TessarとSonnarって何が違うのか? 解説と撮り比べ

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おはこんばんちは。ジャンカメハンターのぐりやんです。
最近テッサーとゾナーの違いというキーワードの検索数が多いようです。なぜなのかは置いといて、この二つのレンズの違いを調べるとともに、撮り比べて違いを見ていきたいと思います。

TessarとSonnarはCarlZeissのレンズの名前

テッサーとゾナーはともにドイツのカールツァイスで開発されたレンズの名前です。カールツァイスについては別の記事で解説しておりますので是非ご覧ください。

Tessarについても別記事で解説しておりますので詳しくはリンク先をご覧ください

Sonnarについては解説記事を作っていませんのでここで簡単に解説しましょう。
Sonnarの登場を調べてみると1939年にMovikon16という16ミリムービーカメラ用の高速レンズとして2.5cm F1.4が登場したのが最初のようです。
そして1932年に発売されたSonnarが35mmスチルカメラ用としては初めてのレンズとなります。それはContax用に再設計されたSonnar50mmF1.5で、当時としては最も明るいレンズだったそうです。ゾナーの特徴は6枚(F2)や7枚(F1.5)ものレンズエレメントを使用しているにも関わらず3群構成だということです。レンズはガラスでできていますから空気とガラスの境界面の屈折の違いで反射が起こり、その反射率は約4%にもなります。しかもそれはレンズに光が入る時、そして出る時に起こるそうです。つまり光はレンズに入る時反射により4%失われ96%となり、レンズから出る時さらに4%失われ92.16%まで減ってしまうのです。当時はレンズコーティングが未発達で枚数が増えるほどフィルムに到達する光が減ってしまうとういう問題があったわけです。しかしレンズのクセ(収差)を補正するためには数枚のレンズを使う必要があります。そこで編み出されたのがレンズを接着して空気との境界面を減らす方法だったということなんですね。Sonnarの前身であるエルノスターは4群構成なので空気境界面は8つですし、それより前に設計されたプラナーも4群構成ですから、空気境界面の少なさという面でSonnarは優れた設計だったと言えます。開放F1.5という大口径高速レンズにも関わらず空気境界面が少ないため抜けが良く高いシャープネス周辺減光の少なさも特徴とされています。しかし、3枚貼り合わせのレンスを必要とする設計だったため製造コストがかかり高価だったと思われます。戦後はコーティングの発達や一眼レフの台頭で高速レンズの主役はプラナー型に移ってゆく事になるのでした。

TessarとSonnarのスペックなどをざっくりと比べた表

名称TassarSonnar
開発時期1902年1929年
設計者P. Rudolph E.WanderslebL. Bertele
主な開放F値2.8〜3.51.5〜2.0
レンズ構成(枚数)4枚6枚または7枚
レンズ構成(群数)3群3群
35mmカメラ用のTessarが登場したのは1931年と思われ、35mmカメラ用のSonnarは1932年に登場したと思われます

SonnarとTessarの撮り比べ

デジタルカメラにマウントして撮影した作例を数点アップします。通常Contaxカメラでは最短撮影距離は1mですからここまで寄ることは出来ません。またデジタルカメラセンサーの特性でフィルムで撮るのとは違って写る事があります。そしてレンズの状態もあまり良くありません。
ですから以下の作例は参考程度としてご覧いただければ幸いです。

Sonnar

まずはツァイスオプトンのゾナー、絞り開放F1.5での作例です。滑らかなとろけろるようなボケですね。

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ピントはRICOHFLEXのO付近に合わせていますが、ピントを合わせている位置でも少し甘い描写となっています。

ピント位置を拡大してみた

ピント位置を拡大してみましたがこのようにあまりシャープではありません。

次はF2.8まで絞ってみます

ピント位置を拡大してみた

開放ではピント位置でもキリッとしないSonnarもF2.8まで絞ればここまで改善します。

TessarとSonnar F2.8で比較 

次にカールツァイスイエナDDRのテッサー、開放2.8での作例です。

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上のゾナーF1.5比べるとテッサーの開放はF2.8ですからボケが少ないのは当たり前ですが、ボケの感じはかなり違っていて、固い感じで2線ボケの傾向が見られます。

次はゾナーのF2.8での作例と比べてみましょう。

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ボケ具合は同じぐらいになりましたが、ボケの感じはテッサーと比べると柔らかいです。

TessarとSonnar F8で比較 

テッサーをF8まで絞ってみました。

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被写界深度が深くなりピントの範囲が広がりました。そして絞り開放でみられた特徴はほぼ感じられなくなっています。

次はゾナーをF8まで絞り込んだ作例です。

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特徴は消えてテッサーとの見分けはつかなくなっている事がわかると思います。ボケ感、ボケ具合共にすごく似たような感じです。

TessarとSonnar F2.8の作例を部分拡大して比較してみる

さてここからは、F2.8の作例を部分拡大で見比べて特徴を感じていただこうと思います。

ピント位置を拡大してみた(ゾナー)
ピント位置を拡大してみた(テッサー)

上の2枚はF2.8のピント位置付近を並べたものです。非常に似ている感じで、そこまで大きな違いは感じられませんね。

後ボケを拡大してみた(その1)ゾナー
後ボケを拡大してみた(その1)テッサー

ボケ感に違いがでています。どちらも色収差により文字が紫と緑にぼけていまがテッサーの方がひどいですね。ゾナーではボケの輪郭が滑らかに溶け込んでいくようですが、テッサーは2線ボケの傾向がハッキリ出ていてボケの輪郭も硬い気がします

後ボケを拡大してみた(その2)ゾナー
後ボケを拡大してみた(その2)テッサー

この付近では各レンズの違いが非常にはっきりと出ています。ゾナーはどちらかというと滑らかな溶けて混んでいくようなボケでテッサーは輪郭がハッキリしたようないわゆるバブルボケっぽいクセがあるようです。

後ボケを拡大してみた(その3)ゾナー
後ボケを拡大してみた(その3)テッサー

さて、これで最後の作例となりますが、いかがだったでしょうか?

それそれ特徴の異なったレンズということが、少しはお伝えできたのではないかと思います。この二つの人気レンズの全てをお伝えすることは不可能なので興味があれば購入して使ってみるのが良いと思います。

CarlZeissのゾナーやテッサーは人気があるため、意外とお高い場合が多いのですが、旧ソ連製テッサーコピーのindustar系やゾナーコピーのJupiter8系ならば、まあまあ安く手に入れる事ができると思いますのでその辺りから始めてみるのもオススメですよ。
ちなみにJupiter8はSonnar50mm F2のコピーで、Sonnar 50mm F1.5のコピーは、Jupiter3です。Jupiter3は玉数が少なくお高いです。それとZEISS IKON Contax用のゾナーやテッサーやKiev用のJupiter8はデジカメにマウントするのが困難なのであまりお勧めはできません。

おわりに

ぐりやん
ぐりやん

最後まで読んでいただき感謝です。
はっきり言いますとTessarかSonnarを比べるはナンセンスだとも思います。開発された年代も20年も違えば、設計やレンズの枚数、明るさなども全く違いますし、ランクも違います。同じなのはCarl Zeissで開発されて発売されたことぐらいです。
それでも人気の2本ですから無理やり比べてみましたwww。
どちらがお好みですか?

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コメント

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