ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物は1965年製造のラピッドカメラ「フジカラピッドS2」です。
とにかく目を引くのは美しいデザインです。実はこのカメラのデザインは当時の東京芸術大学教授・田中芳郎氏の手によるものだそうです。田中教授はこのカメラ以外にもフジペットやフジカミニなどを手掛けられたそうですよ。
FUJICA RAPID S2
フジカというのは現在のフジフイルムが昔発売していたカメラのブランド名です。現在はFUJIFILMというブランド銘ですがFUJICAの方がカッコいい気がするのは拙者だけでしょうかね?
特に、このカメラに付けられた「楕円にFUJICA」マークは非常にレアでとっても好きなんです。
楕円にFUJICAマークはフジカのラピッドカメラにのみ使われたマークみたいですよ!
海外では下の写真の様な宣伝文句だった様です。エレクトリックアイがいわゆるEEと言われる自動露出を表していますが、このカメラにコンピューターは一切使われていませんww
さて、ラピッドS2のラピッドと言うのはフィルムの販売形態といいますかね?そのフィルムが詰められたカートリッジのことを指しています。カメラ名にRAPIDと入っているカメラはラピッドカートリッジを使うカメラに間違いないでしょう。(ただしレンズシャッターにもRAPIDと付くものが多いので間違えない様に)S2ってのは単玉、固定焦点のSに対してちょっと高級な位置付けのカメラって感じです。
レンズはFUJINAR-K 2.8cm F2.8です。フジナーKと聞いてピン!と来る方はかなりのフジカマニアなのではww。そうです上で挙げたフジペットやフジカミニのレンズと同じ名前なんですね。って訳で3群3枚のトリプレットです。ピントはゾーンフォーカス式で最短は0.8m露出はセレン光電池を使ったプログラムEEです。ファインダーはアルバダ式ブライトフレームで露出範囲外で赤ベロが出る(取説がないので定かでない)みたいです。
説明が長くなってしまいましたがこのカメラでいちばんムムッとくるのはスクエアフォーマットってところなんですね。フレームサイズは24x24mmでアスペクト比は1:1なので、出来上がりは「ましかく写真」となります。これがラピッドじゃなければ、おそらく大人気になった事でしょう。
撮影サイズ | 24x24mm | 16枚撮り |
レンズ | FUJINAR-K 2.8cmF2.8 | 3群3枚構成 |
露出調節 | プログラムEE | 1/30〜1/250 ASA25〜200 |
焦点調節 | ゾーンフォーカス | 0.8m〜無限遠 |
フィルムカウンター | 減算式(逆算式) | 16まで自動空送り |
RAPIDカートリッジを使うには?
ラピッドカートリッジの優れた点としては「装填の失敗が起こりにくい」とか「間違えて裏蓋を開けても被害が少ない」や「使用するフィルムは35mmと共通」などの特徴があります。そして先進的なのはASA感度が自動的にセットされ装填も自動という所なんです。カートリッジにはその種類によって金属のタブが付けられており、対応するASA感度によってタブの長さ異なります。これをカメラに装填するとカメラの露出メーターにASA感度が伝えられる様になっていますから設定はありません。そしてフィルムの装填は空のカートリッジを右から左に移して、新しいカートリッジをドロップインしたら裏蓋を締めるだけというお手軽さなのです。しかし、12枚しか撮れない(ライカ判)とか、カートリッジが流通していないなどのちょっとイケてない部分も多いです。極め付けは現在では装填済みのフィルムが販売されていないので、入手困難なカートリッジを入手して自分でフィルムを装填する必要があるって事ですね。もちろん現像を受け付けてくれる所もないでしょうから自家現像するしかないでしょう。って事で使うにはかなりハードルが高いでしょうね。
状態
年代なりに汚れてはいますが、キズやアタリなどはなく見た目は綺麗でケース付き。当然激安だったのですが、シャッターは半開きで固まっておりました。
ファインダーは汚い上に接眼レンズには油らしき物が付着しています。露出計は表示がないため確認はできません。
裏蓋を開けると全体的にアブラギッシュ!
どうやらオイルスプレーをシューっと思いっきりかけた模様です。
分解痕は残念ながらアリです。
分解
まずは軍艦部を開けてみると、すでに油がドバッと付いています。
メーターは残念ながら動いていませんね。とりあえずギトギトのシャッターを目指します。
セレンを外すと断線がありました。
とにかく、あちこち油だらけです。未知の機械を分解するのは緊張します。
赤ベロシステムです
一気にシャッターまで到達です。油が酷いですね。
どこもかしこも油だらけです。
シャッターも絞りも油だらけです。
徹底的にバラして洗浄しました。と言ってもスローガバナーも無い比較的単純なシャッターですね。
レンズはとても汚かったですがクリーニングでソコソコの状態になりました。
ファインダーの下にも油が回っていました。
なんとか洗浄して絞りもシャッターも正常になった様です
最終チェックとコンディション
このカメラはプログラムEE専用機なのでセレン露出計が壊れてしまうと使えなくなってしまいますが幸いセレンは生きていましたので復活させる事が出来ました。チェックするには送り側のカートリッジを入れないとカメラ側の感度設定が最低以下(ASA25以下)になってしまいますので注意が必要です。Gタイプ(ASA100)のカートリッジを入れてEEのチェックをしてみた所、概ね大丈夫そうです。
ここに使用に耐え得るFUJICA RAPID S2が復活しました。状態は「美品」と言っていいと思いますね
あとがき
最後まで読んでいただき感謝です。
さて次回は、このカメラの試写結果をお届けしたいと思います。果たして正確な露出で撮影する事が叶うのでしょうか?乞うご期待w
コメント