梅雨に入ると星空が見えなくなるナーと呟いている、ジャンカメハンターのぐりやんです。
先日夕方に西の空を見た連れ合いが、「月の近くにすごく光る星があるよ。金星かねぇ?」
と言いました。
見ると確かに金星と月が近い位置にありキレイに輝いていました。調べてみると2023年の5月後半、
西の空に月と金星が接近し火星も見えるとありました。
目を凝らして探しますと、少し離れたところにある火星も発見しました。
さて、いきなり話が横道に逸れていると思ったあなたその通りです。
閑話休題
プラネタリウムというのはすごく簡単に言うと星空を人工的に再現する装置なんです。
そして誕生したのがちょうど100年前の1923年なのですよ。
プラネタリウムの発明とCarl Zeiss Jena
世界初のプラネタリウムは「ツァイスI型」です。もうお解りですよね?
そう発明したのは、あのCarlZeissなのです。プラネタリウム投影機は球体の中心に光源があり、球体にはレンズと恒星原盤と呼ばれる金属で作った星空のスライドフィルムのようなものが設置されており、レンズを使ってドーム状のスクリーンに映し出す仕組みになっています。ツァイスⅠ型ではミュンヘンからの星空だけを投影可能で恒星球と呼ばれる投影装置は一つだけでした。
ツァイスⅡ型では、球体を2つ繋げる事で地球から見た全天球の星空を再現する事ができるようになりました。そしてこのダンベル形がプラネタリウムの基本形になりました。(最近はデジタル化などで、そうでも無くなってきたからなんです)今流行りの全天球カメラの考え方と似ていますね。
全天球を再現(つまり地球の反対側も)できますから、日本からでは見る事のできない南半球、例えば南十字星などを再現することができるのです。
そしてこの発明は「イエナの奇跡」と言われたそうですよ。
後継機のツァイスⅢ型は戦後1957年に西ドイツのオーバコッヘンで作られたそうです。
最新型のSKYMASTER ZKP4型でも基本構造が変わっていないのがわかると思います。
CarlZeiss製のプラネタリウム
そしてジャンカメハンターとして避けて通れない?カールツァイス製プラネタリウム
の設置場所を一覧にしてみました。
注目すべきは大阪市立電気科学館に設置されていた「カールツァイスⅡ型」プラネタリウムです。
現在は大阪市立科学館で静態展示されているのですが、これは世界初の全天球投影型プラネタリウムで以後のプラネタリウムの基本形です。プラネタリウム「カールツァイスⅡ型」は全部で27基製造され現存するのは世界で3基、そのうちの1基が大阪にある25号機なのです。
施設 | 機種 | ドーム直径 | 運用開始 (現在の状況) |
旭川市青少年科学館 | ZKP-1(165号機) | 8m | 1963 (旭川科学館で静態展示) |
旭川市科学館 | STARMASTER- ZMP(578号機) | 18m | 2005 (稼働中) |
東京日々新聞天文館 | Ⅱ(26号機) | 20m | 1938 (空襲消失) |
天文博物館五島 | Ⅳ(1号機) | 20m | 1957 (渋谷区文化総合センター大和田で静態展示) |
岐阜プラネタリウム | ZKP-1(73号機) | 8m | 1958 (岐阜市科学館静態展示) |
名古屋市科学館 | Ⅳ(6号機) | 20m | 1962 (同館で動態展示) |
名古屋市科学館 | UNIVERSARIUM-Ⅸ | 35m(世界最大) | 2011 (稼働中) |
大阪市立電気科学館 | Ⅱ(25号機)* | 18m | 1937 (大阪市立科学館で静態展示) |
明石市立天文科学館 | UPP 23/3 (79号機) | 20m | 1960 (稼働中) |
高松市こども未来館 | SKYMASTER- ZKP4(LED) | 13m | 2016 (稼働中) |
宗像市総合市民センター | SKYMASTER- ZKP4 | 12m | 2011 (稼働中) |
プラネタリウム「カールツァイスⅡ型」について調べてみた
カールツァイスⅡ型の目標は、地球上のすべての都市からの星空を投影できるようにすることだったそうです。ちなみに1型はミュンヘンの空を再現していたようです。
Ⅱ型はⅠ型を2つくっつけたような形をしている
Ⅱ型では半球分の投影機をダンベル型に2つ組み合わせたタイプの初めての投影機で、ダンベルの持ち手に当たる部分には惑星を表現するための惑星棚という投影機(写真の球体と可動軸をつなぐトラス状の部分に円盤状の棚がありプロジェクターが取り付けられています)がついていて太陽をはじめ月、土星、水星、金星、火星、木星と肉眼で見える惑星をそれぞれ別々に投影することができるようになっていました。それぞれの惑星投影機には2つのプロジェクターが使用されているようです。(上の写真をクリックして拡大してみて下さい。凄いです)
2つの恒星球と惑星棚により星空全体を途切れなくまた各太陽系の惑星を完全に表現することができるようになったんですね。
