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ファインダー内に怪しい黒い粉がたっぷりのCANON FTb-N ジャンクカメラを分解修理してみた

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ジャンカメ ハンターのぐりやんです。
本日の獲物はCANON FTb-Nです。FTbというカメラの前身には1966年発売のFT(QL)というカメラがありましてこちらはFLマウントでTTL絞込み測光のカメラでした。
FTbはFTを開放測光にバージョンアップしたカメラと言えそうですね。
TTL開放測光は1963年にTOPCON RE SUPERによって世界で初めて実用化され 1965年にはニコンからNIKOMAT FT1966年にミノルタのSRT-101とTTL開放測光の波はみるみるうちに各メーカーに波及していったのでした。そして1971年にCANONは従来のFLマウントをTTL開放測光対応に改良しF-1とFTbを発売したのです。
その後は1972年にオリンパスからOM-1 1973年にPENTAXからSP-FとTTL開放測光のカメラが発売されてゆくのでした。

実はこのカメラ十数年前に一度レストアしているんですよね。

CANON NEW FTb (FTb-N)

当時のキャノンというメーカーはカメラの名前を変えずにNewを付ける事が多々ありました。
例えばNewF1とかNewFTbとかですね。そしてNewが付くカメラを表記する場合は-Nを後ろに付ける事が多いのです。F-1NとかFTb-Nのようにですね。現在ではMk2とかを付けるようになりましたね。
F-1の場合は旧F-1のNewF-1(F-1改)があるのでさらにややこしく新F-1はNewF-1と表記される事が多いですね。中古を探す時はご注意ください。
さてFTbとFTb-Nの違いですが操作性が一段と増したNewFTbって事だったようで、ファインダー内にシャッター速度表示が付いたフラッシュターミナルに感電防止カバーがついた。巻き上げレバーに指当てが付いた。絞込み・ミラーアップ・セルフタイマー兼用レバーがF-1と同じようなタイプに変更された。って感じです。

状態

まずファインダーを覗くと一面を黒い粉が覆っていて汚くて見難いです。

シャッター幕のスリット金具が傾いています。

ファインダー内のシャッター速度表示が一段ずれています。

スローシャッターを切るとシャッターが開きっぱなしになります。いわゆるスローの粘りですね。
セルフタイマーも粘っていて動きません。

電池室にはMR-9水銀電池が入ったままでしたが液漏れはしていないようです。ちなみに、このカメラに使うH-D水銀電池はすでに製造中止で入手できませんから電池アダプターを使うのが良いでしょう。

お買い物リンク
この時代のカメラは電圧変換型を使わないと露出が狂います。安い無変換型ではダメ

 

外観は小さなアタリが多いですがまあ問題ないでしょう。

分解整備

まずはファインダー目指して軍艦部から上カバーを外していきます。

ファインダー接眼部の奥ペンタプリズム付近が見えてきました黒い粉はやはり劣化モルトの破片でした。
モルトには種類があるのかもしれませんが、ベタベタ劣化と粉々劣化がありますね。

今回はプリズム押さえのモルトが粉々になっています。しかしながらモルトとプリズムの間にはプラのカバーがあるのでプリズムは劣化していませんでした。

しかし粉々なのでもうあちらこちらが黒い粉だらけで大変なことになっています。

そして何故か配線を止めている布テープの粘着剤がドロドロです。加水分解の類いでしょうね。

黒い粉はカサカサに乾いた感じなのでブローだけで綺麗になりました。

接眼レンズのコーティングは拭き傷だらけですが、まあまあ綺麗になりました。

次にスローガバナとシャッター幕にアクセスする為にミラーボックスを外していきます。
これが結構大変でした。まずはプリズムの台座を外すのですがここにシャッター速度表示機構が取り付けれらています。

シャッター速度ダイアルから緑色で示すプーリーに繋がっている

シャッター速度表示機構はシャッターダイアルと糸で繋がっているのでシャッターダイアルのプーリーとギアを取り外しました。そしてプリズム台座を外します。

あとはマウント下の内部についているバネが邪魔なので取り外します。

も一つ忘れちゃならないのがCDS受光素子ですね。ミラーボックス内のコンデンサレンズの後側に差し込んであるので抜きます。薄いフィルムも無くさないように取り出しておきました。

