ジャンカメハンターのぐりやんです。
本日の獲物はCANON FT QLと標準レンズのセットです。
ハドフのジャンクショーケース出身の高級品ですよ。購入の決め手は、レンズがついていたことですね。ショーケースの中にレンズがついた状態で鎮座していたのですが、拙者の大好きな4群6枚構成のアトムレンズである、初期型FL50/1.8が付いているのを見逃すわけが無いですよねー。
では、まずは、カメラ本体から見ていきますよ。
CANON FT QL
ペリックスという特殊なカメラを除けばキヤノン一眼レフ初のTTL露出計内蔵カメラで発売は1966年です。コンデンサレンズを斜めにカットしてハーフミラー化してCdSに光を導く方式を採用した初めてのカメラでこの方式はF-1にも採用されました。マウントはFLマウントで、測光方式はTTL絞り込み測光です。改良機のFTbからはFDマウントに進化しTTL開放測光となるんですね。しかしながら信頼性では実際絞り込んで測光する方正確だということで絞り込み測光信者がいたとか。確かに開放測光は予測測光ですから言いたいことは解りますがねぇ。その後絞り込み測光は姿を消すことになります。QLってのはクイックローディングの意味で、フィルム装填が簡単な機構です。QL機構も採用期間は短く後に廃止されていく事になります。
状態
シャッターの粘りやシャッター幕の傷みはなくすこぶる快調です。ファインダーもキレイでどこにも問題は無いようです。問題点はモルトが朽ちているところぐらいですね。
露出計を動かすために電池を入れてみますと?残念ながら動きませんでした。修理が必要ですね。
露出計の故障探求と、驚きの仕様に困惑
電池を入れてもバッテリーチェックはダメで、露出計も動きませんでした。
ところが電池を入れたり出したりしていらた突然露出計が動くようになったんです。ですが、絞り込まないと動かないはずの露出計が動きっ放しになるんです。電池を入れた瞬間から垂れ流し測光状態なのです。これはいけません。通常絞り込み測光機は絞り込んだ時だけ露出計が動くので電費が良いのです。
どこが悪いんでしょうか?
分解開始
まずは分解して露出計のスイッチを探すところからです。
絞り込みと連動する露出計のスイッチは前板の裏にあるみたいですからミラーボックスまで分解する必要があります。キヤノンのFシリーズはFXとFTbを数台バラした経験がありますからサクッとバラしていこうと思います。
軍艦部を開けてプリズムを外して裏から見るとキレイではありますがプリズムの蒸着面に軽い腐食がありますね。
コンデンサレンズはめっちゃ綺麗ですね。モルトがあまりないところもポイント高いです。
この辺りはFTbの初期型に似てる気がしますね
底蓋にはモルトカスがたくさん溜まっていました。内部のモルトが劣化して崩れたのでしょう。
どんどん分解を進めてサクッと前板を取り外してスイッチの場所に到達です。そしてここで衝撃の事実が!この辺にあるはずの露出計のスイッチが有りません!
これはどういうなの事だろうか⁇
ピンチ! CANON FT QLについて詳細に検索
これは訳がわかならない。FT QLの露出計スイッチについて検索してみます。
すると衝撃の事実が解りました。
FT QLの後期型からは露出計スイッチが省略されたらしい!
え? 露出計スイッチが省略されたら露出計のスイッチはどうやってOFFにするの??
説明しよう。
FT QLの後期型は露出計のスイッチをOFFにすることはできないのじゃ。
え? じゃあ露出計は動きっぱなし??
電池垂れ流しって事で合ってる?
その通りじゃ。電池を入れた瞬間から動きっぱなしになるんじゃ。電池がどんどん消耗していくぞ。CdS露出計なんでレンズキャップを閉めておけばかなり消費電力が抑えられるし、シャッターダイアルをXにすれば露出計のスイッチがOFFになるぞ。
気に入らないなら、前期型を買うことじゃ。前期型なら絞り込んだ時だけ露出計のスイッチがONになるぞ。
絞り込まなくてもずっと露出計が動き続けるってことは、常に絞り開放での開放での適正露出を示し続けるって事でだよね?それはちょっと分かりにくいし、使いにくいねぇ。
そうじゃな。コストダウンを推進するあまり、前期型では名機と思われたFTが後期型ではとんでもない迷機に改悪されたと言えるじゃろうな。
まあ、「ヲレは露出計使わないから電池入れないけどね」という天才カメラマンには関係ないだろうけどねw
これはキヤノン一眼レフ唯一の駄作と言えそうな気がするなぁ。
しかし分解して驚愕の事実に気づくってアフォすぎるなぁ。ちゃんとリサーチしてから分解しろよ>拙者
ハズカシw
ってなわけで露出計が動かなかったのは、どこかの接触が悪かっただけでカメラは完動良品だったというオチでしたorz....
せっかく分解したのでモルトを貼り替えたり
汚かった接眼レンズをクリーニングしてから、組み立てました。
最終チェックとコンディション
何の問題もありません。ファインダーはクリアだし動きも完璧。巻き上げの感触やシャッターの音も良く快調さが分かるほどです。問題点はペンタカバーのCANONのスミ入れが一部剥がれている事と底板に少しアタリがある事。全体的に若干使用感がある事ぐらいで実用には全く問題がありません。
これは並品と言って良いと思いますね。
あとがき
最後まで読んでいただき感謝です。
まさかキヤノンがこんなカメラを作るなんでビックリです。しかも、改良型ですよ。改悪型としか思えないです。分解するまで絞り込みに連動するスイッチがあると思い込んでいた拙者もアフォなんですがね。
内蔵露出計を使いたい絞り込み測光信者の方は前期型を探すことをお勧めします。見分け方は簡単でカメラを後ろから見ると、ファインダー接眼部の左に丸い出っ張りがあり、右にCANON CAMERA COMPANY, INCの刻印があるのが前期型です。
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