り外し取り付けをする道具 レンズエレメントの整備には必須です 非常に使いやすいです。

レンズを確認すると

やはり謎のクモリがあります。分解歴はなさそうでしたので製造時についていたんでしょうか??

クモリを拭き取りました。レンズサッカーが無いと厳しいかもですね。レンズをペンチで掴むのはヤメてね。光学ガラスは脆いです。レンズエレメントをプラ枠に嵌め込むときもスムーズではありませんでした。金属枠の場合はスーっと気持ちよく入るものなのですが、プラ枠は精度が悪いのかもしれませんね。間違っても無理矢理入れるのはやめましょう。取り返しがつかなくなりますよ。
あとは元通り組み立てれば今回のレストアは完了です。

コンディション認定

まあ、外観が汚すぎるのと汚過ぎるのと微小なクモリがある事などから難あり品に認定ですな。

ま、拙者のようなど素人が遊びで撮るには十分ですな。ウルトラコンパクトなんでハンドリングは最高だしね。

あとがき

ぐりやん
ぐりやん

最後まで読んでいただき感謝です。
今回は当ブログではあまり取り扱うことのないAFレンズのクリーニングをやってみました。少し驚いたのは整備性が良いことですね。普通のズームレンズはこんなに簡単に全てのレンズエレメントを取り出す事は出来ませんからね。これはおそらく組み立てやすい設計にすることで、分解しやすい設計になったのだろうと思います。
なんだかとても勉強になった気がしています。
では、またお会いしましょう。

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