これでミラーボックスを外す準備は完了です。

貼り革を剥がして前板ごとミラーボックスを取り外します。シンクロ接点の配線があるので注意しながらミラーボックスを取り外して半田ごてで配線を外しました。上蓋のホットシューにつながる配線もハンダを外しましたよ。これでスローガバナとシャッタ幕関連部にもアクセスできますよ。

この辺も黒い粉が廻っています。スローガバナは精密な機械式タイマーですからこの汚れのせいで動きが悪くなったのかも知れません。こんなモンはサッサとお風呂に入って戴きましょうw

シャッター幕の状態ですが、なぜか後幕のスリット金具が傾いていますね。

そして後幕が劣化しているように見えます。キヤノンのシャッター幕がこんなになっているのは初めてみました。傾いていると言うことで粗悪なものに交換されている可能性もありますね。とりあえず穴もなく硬化もしていませんのでこのまま後幕のリボンだけ貼り直して様子を見る事にしました。

セルフタイマーも粘っていましたので取り外して洗浄しました。サビが多かったですね。

シャッター速度表示がズレているのは意味不明なのですが糸を作り直して合わせました。糸はエギングで使い古したPEラインの0.8号を2本撚って作りました。PEラインは伸びもなく非常に強靭なのでカメラ内に使われている糸をリプレイスするのに向いていると思いますよ。

布テープは溶けていた粘着剤を拭き取ってボンドで再利用しました。目指せ出来るだけオリジナルコンディション!

組み立てで苦労しそうなところ

前板ミラーボックスを取り付けるのにはコツがあります。セルフタイマーの本体とセルフタイマーレバーの嵌合が上手くいかず組み立てられないんですね。

ですから先ずはセルフタイマーをチャージします。拙者は9時の方向までチャージして止めました。

そうしたらレバーの方も9時の方向あたりを探りながら嵌合させます。

その他の箇所でコツがあるのはCDS受光部の挿入です。普通に入れても奥で引っかかって(コンデンサレンズに引っかかる)入らないのでこのフィルムを先ず先に入れておいてその奥にCDS受光部を滑り込ませてピッタリと納めます。

実はこの辺りがこの時代のキヤノンの中央部分測光のキモなんですよね。
この手前の盛り上がったコンデンサレンズの真ん中あたりに少しグレーがかった部分があるのわかりますか?実はここがハーフミラーになっていてレンズを通ってきてファインダー接眼レンズに向かう光の一部を反射させてCDS受光部に導いているんです。ですから測光範囲はこのグレーの部分だけです。

コンデンサレンズを斜め横から見るとわかりやすいですね。

後難しいのはここのバネの取り付けですかね。このようにレバーを押さえながらバネをかければ簡単です。

最終チェック

ファインダーはクリアになりました。スローも快調です。スリットも完璧とは言えませんが概ねOKですね。写りに影響はないと思います。ファインダーのシャッター速度表示も概ねOK。セルフタイマーも・・あれ?ダメでした。セルフタイマーを起動するとレリーズボタンが少しずつ押し込まれていきシャッターが走るはずなのですが、どうもレリーズボタンを押し込むストロークが足りていないようです。
調整箇所を探したら底面で発見しました。

このネジをほんの1/4回転ほど締め込んだら正常になりました。この個体なんだか色々と普通じゃないトラブルが多いです、ニコイチかも知れませんね。

コンディション認定

全体的に小さなアタリは多いですが全て正常に動くようなり光学系も綺麗です。て事で「並品」てところでしょうか。

あとがき

このカメラの分解は慣れれば大したこたはないかも知れませんが難易度は高めだと感じました。
元々の設計はFXから踏襲されていて、次から次へと機能を追加していったため構造が複雑になってしまったのではないかなと思います。
ジャンクが安価で大量に転がってはいますが、分解整備に挑戦する方は覚悟して分解を始めて下さい。
できればNewのつかないFTbから初めて見るのが良いかも知れません。機能が少ない分、構造が簡単ですから分解修理の難易度も少し下がりますね。

ぐりやん
ぐりやん

最後まで読んでいただき感謝です。
さて次回は1973年に発売された、YASHICA製の一眼レフをレストアしていこうと思います。
乞うご期待w

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