それどころか、星座名や天の川、赤道、黄道や朝焼け、夕焼けまで表現できるようになっているのです。
そしてこのダンベル型のプラネタリウム投影機は以後の光学式プラネタリウムの基本形になりました。
恒星を表現するのには直径750mmの2つの球体を使用して北と南の空に輝く恒星を投影しています。
2つの球体の中心にはそれぞれ 110V 1000Wの電球があり、球体の表面にはそれぞれ 16個のプロジェクションレンズ (Tessar115mmF4.5) があり、それぞれの固定された星空の領域にマッピングされています。(Googleストリートビューの車の屋根についているカメラ見たことありますか?あれに似ています)全天球の32分割はサッカーボールのように5角形と6角形で構成されているんですね。32個のレンズの奥にはそれぞれガラス板の間に置かれた厚さ0.015mmの銅箔に、実際の写真から作成されたテンプレートを基に、星の明るさに応じて65種の異なる大きさの穴を開けて星の表現をしているのだそうです。そして一部の星には、星の色に対応するためのカラーフィルターがつけられていたそうですよ。
100年前にはこれを完成させていたのですから凄いですね。
Tessarスキーとしては多数のTessarが搭載されているところにもムムッときますね。
調べきれていませんが恒星球に32本、惑星棚におそらく12本、天の川にも使われているはずですから少なくとも40本以上のテッサーが搭載されていると考えられます。よく見ると惑星名を表示する小さな球体にもいくつかレンズがついているようです。一体Tessarは幾つ使われているんでしょうか?
それにしてもスゲーよ。プラネタリウム。
拙者が見たプラネタリウム
はっきりと記憶に残っているのは子供の頃父に連れて行ってもらったプラネタリウムです。
某ショッピングセンターにプラネタリウムが設置されたというので父も見たかったのでしょう。
このプラネタリウムは五藤光学という会社製のGM-15-Tという投影ドームが15メートルのものでした。
ダンベル形をした投影機がドームの中心に設定されておりその周りに寝そべることができる座席が放射状に200席ほど並んでいるのです。
上映が始まると映画館と同じように照明が落とされ暗くなったドームに満点の星空が映し出されます。
それはもう夢の中にいるような体が宇宙に浮いてゆくような感じだったのを覚えています。
そしてまるで宮崎駿の宇宙船のような投影機がグイーンと回りながら星空を写しだすんですね。
その近未来のような投影機にも興奮したのを覚えています。
そして次に見たのが神戸ポートアイランド博覧会に出展された「神戸プラネタリウムシアター」でのミノルタ製MS-20を使ったプラネタリウムです。ミノルタもプラネタリウムを作っているんですね。
ミノルタのカメラ部門は消えてしまいましたけどプラネタリウム部門は現存しているのです。
そして一番最近見たのが「広島こども文化科学館」ですね。広島の人は、基町の付近ででっかいドームが乗っかった建物見覚えありませんか?あれがプラネタリウムの20Mドームです。こちらも投影機はMS-20で神戸のと同じタイプです。(数年前近代化改造された様です)20Mですから迫力ありますよ。
こども文化館ですが大人だけでも楽しめますよ。スケジュールを見てもらえばわかりますが大人向けプログラムがちゃんとあるのです。リフレタリウムという名で、音楽とアロマとプラネタリウムの競演だそうです。20分間で200円ですよ。でもこれ睡眠必至ですなぁw
実はプラネタリウム以外も大人も楽しめます。是非一度足を運んでみてください。
庭園やC59もありますしね〜。
実はプラネタリウム大国、日本
世界にプラネタリウムを製造している会社は数社しか無いそうです。
そしてそのシェアは五藤光学とコニカミノルタで70%ほどを占めるそうです。
そして国内では現在300程度の施設でプラネタリウムが稼働しているんです。
世界最大のプラネタリウムも日本にあります。それは名古屋市科学館です。
皆さんの住んでいる町にもプラネタリウムがあるかもしれませんよ?
住んでいる町になくて必ず近くにあるはずです。
これを機会にぜひ足を運んでみてください。満点の星空が、あなたを待っています。
あとがき
プラネタリウム投影機は全天球を映し出せますが、スクリーンは全天周しかありませんから、地面に寝そべって空を見たときの半球分しか再現できませんね。完全球体のスクリーンに全天球の星空を映し出す事が出来る、足元まで星空の夢のプラネタリウムがあったら良いのになぁと思ったのでした。
最後まで読んでいただき感謝です。
よく考えたら全天球プラネタリウムもVRなら夢じゃないじゃんと思い調べてみたら存在しました。自宅で宇宙遊泳が楽しめる時代になったんですね。
このエントリーもしかしたら誤りがあるかもしれません。もしお気づきの点がございましたら遠慮なくご指摘ください。
コメント