ジャンカメ ハンターのぐりやんです。
先日ハンティングしてきたジャンクカメラたち。本日の獲物はジャンクカメラ、PENTAX SVから取り掛かろうと思います。
PENTAX SVは初めての入手ですがPENTAX S3の後継機でS3にセルフタイマーを搭載した様なカメラです。SV発売後にセルフタイマーを除いた廉価版としてS2 Superが発売されていますが、こちらは所有しています。
S2Superと今回入手したSVを並べてみました。黒いのがS2Superで¥400のシールが貼ってあるのがSVです。
S2 Super ブラックボディを入手したのは7年前で、シャッターリボン切れのジャンクでしたがシャッター幕張り替え等のレストアを施し今でも絶好調です。
S2 Superまでがマウントのスカート部分(いわゆる前板)が貼り革でカバーされておらず貼り革を剥がさずに分解できます。デザイン上もかっこよくて好きなんですよ。次世代のSPからは一般的なタイプになり貼り革を剥がさないと前板は取り外せなくなるんですよね。
ASAHI PENTAX SV
さて今回入手のASAHI PENTAX SV について少しだけ。
発売は1962年、先にも述べました通りS2の後継機として登場しました。
S2との大きな違いは、フィルムカウンターが自動復元式となったこととセルフタイマーを内蔵したこと。そこまで大きな進化ではありませんが、利便性が上がったのは良いですね。
今回入手した個体には頭でっかちのケースがついていました。少し考え込んでしまいましたが、閃きました。そう、メーターを装着したまま使えるカバーだったんですね。
ジャンクの理由と状態
うーんと自分でもS2Superの時のエントリーを見てみたんですよ。そっくりじゃね。
これはまたもや(大汗)
ファインダーもキチャナイねー。
シャッタースタックの原因目指して分解
このタイプのペンタックスはS2とS3Superのレストアしてきましたから3台目となります。
サクッと サクッと! サクッと? いきません(超アセ)
巻き上げ軸のカニ目にキズがあったので誰かがチャレンジしたのだろうが多分諦めたのだろう。
今までどんなに硬いカニ目も開けてきた工具で開かない。
何かないかと探し回り最終的には作るしかないかと思った矢先ちょうど良い工具発見。
何とか開きました。今までの経験上、最強に硬いネジ。マジで。S2Superはここまで硬くなかったゾ。
その後も結構時間がかかった。この個体全てのネジが固すぎる。
回らないの抜けないのなんのって。
どのネジもガッチガチに締まっていた。トップカバーを取り外すまで、なんと50分もかかってしまった。
シャッターリボンの状態を確認するためミラーボックスを取り外す
このカメラファインダーがブロックで外せるので整備性良し。ピントスクリーン一体型のコンデンサーレンズも写真のように丸ごと取り出せる。
マウント含め前板は貼り革を剥がさずに取り外せるのでこれまた整備性良し。前板を外すと銅のスペーサーが3つしか無かった。正常なのであろうか?
リボン切れだろうなぁ。と思いながらたどり着いたけど、キレてなぁい。
となると原因はなんだろう?探るが原因不明なのですよ。もう潤滑不良しかないなと。
で、前幕、後幕の軸に微注油すると若干改善したけれどまだ後幕の走りが悪い。
それ以外でシャッター幕の走りに影響がありそうなところを探す。
このシャフトの上下軸受け部に微注油してみた。
ビンゴ。見た目はちゃんと走り出した。
あとは高速シャッター時のスリットの状態をiPhoneの240FPS動画で確認。
どうも先幕のスタート加速が悪く、開き始めが遅い、そして後幕のスピードが遅くスリット幅が段々広がってっている様だ。
もう注油箇所もないので、リボン切れのリスクは高まるが少しだけ幕速を上げる事に。
結果、先幕2クリック後幕3クリックで概ね良さげなのでOKとしました。
その他シャッター関連
スローガバナのワンウェイクラッチの動きが悪かったので、洗浄と各軸受に微注油。
シャッターダイアルのT、B辺りの動きが悪いのでシャッターダイアル下のカムにグリスアップ。
ミラーボックスの各軸受部に微注油及び摩擦部にグリスアップ。
ミラーもクリーニングしますが、ミラーは表面鏡でキズが付きやすくカメラの部品の中で一番デリケートなパーツですので拭かずに取り外して水道水で洗浄するのがオススメですが、自信がない方は触らない方が良いかも。また痛みがひどい場合は水道水でも蒸着が剥がれてただのガラスになってしまう場合もあるので注意。
ミラーです。少しはマシになりましたが傷みが激しいですね。できれば交換したいところです。
あとミラーが跳ね上がって当たる部分にモルトがありまして、朽ちていますので
新しいモルトを切り出して交換します
モルトのカットにはロータリーカッターがオススメ。綺麗にスパッと切れます。
モルトのカットで苦労したりイラっとしている方は是非試してみてください。
目から鱗ですよマジでw。
これでほぼ調子を取り戻しました。調子が良くなったけど、シャッター幕劣化とテンションを上げたので、いつリボン切れを起こしてもおかしくないです。
ファインダー周りのクリーニング
シャッター、ミラーボックス関連は復調したので汚ったないファインダーをクリーニングせねば!ってことで取り外し済みのファインダーブロックをバラす。
ファインダーはカビだらけでかなーりクモっている。プリズムやらスクリーン兼コンデンサーレンズもカビだらけ。
接眼レンズ、プリズム、コンデンサーレンズなど取り出した光学部品を洗浄しました。
ここにもモルトがあるので交換しておく
接眼レンズのコーティングに拭き傷が多いながら、かなりキレイになりました。
チェックしつつ組み立てる
セルフタイマーのチェック
カウンターの進み具合チェック
カウンターの自動復元チェック
コンディション認定
普通に使用できる状態まで回復しました。外観も磨きましたので綺麗になりました。
若干の問題点は接眼レンズのコーティングのスレが多いこととミラーの傷みがあること。
とはいえファインダーをのぞいてみるとななり綺麗です。
コンディションは「使用感があるが使用に差し支えのない並品」に認定です。
レストア後記
この辺りの露出計を搭載していないPENTAXの一眼レフはジャンクカメラ整備入門機として最適だと思います。一眼レフの分解整備に挑戦してみたい方にはオススメの一台です。
やってみたい方はS2、S3、SVが安く転がっていたら是非GETして挑戦してみてください。
捨て値で売っていた壊れたカメラを直して写真を撮って現像してちゃんと写っていたら最高ですよ!
もちろん、最初の一眼レフにもオススメですよ。稼動品は少ないでしょうが探してみてくださいね。
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